時制の一致とは,文法的には「主節と従属節の動詞の時制を一致させること」です。
学校英語では,しばしば「話法」という学習分野で扱われます。
〈直接話法〉 He
said, "I like soccer."
(「ぼくはサッカーが好きだ」と彼は言った)
〈間接話法〉 He said
that he liked soccer.
(自分はサッカーが好きだと彼は言った)
下の文では,主節(He said)の時制が過去形なので,従属節(that以下)の時制も
それに合わせて過去形にします。これが「時制の一致」の例です。
※主節・従属節・直接話法・間接話法という用語は,当面知らなくてかまいません。
thatよりも前にあるのが主節,that以下が従属節と考えておいてください。
時制の一致は,実質的には主節の動詞が過去形のときにだけ問題になります。
(a) He said (that) he lived
in Chiba. = He said, "I live in Chiba."
(自分は千葉に住んでいる,と彼は言った)
(b) He said (that) he had lived
in Chiba. = He said, "I lived in Chiba."
(自分は(以前)千葉に住んでいた,と彼は言った)
(a)の場合,彼は「言った」時点で千葉に住んでいます。このように主節と従属節の表す
時点が同じときは,どちらも過去形を使います。一方(b)では,「言った」時点より前に
千葉に住んでいた,という意味です。この場合は,従属節中では〈had+過去分詞〉の
形で「過去(saidの時点)から見たさらに過去」を表します。これを「大過去」と言います。
まとめると次のようになります。
主節
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従属節
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従属節が表す時
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過去形
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過去形
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主節と同じ(主節の時点から見た現在)
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過去形
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had+過去分詞
(大過去)
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主節より前(主節の時点から見た過去)
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【参考】(b)のhad livedは,彼が「言った」時点の状態とは何の関係もありません。その点が過去完了形とは
異なります。なお,(b)を「自分は(以前)千葉に住んだことがある」の意味に解釈すれば,had
lived は
過去完了形になります。
ただし意味に誤解を生じないときは,大過去の代わりに過去形を使うこともできます。
・He said he was
born in 1988. (彼は1988年生まれだと言った)
この文の場合,彼が「生まれた」のは「言った」時点よりも前なので,理屈の上では
He said he had been born in 1988. のように従属節を大過去で表すことになります。
しかし文の意味から考えて said
よりも前の時点で「生まれた」ことは明らかなので,
過去形(was)を使うのが普通です。