形式目的語構文とは,次のような特徴を備えた文の形を言います。この形で使う
it を
「形式目的語(のit)」と言います。
@ 主に〈S+V+it+C+X〉の形で,O(目的語)の働きをするitが後ろのXの内容を指す。
A it はSVOC(第5文型)の形を整えるための一種の記号である(「それ」とは訳さない)。
B Xの位置に置かれるのは,主に不定詞(句)・that節。
形式目的語の it
は,主に第5文型で使います。代表的な動詞は,believe,find,make,
think/suppose/considerなどです。
形式目的語の it が不定詞・that節を指す例を1つずつ挙げておきます。
・ I find it
impossible find it
impossible[to
understand this complicated manual].
(この複雑なマニュアルを理解するのは不可能だと思う)
*この文の find
は「〜だと思う,感じる」の意味。itは後ろの不定詞を指します。
・ I find it
surprising [that
this picture was painted by a
five-year-old boy].
(この絵が5歳の男の子によって描かれたとは驚きだ)
*itは後ろのthat節を指します。
なお,次のような文はSVOCではありませんが,it
が後ろのthat節を指しています。
・We take it
for granted
[that
everyone loves peace].
(誰もが平和を愛するのが当然だと私たちは思っている)
* take it for granted that ... =
…を当然のことだと思う (直訳:…を認められたこととして受け取る)
・See to it
[that
you lock the door when you leave].
(出るとき必ずドアにかぎをかけなさい)
* see (to it) that ... =
…するよう気をつける
・You can depend on
it [that
I'll support you in time of need].
(困ったときは私が援助することを当てにしてよろしい)
・I owe it
to owe it
to my uncle [that
I've got such a good job].
(私がこんなにいい職を手に入れたのはおじのおかげです)
形式目的語構文と言えば,入試では次の形がよく出てきます。
・ I make it
a rule [to
take a walk in the park before
breakfast].
(私は朝食前に公園を散歩することにしている)
*make it a rule to do
は「〜することを決まりにしている」ということ。
しかし,少なくとも会話ではこのような言い方はしません。
この文の場合は,I take a walk in the park before breakfast every
day [morning].
と言う方がずっと普通です。できるだけシンプルに表現するのが会話のコツです。
「大人の英文法」のトップへ