shallとshouldは今日では全く違う意味で使いますが,もともとは「現在形−過去形」の関係です。
◆ Shall I 〜?
((私が)〜しましょうか)
(a) Shall I help
you with your baggage? (手荷物を運ぶのを手伝いましょうか)
(b) Should
I help you with your baggage?
(手荷物を運ぶのを私が手伝う方がいいですか)
(c) Do you
want [Would you like]
me to help you with your
baggage?
(手荷物を運ぶのを私に手伝ってほしいですか)
Shall I 〜?
は中学英語の学習範囲ですが,コミュニケーションの観点からは次の点を知って
おくとよいでしょう。
@
上の3つの文は,ほぼ同じ意味を表す。(どの文も(a)の意味に解釈できる)
A (a)はイギリス英語で好まれる。
B アメリカ英語では(a)はかたく響き,(b)や(c)が好まれる。
(a)がイギリス英語で好まれるのは,shall
という助動詞そのものの使用頻度の差を反映しています。
・I shall
be home tomorrow. (明日は家にいるでしょう)
*イギリス英語では,このように「1人称の主語+shall」で単純未来(〜だろう)の意味を
表すことがあります。ただし今日ではwillを使う方が普通であり,アメリカ英語ではwillです。
なお,(a)〜(c)の問いに対しては,次のように答えることができます。
・Yes, please.(ええ,お願いします)
・No, thank you. I
can manage.
(いいえ,結構です。自分でできます[運べます])
*manage=何とか(〜)できる
◆ Shall we 〜?
((いっしょに)〜しましょうか)
(a) Shall we have
a coffee break? (休憩してコーヒーにしましょうか)
(b) Should we have
a coffee break? (休憩してコーヒーにする方がいいですか)
(c) Would you like
to have a coffee break? (休憩してコーヒーにしたいですか)
(d) Why don't we have
a coffee break? (休憩してコーヒーにするのはどうですか)
(a)は中学で学習しますが,Shall I 〜?
と同様にアメリカ英語では shall の使用を避ける傾向が
あります。代わりに(b)〜(d)がしばしば使われます。Do
you want to have a coffee break? や
How about having a coffee break? などとも言えます。これらの問いに対しては,次のように
答えることができます。
・Yes, let's.
(ええ,そうしましょう)
・(That) sounds good. (いいですね) *thatはしばしば省略されます。
・No, let's not.
(いいえ,やめておきましょう)
*断るときはこれだけだと無愛想なので,理由を添えるようにしましょう。
また,Let'sで始まる文にshall weという形の付加疑問をつけることもあります。
(e) Let's have
a coffee break, shall we?
(休憩してコーヒーにしましょう)
(a)と(e)はほぼ同じ意味ですが,(a)は疑問文の形で相手の意向を尋ねており,(e)は形式的には
命令文です。したがって(e)の方が強い勧誘の響き(相手が承諾するという期待感)を含みます。
◆ should
(〜すべきだ,〜する方がよい)
私たちが中学・高校生の頃は,shall
の「話し手の意志」という用法を学校で習っていました。
・You shall
have the money tomorrow. ≒ I will give you the money tomorrow.
(明日お金を渡します)
shall
を使った左側の文は古風な表現であり,現代英語ではあまり使いません。
ただ,willと同様にshallにも単純未来と意志未来の2つの意味があることは確かであり,
上の文は意志未来のshallの例です。また,I shall return.
というマッカーサー元帥の有名な
言葉がありますが,このshallも「必ず〜するつもりだ」という話し手の強い意志を表します。
そして,意志未来の shall を過去形の should
に置き換えると,意味を和らげた控えめな
言い方になります。
・You should
see a doctor.(君は医者にみてもらう方がいい[べきだ])
理屈の上では,この文でshallを使うと「おまえをどうしても医者にみせるぞ」という話し手の
強い意志を表すことになります。should
を使って意味を和らげたと考えれば,shall との
関係がわかりやすいでしょう。
なお,shouldは要求・提案などを表すthat節中で仮定法現在(→041)の代わりに使われる
こともあります。このshouldは「〜すべきだ」の意味の延長で考えてよいでしょう。
・They demanded that they get
[should get] a
pay raise.
(彼らは賃上げを要求した)
◆ should
(〜するはずだ)
should
には〈推量〉の意味もあり,次のように使います。
・The rain should
stop before noon. (正午までには雨はやむはずだ)
shouldを使う話し手の確信の度合いは,will(〜だろう)よりも低く,may(〜かもしれない)
よりも高いと言えます。
◆ 感情のshould
次のような文中で使われる should を「感情のshould」と呼ぶことがあります。
・ It's surprising that she should
have three children.
(彼女に子どもが3人いるとは意外だ)
この文の場合,下線部をhasにすれば事実を客観的に述べることになります。
shouldを使うことによって話し手の感情(意外な気持ち)が強調されます。
natural(当然だ),strange(奇妙だ),a
pity(残念だ)などもこの形で使います。
◆ ought to
(〜すべきだ/〜するはずだ)
ought toは,おおまかに言えば「should
とほぼ同じ意味を持ち,shouldよりもかたい語」です。
したがって,自分で英語を話したり書いたりするときには使う必要はありません(すべて
shouldを使えば間に合います)。
(a) You shouldn't
believe him. ≒ (b) You oughtn't
(to) believe him.
(君は彼の言うことを信じない方がいい)
ought not の否定文は ought not to
の形になりますが,会話で使う助動詞は一般に
短縮形にすることが多いので,ought not は oughtn't
となります。しかし oughtn't to は
読みづらいため,to
が省略されることもよくあります。もっとも,特に会話では
ought to を
否定文や疑問文で使うのは避ける傾向が強く,(b)のような文は実際にはあまり使われない
でしょう((a)が普通です)。
参考までに言うと,ought not to
の形は大学入試ではしばしば見かけます。後述する
had better not(〜しない方がいい)などとの形の違いが出題のポイントですが,実際の
コミュニケーションでの使用頻度が低い ought not to
のような表現を問うのは感心しません。
入試問題の出題者には,「実用的な利用価値」を念頭に置いた問題作りを期待します。