【参考】「仮定法未来」という用語は現代の英米の標準的な文法書には載っておらず,日本でも今日の学習用
文法参考書ではほとんど使われていませんが,
should と were to をひとまとめにして表現するのに
都合がいいのでここではこの言葉を使っています。
仮定法未来とは,if 節中で should または were to
を使う次のような形を言います。
(例文は「アトラス総合英語」より)
・ If it should rain,
the festival would [will] be canceled.
(万一雨が降ったら,お祭りは中止になるだろう)
*主節は仮定法(would)または直説法(will)。
・If I were to win
the lottery, I would [×will]
travel around the world.
(もし宝くじが当たるようなことがあれば,私は世界一周旅行をします)
*主節は仮定法(would)。
これらの形が「仮定法未来」と呼ばれるのは,未来のことがらを仮定するのに使うからです。
なお,高校生の中には次のように理解している人もいるでしょう。
(1) should
は「万一〜なら」という実現の可能性が低い仮定を表す。
(2) were to は should
よりも実現の可能性が低い仮定を表す。
(1)は特に問題ありませんが,(2)は正しくありません。下の説明を参照してください。
以下の記事は,英語教師向けの雑誌「英語教育」(大修館)の2013年6月号(最新号)に
私が書いた連載記事からの抜粋です。
「if節中のshouldは『万一〜なら』の意味を表す」という説明は間違いではありません。
しかしこのshouldは,日常会話ではそれほど使用頻度が高くないことを知っておく必要が
あります。たとえば「プラクティカルジーニアス英和辞典」(大修館)では,「主に英正式」と
いう注釈を添えて次の例を挙げています(2つのうちの1つ)。
・If I should live to be a hundred, I will [would; ((英))shall, should] never understand Picasso.
このように話し言葉でshouldを使うのはフォーマルな用法です。
主語がyouなら(可能性を低く見積もるので)控えめな表現になります。
・If you should change your mind, do let me know. (OALD)
*OALD=Oxford Advanced Learner's
Dictionary
shouldは実現の可能性が低い仮定にしか使わないのに対して,were toは実現の可能性が
かなりある場合でも使います。次の例は入試問題からの抜粋です。
・If you ( ) ( ) (
) see it, you ( ) ( ) ( ) it.
(それを見に行っても君は気に入らないだろう)
*整序作文。選択肢はwere, to, for, to go, care, should, wouldn't(1つ不要)。
正解はwere to go to, wouldn't care for。(03福岡大)
以上をまとめると,次のようになります。
・if you should [were to] 〜 は控えめな気持ちを表す。
・shouldの主語としてyou以外を使うとフォーマルな(堅苦しい)表現になる。
・were toは実現の可能性が(かなり)ある場合にも使う。
日常会話の観点から言えば,if
〜 should の形はむやみに使わない方がいいと
考えておくとよいでしょう。たとえば「万一明日雨が降ったら」は単に
if it rains tomorrow
と表現すればよく,should
を使う必要はありません。
※文法参考書などに時々(even)
if the sun were to rise in the west(たとえ太陽が西から
昇っても)という表現が出てきますが,英語ではこのような言い方は一般的ではありません。
日本人が(日本語感覚で)作ったフレーズと言ってよいでしょう。
「大人の英文法」のトップへ