この本のセールス・ポイント

 

 

この本は,「一般向けの英単語集」です。

 

この本の全体像は,当初企画では次のようなものでした。

 

● 第1集=自然・生活編(見出し語数:4,000〜5,000語)

● 第2集=社会・文化編(見出し語数:6,000〜8,000語)

● 第3集=抽象概念編(見出し語数:4,000〜5,000語)

 

合計で見出し語数は15,000〜20,000語程度,同意語など参考として挙げたものを加えると

その倍くらいを想定していました。

政治・経済・情報・文化などは第2集に入ります。第3集では主に動詞・形容詞を取り上げます。

実際は1冊当たりのページ数に予想以上の制約があるため,3分冊では済みそうにありません。

たとえ10冊になろうと20冊になろうと,この本をシリーズとしてすべて出すことができたなら,

世の中の多くの英語学習者に受け入れられるはずだ,と私は信じている次第です。

 

一般に大学受験生が覚えるべき単語の目安は3,000語(難関大でも5,000〜6,000語)程度

ですから,本書のシリーズは量的にはかなり多いと言えます。

なぜ語数が増えるかと言えば,幅広いジャンルの単語を収録するからです。

 

「現代用語の基礎知識」や「イミダス」のような事典の英語版は,いくつか出ています。

しかしそれらは,世の中の森羅万象をカバーしているわけではありません。

具体例を挙げます。

 

@ knowledge(知識),exact(正確な),determine(決心する)・・・

A deficit(赤字),lawsuit(訴訟),insurance(保険)・・・

B crackdown(取り締まり),retaliation(報復),evacuate(避難させる)・・・

C hay fever(花粉症),sewage(下水),hair restorer(毛はえ薬)・・・

D rib(傘の骨),comb(鶏のとさか),pine cone(松ぼっくり)・・・

E swing(ブランコ),reindeer(トナカイ),gargle(うがいをする)・・・

 

@は,大学受験向けの英単語集に載っている単語です。

Aは,TOEICなどのいわゆるビジネス英語向けの単語集に載っています。

Bは,英字新聞などを読むための重要単語集に載っています。

Cは,大人向けの日常会話に関する英単語集に載っています。

Dは,「絵でみる英単語」などの事典類に載っています。

Eは,幼児向けの英単語集に載っています。

 

さて,これらの単語をすべて掲載した単語集は存在するか?

私の知る限り,1つもありません。

でも,上の例に挙げた単語は,われわれが日常生活の中で英語に接するとき,

知っておく方がよいのではないでしょうか?

 

「辞書には全部載っているじゃないか」と思われるかもしれません。

しかし,辞書と単語集とでは役目が全く違います。

辞書には何でも書いてあるけれど,それらを全部覚える必要はありません。

一方単語集は,「覚えるべきことが過不足なく書かれている」のがベストです。

ポイントは,「過不足なく」ということです。

英単語をまとめた市販本はすべて,次のどちらかに分けられます。

 

@ 検索機能を重視した本は,詳しすぎて覚えきれない。

A 暗記のための本は,網羅的でない(語数が足りない)。

 

今回の単語集の最大のセールスポイントは,「ここまでは入れておこう」

「これは外そう」という線引きのバランスです。

どこで線を引くかは,もちろん私の主観によります。

目安は,「一般の日本人が日常会話で使う頻度」です。

 

たとえば,「」というジャンルを考えてみます。

この本では,次のように線を引きました。(今回は生物分野がカットされたので未収録)

 

《収録した単語の例》

cod(タラ)・herring(ニシン)・saury(サンマ)・sardine(イワシ)・horse mackerel(アジ)・sea bream(タイ)・flatfish(ヒラメ)・globefish(フグ)

《収録しなかった単語の例》

filefish(カワハギ)・sand borer(キス)・mullet(ボラ)・halfbeak(サヨリ)・rock trout(アイナメ)・hair tail(タチウオ)・amberjack(ヒラマサ)

 

釣り師ではなく「一般の人」が日常使う頻度が高いかどうか?で決めました。

居酒屋へ行けばカワハギやサヨリも出てくるだろう,と言われれば確かにそうですが。

 

市販の単語集にもジャンル分けしたものは,たくさんあります。

しかしそれらはすべて,ジャンルも単語も網羅的ではありません。

たとえばここに,2冊の本があります。

 

(A)ジャンル別  最新日米表現辞典(小学館)

(B)話すための英語 日常会話編(井上一馬・PHP新書)

 

(A)は,検索機能重視の単語集です。現代用語を中心として,ジャンル別に約15,000

 が収録されています。「辞典」とあるとおり,取り上げられたジャンルの単語は非常に

 詳しく載っています。たとえば「料理」というジャンルに魚の名前を表す単語が列挙

 されており,ここには「うばざめ(basking shark)」「にぎす(deep sea smelt)」

 など,「暗記する必要のない単語」がたくさん含まれています。その反面この本には

 欠落したジャンルも多く,たとえば生物・地理・芸術などは含まれていません。

 その意味で,和英辞典よりも検索機能は劣ります。

 一方(B)は,3年ほど前にベストセラーになった本です。力作だと思います。

 しかし,網羅性という点では不完全な印象を受けます。ジャンル分けがなされていますが,

 タイトル通り「日常会話の表現集」に近い内容で,単語よりもフレーズが中心です。

 その分,単語の数は少なくなります。たとえば「料理」というジャンルに調味料を表す

 英語が挙げられています。「みそ(soybean paste)」「しょうゆ(soy sauce)」

 「ごま(sesame)」などは入っていますが,「からし(mustard)」「わさび(horse

 radish)」「とうがらし(red pepper)」などは入っていません。

 私は,これらの語も入れるべきだと考えます。

 

今回作ったのは「自然・生活編」というタイトルで,当初は次の9分野に分けていました。

 

@ 自然(気象・地形・環境など)

A 生物(動物・植物・魚など)

B 人体・医学(体の部分・病気・身体動作など)

C 人間(世代・家族・結婚など)

D 家具・日用品(寝具・電気器具など)

E 住居(建築・家屋・掃除など)

F 生活・衣類(買い物・散髪・着用品など)

G 食事・食物(食材・調理方法など)

H 暦・日時(季節・時刻・祝祭日など)

 

ページ数が増えすぎて1冊に入り切らないという事情で,今回はC〜Gのみの収録となりました。

一般社会人向けの単語集なので,たとえばBの「人体・医学」には「性欲」という小区分もあり,

love portion(媚薬)・ molester(痴漢)・transvestism(女装趣味)・massage parlor

(ソープランド)などといった語も収録しています。

※ もっとも,まだネイティブチェックが済んでいないので,いくつかの語はカットされるかもしれませんが・・・

 

 

 

 

 

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