ここまでに取り上げていなかった不定詞の主な使い方をまとめておきます。
なお,動詞・形容詞と不定詞の結びつきについては別項で説明します。
◆ 疑問詞+to do
次のような形は中学の学習範囲です。
・ I don't know how
to use this machine.
≒ I don't know how I should use this
machine.
(私はこの機械の使い方を知らない)
〈疑問詞+to do〉は疑問詞に「〜すべきか」の意味を加えた言い方で,
how to use
なら「どのように使うべきか→使い方」という意味になります。
同様に what to do は「何をすべきか」,where to go
は「どこへ行くべきか」,
which way to go
は「どちらの道を行くべきか」。なお,疑問代名詞(who,
which,what)が後ろの動詞の主語に相当するような使い方はできません。
○ We
discussed who to invite.
(私たちは誰を招待すべきかを議論した)
× We discussed
who to take the responsibility.
(私たちは誰が責任を取るべきかを議論した)
上の文はwhoがinviteの目的語なのでOKですが,下の文はwhoがtakeの主語
の働きをしているので誤り。... who should take the
responsibility と表現する
必要があります。
◆ be動詞+to do
この形には,次の2つのパターンがあります。
(a) My dream is
to become a pilot.
(私の夢はパイロットになることです)
S
V C
* be動詞に続く to do(名詞的用法)がCの働きをするパターン。
(b) We are
to start tomorrow.
(私たちは明日出発する予定です)
〜する予定だ
*〈be動詞+to do〉が助動詞に順ずる働きをするパターン。
(b)型の表現は高校では「予定」「義務」「可能」「運命」などさまざまな意味の例を学びます。
しかし実用上は,「〜する予定だ」の意味だけを知っていれば十分です。
特に次の形を覚えておきましょう。
(c) The meeting is
to be held next Monday.
(会合は来週の月曜日に開かれる予定だ)
* is to be held =
行われる予定だ
参考までに補足しておきます。
上の〈疑問詞+to do〉という表現が生まれたプロセスは,次のように説明できます。
・ I don't know how (I am) to use this
machine.
このように I am
を補って考えると,下線部が「使うべきだ」〈義務〉の意味に解釈できます。
そこから I am が省略されて,how to use
が「使うべきか」の意味になったというわけです。
ついでに,「不定詞関係詞節」とも呼ばれる次のような形も見ておきましょう。
・ Some people have no
house in which to live.
= Some people have no house to live in.
(住む(ための)家を持っていない人もいる)
上の文の太字部分の基本形は,〈名詞+前置詞+which+to
do〉です。この形で
「〜すべき○○」という意味を表します。入試の英文中でも時々見かける形です。
これも,同じ理屈で説明することができます。
・ Some people have no house in which (they are)
to live.
このように補って考えると,下線部が「住むことのできる」〈可能〉の意味に解釈できます。
ここから they are
が省略されて,上のような形になったというわけです。
◆ not+to do
不定詞が表す動作などの内容を否定するときは,否定語(not・never)をtoの前に置くのが
原則です。
・ Mary decided not
to marry John. (メアリはジョンと結婚しないことに決めた)
*〈not+名詞的用法の不定詞〉の例。
・ I set the alarm in order not
to oversleep.
(私は寝過ごさないために目覚ましをセットした)
*〈not+副詞的用法の不定詞〉の例。
学校のテストなら not は to
の前に置かないと誤りと判断されますが,実際にはくだけた
表現では not をto
の後ろに置くケースもあるようです。ネイティブの中には
decide to
not marry
のような語順を可とする人もいます。これはたぶん,いわゆる分離不定詞の
影響を受けているのだろうと思います。分離不定詞とは,不定詞の
to と動詞の原形との
間に副詞が入り込んだ次のような形を言います。
・Mary has come to
really understand John's love.
(メアリはジョンの愛情を本当に理解するようになってきた)
分離不定詞はかつては好ましくないものとされていましたが,今日では普通に使われます。
not も副詞だから to
の後ろに置いたっていいじゃないか,と考える人がいても不思議では
ありません。neverについても同様です。次の例文は「英語基本形容詞・副詞辞典」(研究社)
からの引用です。
・ I'm determined to
never let you out of my sight again.
(二度とおまえを手放したりしないぞ)
*普通の語順は ... never to let。くだけた表現では
to never let も可能だということです。
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