2013/4/20 up

大人の英文法−036 「財布を盗まれた」型の表現 

 

次の問いは,2009年度にある私立大学で出題された問いです。

(問) 与えられた語句を並べ替えて英文を完成し,( * )に入る語句の番号を答えよ。

ただし不要なものが1つ含まれている。

日本人は,昔写真を撮られることを恐れていた。

Japanese people (  ) ( * ) afraid (  ) ( * ) (  ) photos.

@ be  A taken  B used to  C being  D of  E was 

出題者の想定した正解は,(Japanese people) used to be (afraid) of being taken photos. でしょう。

しかし,この英文は文法的に間違っています。

日本人によく見られる誤りですが,どう直せばよいでしょうか。

※この「大人の英文法」では,しばしば入試問題から「悪問」を引用しています。 悪問にもいろんな

    パターンがありますが,この例は完全に出題者の英語力不足によるものです。

 

たとえば「私は写真を撮られた」を,I was taken a photo. と表現することはできません。

これだと対応する能動態が They took me a photo. となりますが,この文は第4文型(SVOO)です。

「私の写真を撮る」は take a photo of me であり,take me a photo とは言えません。

したがって,この誤った能動態に対応する受動態(I was taken a photo.)も誤りということになります。

 

「私は写真を撮られた」の意味を表す正しい形は,次のとおりです。

I had a photo taken.

S   V          O          C

高校の英文法では,「have+O+過去分詞=Oを〜される,Oを〜してもらう」と習います。

原義に立ち返って言えば,「私は[写真が(a photo)撮られる(taken)という事実を持った(had)」と

考えることができます。くだけた表現では had の代わりに got も使います。

したがって,最初に示した入試問題の「日本人は,昔写真を撮られることを恐れていた」という

日本語の正しい英訳は,Japanese people used to be afraid of having their photos taken. となります。


 

実用的な見地から言えば,次のように覚えておくとよいでしょう。

「自分の持ち物を〜される」は,〈have+持ち物+過去分詞〉で表す。

この覚え方はオールマイティではありませんが,多くの場合に当てはまります。

その典型例が次の文です。

・ I had my wallet stolen on the train. (電車の中で財布を盗まれた)

※ I was stolen my wallet on the train. は誤り。

【参考】 purse はアメリカ英語では女性用のハンドバッグのこと。札入れは wallet です。

・ I had my driver's license suspended

  (免許を一時停止された[免停になった])

ただし上の形は,「〜される」〈被害〉よりも「〜してもらう」〈使役〉の意味で使う例の方が

多いことも指摘しておきます。

・ I had my hair cut. = I had a haircut. (髪を切ってもらった)

・ I had my car fixed. (車を修理してもらった)

・ I had my driver's license renewed. (免許を更新してもらった)

両者の意味は,強勢の位置によって区別できます。

・ I had my driver's license suspénded

・ I hád my driver's license renewed. 

このように,「〜される」の意味では過去分詞を,「〜してもらう」の意味ではhaveを強く

読むのが原則です。


 

次の3つの文を比べてみましょう。

(a) I had my wallet stolen. (私は財布を盗まれた)

(b) My wallet was stolen. (私の財布が盗まれた)

(c) Someone stole my wallet. (誰かが私の財布を盗んだ)

これらの文が表す事実は同じですが,話し手の関心は異なります。

黄色い部分(主語)が主題ですから,(a)は「私に何が起こったか」を,(b)は

「私の財布がどうなったか」を,(c)は「誰かが何をしたか」を語る文です。

たとえば,(a)や(b)の話し手は「誰が盗んだか」を問題にはしていません。

一方(c)には,「私の財布を盗んだやつがいる。けしからん」という響きが

感じられます。

 

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