※この記事は,拙著「高校生のための英語学習ガイドブック」(岩波ジュニア新書)からの転用です。
世界の言語は、「膠着(こうちゃく)語」と「屈折語」の2つに大別することができます。
膠着語とは、「内容語+機能語」のように単語と単語をくっつけて文をつくる言語で、
日本語や朝鮮語はこのタイプです。(「膠」は「にかわ=接着剤の一種」の意味)
・私+は+トースト+を+食べ+た。
内 機
内 機 内
機
屈折語とは、1つの単語の語形を変化させることによってさまざまな意味をあらわす言語で、
英語をはじめヨーロッパの言語のほとんどは屈折語です。
・I ate toast.
〜を食べた
この文では、日本語の「を」や「た」という助詞の意味は
ate の中に含まれています。
この例からもわかるとおり、屈折語には「活用形」が多く存在します。
昔の英語には、今よりずっと多くの活用形がありました。たとえば名詞・代名詞の格変化は、
今日の英語では主格・所有格・目的格の3つですが、古い英語ではそれ以外の格がありました。
また昔の英語では、動名詞は -ing、現在分詞は-inde
という異なる語尾を持っていました。
両者はやがて、発音が似ていたために -ing
に統一されたのです。このように、長い歴史の中で
活用形のバリエーションが少なくなり、その代わりに「単語を並べる順番によって意味の違いを
示す」という表現方法が発達しました。その結果、もっとも基本的な文構造として
I ate toast. の
ようなSVOの形(第3文型)が確立したのです。
前置詞は日本語の助詞に似ていますが、両者のあいだには次の2つの点で違いがあります。
@助詞は内容語の後ろに置くが、前置詞は内容語(名詞・代名詞)の前に置く。
A日本語の「を」に当たる前置詞はない。
Aの理由はわかりますね。Vの前後にSとOを置くことによって、自動的に「SはOを〜する」という
意味になるからです。