2016/1/24 up

大人の英文法112−関係形容詞 

 

111で説明したとおり,関係代名詞と関係副詞は次のように定義されます。

・関係代名詞=代名詞と接続詞の働きを合わせ持つ語

・関係副詞=副詞と接続詞の働きを合わせ持つ語

これらと同様に,関係形容詞は次のように定義されます。

・関係副詞=形容詞と接続詞の働きを合わせ持つ語

これら3つの品詞には,「複合」という名称のつく〈疑問詞+ever〉の形の語も含まれます(別項で説明)。

ここでは,関係形容詞のうち,複合関係形容詞以外のものを説明します。

学校英語で関係形容詞と言えば,what と which の2つです。まずwhatから。

(a) I lost what money I had. = I lost all the money (that) I had.

(私は持っていた金を全部失った)

この文の場合,what はmoneyを修飾する形容詞の性格を持ちます。

また,前後を結びつけているという意味では接続詞的です。

関係形容詞のwhatは「(少ないけれど)あるだけの〜」の意味を表すことが多く,

little や few と組み合わせて次のようにも言います。

(b) I lost what little money I had

(私は持っていた少しばかりの金を全部失った)

ただし,(b)を I lost all the little money (that) I had. と言い換えることはできません。

この言い換えは一部の文法書に載っており,私たちが高校生の頃もこのように習っていました。

しかしアトラスを作ったときこの書き換えを原稿に入れたところ,執筆協力者の Sue 先生のチェックが入り,

「そんな言い方はない」と言われました。私の方で別のネイティブに確認したところ,やはりそうでした。

 

関係形容詞の which を使った例として最もよく見られるのは,次の形です。(「ウィズダム英和」より)

(c) The injury should start to heal in a few days, in which case he could be playing again next month. 

(彼のけがは数日で治るはずだ。そしてその場合は[そうなれば]彼は来月には試合に出られるだろう)

このように関係形容詞のwhichは〈コンマ+前置詞+which+名詞〉の形で(補足説明用法で)使うのが普通です。

「ジーニアス英和」には次のような形も載っています。

(d) I said nothing, which fact made her angry

(私が何も言わなかったので,そのことで彼女は腹を立てた)

しかし,「ウィズダム」が載せていないことからもわかるとおり,which の前に前置詞のないこのような形は非常に

古めかしい言い方であり,日常的には使われません。ネイティブに聞いてみましたが,「19世紀の小説なら

使われていただろう」とのことでした。

なお,たとえば I know a boy whose father is a lawyer. のような文の whose も,形容詞と接続詞の働きを

兼ねているので,関係形容詞と呼ぶことがあります。「関係代名詞 who の所有格」と考えてもかまいません。

 

「大人の英文法」のトップへ