2013/11/10 up

大人の英文法057−不定詞の本質 

 

中学英語で不定詞と言えば,〈to+動詞の原形〉の形のことです。

不定詞の to はもともと前置詞の to と同じものであり,「〜(の方)へ」という意味を表します。

 

次の文で考えてみましょう。

(a)  I'm going @to the library Ato return this book.

    (この本を返しに図書館へ行くところです)

@のtoは「〜へ」の意味の前置詞です。Aのtoは to return(返すために)という不定詞の一部です。

【参考】Aのtoは前置詞ではありません。前置詞は名詞・代名詞の前に置く語であり,returnは動詞だからです。

意味の面から考えると,Aの to は「返す(return)という行為の方へ向かう → 返すために」と説明

することができます。したがって,@とAの to の働きは本質的に同じです。

 

(b)  I'm going to buy a new computer.  (新しいパソコンを買うつもりです)

この文の場合,普通は〈be going to〉(〜する予定だ)を1つの助動詞と考えますが,ここでも to が

「〜の方へ」の意味であることを意識すれば「私は新しいパソコンを買う方へ向かっている」と

考えることができます。このように,動詞の原形の前にある to はすべて「〜の方へ向かう」という

意味を持っています。

 

(c)  I want to buy a new computer.  (新しいパソコンを買いたい)

この文の to も「〜の方へ」というニュアンスを持ちます。「私の望みは新しいパソコンを買う方へ

向かっている」と考えればいいでしょう。したがって不定詞は,多くの場合「これから行うこと」,

言い換えれば「まだ完了していない個別の行為」を表します。

 

(d)  My dream is to become [×becoming] an astronaut.

   (私の夢は宇宙飛行士になることです)

この文の場合,「宇宙飛行士になる」のはまさに「これから行うこと」です。したがって不定詞を

使います。動名詞(becoming)も文法的には可能ですが,ネイティブはこの文で becoming を

使うことはありません。

 

以上の説明からわかるとおり,不定詞が表す動作や状態は,本質的に「個別[具体]的」であり

未来志向」であるという性質を持っています。 これが不定詞を理解するための第一歩です。

 

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