used to は「以前は〜だった(が,今はそうではない)」という意味を表します。
(a) I used to work
at this store. (私は以前この店で働いていた)
(b) There used to be
a restaurant here. (以前ここにレストランがあった)
(a)の work のような動作動詞を used
to の後ろに置くと,過去の習慣的行為を表します。
(b)の be のような状態動詞を used
to の後ろに置くと,過去の状態を表します。
どちらの文も「今はそうではない」という意味を含んでいます。
なお,過去の習慣的行為は would
で表すこともできます。
(c) We would
often go swimming in the river when we were children.
(私たちは子どもの頃によく川へ泳ぎに行った)
この意味の would は,意味を明らかにするために often,usually,always
などの
頻度を表す副詞とともに使うのが普通です。逆に言えばこれらの副詞と意味的に
相性の悪い動詞の前に would
を置くことはできません。たとえば(a) を I would (often)
work at this store. と言うのは不自然です。ただし,I would
often work part-time
at this store.
は問題ありません(「よくアルバイトをした」の意味)。また,(b)の
used to も
would では言い換えられません。この意味の
would の後ろに状態動詞を置くことは
できないからです。次の例も同様です(likeは状態動詞)。
(d) I used to [×would]
like "okosama lunch" very much.
(私は昔は「お子様ランチ」が大好きだった)
日常会話では would
は使う必要はなく,もっぱら use to で済ませればいいでしょう。
大学入試問題を1つ見てみましょう。(空所補充語句選択)
We ( ) Italy four times during the 1980s.
@ used to visit A would visit B visited
C have visited (2003 慶応大−理工)
文の意味は「私たちは1980年代に4回イタリアを訪ねた」。
正解はBですが,他の選択肢がなぜ間違いなのかわかりますか?
まず@は,「used to
は過去の特定の期間や回数を表す語句と併用できない」という
ルールにより誤りです。この文の four times や during the
1980sがそれに当たります。
これは,use to が過去の漠然とした期間の習慣を表すからです。
Aが間違いなのは,文中に four times があるからです。would
は often などの
漠然とした頻度を表す副詞とは併用できますが,明確な回数を表す語句とともに
使うことはできません。
Cが誤りなのは,during the 1980s
が過去の特定の時点であるため,現在完了形と
併用できないからです。「この映画は去年見たことがある」を
I have seen this movie
last year. と言えないのと同様です(正しくは have seen →
saw)。
ちなみに大学入試では,used to と be used to
〜(〜に慣れている)との違いを見分け
させる問いが非常に多く見られます。
(a) I used to sit up
all night. (私は以前はよく徹夜をしたものだ)
(b) I'm used to sitting up
all night. (私は徹夜をすることに慣れている)
(a)の used to は助動詞なので後ろには動詞の原形(sit)を置きます。
(b)の used は「慣れている(accustomed)」の意味。to
は「〜に」という意味の前置詞
なので,後ろに動詞を置くときは動名詞(sitting)にします。
なお,次のような形もあります。
(c) This knife is used to cut bread.
(このナイフはパンを切るのに使われる)
この文の used は use(使う)の過去分詞。〈be used(使われる)+to
cut(切るために)〉
ということです。