少し極端かもしれませんが,実用的なコミュニケーションの観点から言えば,日本人は
次のように覚えておけば十分ではないでしょうか。
�@「許可」の意味のmayは, May I 〜?(〜してもいいですか)という形でのみ使う。
�A「可能性」(〜かもしれない)の意味では常に
might を使う。
may と might
に関しては,この2点だけを知っておけば日常的な場面では困らないでしょう。
以下,補足説明です。
◆
「〜してもよい」という意味のmay
(a) May I sit
here?
(ここに座ってもいいですか)
(b) Can I sit here?
(ここに座ってもいい?)
(c) Might I sit
here?
(ここに座らせていただいてよろしいでしょうか)
(d) Would you mind if I sat
here? (ここに座ってもかまいませんか)
mayは「目上の者が目下の者に許可を与える」というニュアンスの語なので,(a)は「私がここに
座る許可を与えていただけますか」というていねいな言い方になります。これに対しては,
Sure.(いいですよ)とか Yes,
of course.(ええ,もちろん)などと答えます。Yes, you
may. だと
「私があなたに座る許可を与えます」という尊大な響きになりかねないので,避ける方がいい
でしょう。断るときは I'm sorry, (but)
it's taken.(すみませんが,その席はふさがっています)
などと言います。
(b)の直訳は「私はここに座ることができますか」。(a)よりもフランクな表現で,親しい間柄なら
こちらを使えばいいでしょう。助動詞の過去形は現在形よりも控えめな気持ちを表すので,
(c)は(a)のていねい表現ということになります。ただ,上の訳語のようなニュアンスになるので
状況によってはていねいすぎる感じにも響きます。(c)は避ける方が無難でしょう。
(d)は(a)よりもていねいな響きを持ち,会話でよく使います。以上をまとめると,
(b)→(a)→(d)の順にていねいな言い方であり,状況に応じてどれかを使うようにしましょう。
You may
〜(あなたは〜してもよろしい)は上に述べたとおり「上から目線」の表現であり,
He may
〜(彼は〜してもいい)のような形も実際にはあまり使いません。1つの理由は,
「彼は〜かもしれない」の意味に混同されるおそれがあるからです。
◆
「〜かもしれない」という意味のmight
(a) He may be late.
(彼は遅れるかもしれない)
(b) He might be
late.
(彼は(ひょっとしたら)遅れるかもしれない)
(a)と(b)には実質的な意味の差はありません。特にアメリカ英語では(b)が好まれます。
(a)は「彼は遅れてもよい」〈許可〉の意味にも解釈可能ですが,(b)をその意味に解釈する
ことはできません。それが,(b)が好まれる1つの理由でしょう。したがって我々は,
「〜かもしれない」の意味では常に(b)のように might
を使えばいいと思います。
◆ mayのその他の用法
以下は,読み飛ばしていただいてもかまいません。
私たちが高校生の頃,学校や塾・予備校では次のような知識を学んでいました。
�@譲歩のmay(例:whatever may happen=たとえ何が起きようと)
�A目的のmay(例:so that you may succeed=君が成功するように)
�B祈願文(例:May you be happy!=あなたが幸せでありますように)
�Cmay well 〜=〜するのももっともだ(it
is natural ...)
�Dmay [might] as well 〜=〜してもよい
�Emay [might] as well A as B=BするくらいならAする方がましだ
以上の6つのうち,日常的に利用価値が高いと言えるのは�Dのみです。
昔の入試の書き換え問題には�Dの may as well を had better
で言い換えさせる
ようなトンデモ問題も出ていましたが,この表現は次のように使います。
・"Shall we go to the movies?" "Might
as well."
(「映画を見に行かないか」「(特に行きたくもないが)それもいいね」)
これは「ウィズダム英和辞典」から引用した例です。この表現の
may [might] は
「〜してもよい」〈許可〉の意味であり,「〜してもしなくても同程度に許される」が
原義です。つまり積極的に「〜する方がいい」と言うのではなく「どっちでもいいけど,
まあやってもいいかもね」という気持ちを表すのに使います。そのようにあいまいな
情報を伝えるには控えめな気持ちを表すmight
が適しており,might as well の方が
may as well よりも好まれます。
�@〜�Bは堅苦しい表現であり,特に�A�Bは日常的にはほとんど使いません。
�@は may も使えますが,whatever happens
のように現在形で表せば十分です。
�Cの may well
は「多分〜だろう」の意味で使うのが普通です。この may
は「〜かも
しれない」の意味で,well
を加えれば「可能性が十分ある」という意味になります。
たとえば He may well be late.
の普通の解釈は「彼は多分遅れるだろう」であり,
「彼が遅れるのはもっともだ」という意味になるのはレアケースでしょう。
�Eは日本の入試問題では好まれますが,英英辞典にはこのような見出しは載って
おらず,「彼に金を貸すくらいなら捨てる方がましだ(You
may as well throw your
money away as lend it to him.)」のような文が作れなくても日常的には困りません。
その内容は,たとえば Lending your money to him is just
like throwing it away.
(君の金を彼に貸すことは,それを捨てることとちょうど同じだ)などと表現できます。