(1) if
節と同等の意味を表す別の表現を使ったもの
with(もし〜があれば),without(もし〜がなければ)
を使った
次のような文が典型です。
・With a little
more money, I would buy this computer.
≒ If I had a little more money, I
would buy this computer.
(もう少しお金があれば,このコンピュータを買うのに)
・Without
your help, I would have failed.
≒ If you hadn't helped me, I would
have failed.
(君の助けがなければ,私は失敗しただろう)
あるいは,副詞(句)が if
節の代わりをする次のようなものもあります。
自分で英語を発信する(話す)という観点から言えば,このあたりまでを
知っておけば十分でしょう。
・In your place,
I would accept the offer.
≒ If I were in your place, I would
accept the offer.
(もし君の立場なら,私はそのオファーを受けるだろう)
・ We took a taxi. Otherwise,
we'd have been late.
(私たちはタクシーに乗った。さもなければ遅れていただろう)
*otherwise = if we hadn't taken a taxi
(2)
〈if+S+V〉→〈V+S〉と言い換えたもの
「if
の省略による倒置構文」という言い方もします。次のような文です。
・ Were I in
your place, I would accept the offer.
≒ If I were in your place, I would
accept the offer.
(もし君の立場なら,私はそのオファーを受けるだろう)
この形で節の最初に出てくるのは,were・had・should
の3語です。
・Should you
change your schedule, let me know.
≒ If you should change your schedule,
let me know.
(万一予定を変更したら,私に知らせてください)
このような形について,次の2点を説明しておきます。
@ なぜ〈V+S〉の倒置が起こるのか?
そもそも,if
が省略されるのはなぜか?が問題です。
「現代英文法講義」(安藤貞雄・開拓社)をお持ちの方は,
pp.378-379を参照してください。そこには,仮定法の if
を省略した
倒置は「疑問文を起源とする説」「祈願文を起源とする説」の2つが
あると説明されています。わかりやすく言えばこんな感じでしょうか。
・ Were I in
your place, I would accept the offer.
(もし君の立場なら,私はそのオファーを受けるだろう)
→
疑問文起源説なら「私が君の立場(だというの)ですか?それなら
私は〜」ということ。祈願文起源説なら「私が君の立場だったらなあ,
そうすれば私は〜」ということ。
※祈願文とは,今日の英文法では May you be happy!
(お幸せに!)
のような〈May+S+V 〜!〉の形を言います。
A
実際の会話でこのような形が使われるのか?
2009年度センター本試験の整序作文問題に,次の問いが出題されました。
There was a phone call from someone whose number you didn't recognize,
so you didn't answer it. However, it was from someone inviting you to a party.
You could express your regret by saying:
I [ could / had / have / I / joined / the party ] answered the phone yesterday.
*正解はcould have joined the party had I。「誰の番号かわからない人から
電話があったので,あなたは出なかった。しかしそれはパーティーの招待者
からの電話だった。あなたは次のように言うことで後悔を表せるだろう。
『きのう電話に出ていれば,パーティーに参加できたのに』」という意味。
下線部の had I は,if I had の if
を省略した倒置形です。
この問いは会話の状況を想定しているので,日常的にもこのような形が
使われる(とセンターの出題者は考えた)ことになります。
ただし私があるネイティブにこの問いを解いてもらったところ,彼は正解を
出すことができませんでした。正解を示して「あなたは日常的にこのような
言い方をすることがありますか?」と尋ねたところ,答えは「ノー」でした。
【参考】
一方,「オーレックス英和辞典」(旺文社)には次の調査結果があります。
・Had I not seen it with my eyes, I would not have believed it.
→ 「使う(82%)」「使わない(18%)」
同辞書には,「使うと答えた人の約半数がこれを〈堅〉または〈文〉としたが,
残りの半数は特に〈堅〉ではないとした」「〈堅〉と受け取られる場合が多いので,
特に〈口〉ではifを省略しないIf I had ...
の形を使うのが無難だろう」という解説があります。
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