111で説明したとおり,関係代名詞と関係副詞は次のように定義されます。
・関係代名詞=代名詞と接続詞の働きを合わせ持つ語
・関係副詞=副詞と接続詞の働きを合わせ持つ語
これらと同様に,関係形容詞は次のように定義されます。
・関係副詞=形容詞と接続詞の働きを合わせ持つ語
これら3つの品詞には,「複合」という名称のつく〈疑問詞+ever〉の形の語も含まれます(別項で説明)。
ここでは,関係形容詞のうち,複合関係形容詞以外のものを説明します。
学校英語で関係形容詞と言えば,what
と which の2つです。まずwhatから。
(a)
I lost what money I had. = I lost all
the money (that) I had.
(私は持っていた金を全部失った)
この文の場合,what
はmoneyを修飾する形容詞の性格を持ちます。
また,前後を結びつけているという意味では接続詞的です。
関係形容詞のwhatは「(少ないけれど)あるだけの〜」の意味を表すことが多く,
little や few
と組み合わせて次のようにも言います。
(b)
I lost what little money I had.
(私は持っていた少しばかりの金を全部失った)
ただし,(b)を
I lost all the little money (that) I had.
と言い換えることはできません。
この言い換えは一部の文法書に載っており,私たちが高校生の頃もこのように習っていました。
しかしアトラスを作ったときこの書き換えを原稿に入れたところ,執筆協力者の
Sue 先生のチェックが入り,
「そんな言い方はない」と言われました。私の方で別のネイティブに確認したところ,やはりそうでした。
関係形容詞の
which
を使った例として最もよく見られるのは,次の形です。(「ウィズダム英和」より)
(c)
The injury should start to heal in a few days, in
which case he could be playing again next month.
(彼のけがは数日で治るはずだ。そしてその場合は[そうなれば]彼は来月には試合に出られるだろう)
このように関係形容詞のwhichは〈コンマ+前置詞+which+名詞〉の形で(補足説明用法で)使うのが普通です。
「ジーニアス英和」には次のような形も載っています。
(d)
I said nothing, which fact made her
angry.
(私が何も言わなかったので,そのことで彼女は腹を立てた)
しかし,「ウィズダム」が載せていないことからもわかるとおり,which
の前に前置詞のないこのような形は非常に
古めかしい言い方であり,日常的には使われません。ネイティブに聞いてみましたが,「19世紀の小説なら
使われていただろう」とのことでした。
なお,たとえば
I know a boy whose father is a lawyer. のような文の whose
も,形容詞と接続詞の働きを
兼ねているので,関係形容詞と呼ぶことがあります。「関係代名詞
who の所有格」と考えてもかまいません。