2013/6/16 up

大人の英文法−045 助動詞の全体像 

 

ここからは助動詞の話に入りますが,ここまでの話をおさらいしておきます。

英語の文は原則として〈S+V〉の形を含んでいます。

Sになれる品詞は,名詞・代名詞(に相当する要素)です。

Vになれる品詞は動詞ですが,たとえば eat(食べる)という動詞をVとして

使うとき,さまざまな形に変化します。それは ate(過去形)であったり,

is eating(進行形)であったり,is eaten(受動態)であったりします。

また,仮定法も eat の形の変化の一種です。

このように考えると,V(述語動詞)の形のバリエーションには,

「時制」「態」「法」の3つがあることがわかります。これらは,広い意味では

eat という動詞の「活用形」の種類だと言えます。

これらに加えて,Vの形の第4のバリエーションがあります。

それが〈助動詞+動詞の原形〉という形です。

時制・態・法の概念を適用すると動詞の形そのものが変わりますが,

助動詞は動詞(の原形)の前に加えるだけなので,たとえば can eat とか 

will eat のように動詞(eat)自体の形は変わりません。


 

英語の単語は,大きく次の2つに分類することができます。

内容語=具体的な意味を持つ語

機能語=具体的な意味は(あまり)持たず,文法的機能だけを持つ語

ただし,1つの単語が内容語としても機能語としても使われることがあります。

(a) I have a bicycle. (私は自転車を持っている)

(b) I have bought a bicycle. (私は自転車を買った)

(a)の have は「持っている」という具体的な意味を表すので内容語です。

(b)の have には「持っている」という意味は(今日では)感じられず,現在完了形

というVの時制を形作る要素となっています。(b)のhaveは機能語です。

品詞で言えば,(a)のhaveは動詞,(b)のhaveは助動詞です。

【参考】助動詞と区別するために,(a)のhaveを「本動詞」と言うこともあります。

同様に,進行形や受動態のbe助動詞です。

また,do には(本)動詞・助動詞・代動詞の3つの用法があります。

(c) Did you do your homework? (宿題はやりましたか)

この文では,Did は疑問文を作る記号にすぎないので機能語であり,動詞(do)を助ける

働きをしているので品詞は助動詞です。一方,do は「〜をする」という意味を表すので

内容語であり,品詞は動詞です。

(d) "Who broke this vase?" "I did."(「誰がこの花瓶を壊したの?」「私です」)

did は broke it の代わりに使われています。このような do/does/ did は「代動詞」と言います。

以上のように,have・be・do は動詞としても助動詞としても使います。

助動詞として使うときは一種の記号とみなせるので,機能語に分類されます。

一方,will,can,must などの(法)助動詞は,機能語と内容語の中間に位置します。

これらはたとえば「can=〜できる」という意味を持っている点では内容語的ですが,

I can't 〜 や Can I 〜? などのように助動詞の do に準じる働きもします。

このような使い方は機能語的です。

そのことは強勢を置くか置かないかにも反映しています。

無標の強勢では,機能語は弱く読むのが原則です。

(e) He can skí. (彼はスキーをすることができる)

(f) He can speak Énglish. (彼英語を話せる)

これらの文において,無標の強勢では文末が新情報として強く読まれます。

can は機能語に準じて弱く読みます。


 

「助動詞は何のために使うのか」についても,改めて説明しておきます。

助動詞の働きは次の2つに要約できます。

(A) V(述語動詞)の一部となる。

(B) Vの中心となる動詞にさまざまな意味(話し手の気持ちや判断など)を加える。

(A)の働きはすべての助動詞に共通しており,be・do・haveは(A)の働きだけを持ちます。

(A)(B)の両方の働きを持つものを「法助動詞」と言います。

(「法」の定義は,「話し手の気分[心的態度]を表すVの形」です)

以下,法助動詞(will,shall,can,may,must など)を1つずつ説明していきます。

 

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