中学英語で不定詞と言えば,〈to+動詞の原形〉の形のことです。
不定詞の to はもともと前置詞の to
と同じものであり,「〜(の方)へ」という意味を表します。
次の文で考えてみましょう。
(a) I'm going @to
the library Ato
return this book.
(この本を返しに図書館へ行くところです)
@のtoは「〜へ」の意味の前置詞です。Aのtoは to
return(返すために)という不定詞の一部です。
【参考】Aのtoは前置詞ではありません。前置詞は名詞・代名詞の前に置く語であり,returnは動詞だからです。
意味の面から考えると,Aの to は「返す(return)という行為の方へ向かう
→ 返すために」と説明
することができます。したがって,@とAの to
の働きは本質的に同じです。
(b) I'm going to
buy a new computer. (新しいパソコンを買うつもりです)
この文の場合,普通は〈be going to〉(〜する予定だ)を1つの助動詞と考えますが,ここでも
to が
「〜の方へ」の意味であることを意識すれば「私は新しいパソコンを買う方へ向かっている」と
考えることができます。このように,動詞の原形の前にある
to はすべて「〜の方へ向かう」という
意味を持っています。
(c) I want to
buy a new computer. (新しいパソコンを買いたい)
この文の to
も「〜の方へ」というニュアンスを持ちます。「私の望みは新しいパソコンを買う方へ
向かっている」と考えればいいでしょう。したがって不定詞は,多くの場合「これから行うこと」,
言い換えれば「まだ完了していない個別の行為」を表します。
(d) My dream is to
become [×becoming]
an astronaut.
(私の夢は宇宙飛行士になることです)
この文の場合,「宇宙飛行士になる」のはまさに「これから行うこと」です。したがって不定詞を
使います。動名詞(becoming)も文法的には可能ですが,ネイティブはこの文で
becoming を
使うことはありません。
以上の説明からわかるとおり,不定詞が表す動作や状態は,本質的に「個別[具体]的」であり
「未来志向」であるという性質を持っています。
これが不定詞を理解するための第一歩です。
「大人の英文法」のトップへ