2013/3/24 up

大人の英文法−026  時制の一致 

 

時制の一致とは,文法的には「主節と従属節の動詞の時制を一致させること」です。

学校英語では,しばしば「話法」という学習分野で扱われます。

〈直接話法〉 He said, "I like soccer." (「ぼくはサッカーが好きだ」と彼は言った)

〈間接話法〉 He said that he liked soccer. (自分はサッカーが好きだと彼は言った)

下の文では,主節(He said)の時制が過去形なので,従属節(that以下)の時制も

それに合わせて過去形にします。これが「時制の一致」の例です。

※主節・従属節・直接話法・間接話法という用語は,当面知らなくてかまいません。

   thatよりも前にあるのが主節,that以下が従属節と考えておいてください。

時制の一致は,実質的には主節の動詞が過去形のときにだけ問題になります。

(a) He said (that) he lived in Chiba. = He said, "I live in Chiba."

   (自分は千葉に住んでいる,と彼は言った) 

(b) He said (that) he had lived in Chiba. = He said, "I lived in Chiba."

   (自分は(以前)千葉に住んでいた,と彼は言った) 

(a)の場合,彼は「言った」時点で千葉に住んでいます。このように主節と従属節の表す

時点が同じときは,どちらも過去形を使います。一方(b)では,「言った」時点より前に

千葉に住んでいた,という意味です。この場合は,従属節中では〈had+過去分詞〉

形で「過去(saidの時点)から見たさらに過去」を表します。これを「大過去」と言います。

まとめると次のようになります。

主節

従属節

従属節が表す時

過去形

過去形

主節と同じ(主節の時点から見た現在)

過去形

had+過去分詞

(大過去)

主節より前(主節の時点から見た過去)

 

【参考】(b)のhad livedは,彼が「言った」時点の状態とは何の関係もありません。その点が過去完了形とは

    異なります。なお,(b)を「自分は(以前)千葉に住んだことがある」の意味に解釈すれば,had lived は

    過去完了形になります。

 

ただし意味に誤解を生じないときは,大過去の代わりに過去形を使うこともできます。

・He said he was born in 1988. (彼は1988年生まれだと言った)

この文の場合,彼が「生まれた」のは「言った」時点よりも前なので,理屈の上では

He said he had been born in 1988. のように従属節を大過去で表すことになります。

しかし文の意味から考えて said よりも前の時点で「生まれた」ことは明らかなので,

過去形(was)を使うのが普通です。

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