大人の英文法-139

if節中のwill

 

条件を表すif節中でwillを使う主なケースには,次の3つがあります。

(AB見出しの訳語は「オックスフォード実例現代英語用法辞典」より)

 

@主語の意志を表す場合

・If he will help me, I'll be able to finish it.

(彼が手伝ってくれるのなら,それを仕上げることができるでしょう)[Wisdom4]

 

A「もし(後で)…という結果になるのなら」という意味を表す場合

・I'll do it if it will save Lisa.

(それがリサを救うことになるのなら,私はやります)[Wisdom4]

*「時間関係が<主節→if節>の順になる場合」とも説明できます。

 

B「〜が今事実ならば」「〜を現在知っているなら」という意味を表す場合

・If you will be alone at Christmas, let us know.

[=If you can predict [know] that you will be alone at Christmas, let us know.]

(もしクリスマスにひとりぼっちになりそうなら,私たちにそのことを伝えてください)[Genius6]

 

Bについては,「Q&Aで探る学習英文法解説」(開拓社)のpp.434-5に次のような説明があります。

・If you won't arrive before six, I can't meet you.

(あなたが6時前に到着されないことが現在予測できるなら,あなたをお出迎えすることができません)

同書の説明によれば,この文のwillは「認識用法(予言)のwill」であり,次の文に近い意味を表します。

Since [As] you won't arrive before six, I can't meet you.

(あなたは6時前に到着しないだろうから,あなたをお出迎えすることができません)

 

さらに「コンサイス英文法辞典」(三省堂)によれば,Bのような条件を閉鎖条件(closed condition)と言います。

ちなみに,一般にopen condition(開放条件)の対立概念はrejected condition(却下条件)ですが,

3者の関係はおおむね次のように理解してよいでしょう。

[A] 開放条件:if節の成立の可能性について中立(直説法を使う)

[B] 却下条件:if節の成立の可能性を否定する(仮定法を使う)

[C] 閉鎖条件:if節の成立の可能性を肯定する(直説法を使う)

[B]も[C]も「可能性が開かれていない」という意味では[A]の対立概念です。

「コンサイス英文法辞典」では,[C]の特徴を次のように説明しています。

・if節中で未来を表すwillを用いる。

・ifの意味は,asやsinceに近い。

 

具体例を挙げてみます。

if he studies hard(彼が熱心に勉強するかどうかはわからないが,もしそうすれば)[開放条件:直説法]

if he studied hard (@彼が熱心に勉強する可能性はゼロだが,もしそうすれば)[却下条件:仮定法過去]

                                  (A彼が熱心に勉強する可能性は低いが,もしそうすれば)[開放条件:仮定法過去]

                                  (B彼が熱心に勉強した(というのが事実)なら)[開放条件:直説法過去](叙実的条件文)

if he will study hard(@彼が熱心に勉強するつもりなら)[開放条件:直説法]

                                   (A彼は(実際に)熱心に勉強するだろうから)[閉鎖条件:直説法]

 

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