2003/01/29 up 2004/11/08 更新
初めてのコブダイ・スモーク
※このレシピは,タカさんからいただきました。
コブダイのスモーク(その1:温燻法)
経験者エスパーさんの助言を参考に、ネットでも調べ、自分なりに工夫して挑戦してみました。
以下、鍋と電気コンロ以外は全てホームセンターで調達しました。
全部で1000円くらいだったと思います。
下ごしらえ:材料は、12月23日にエスパーさんが釣った51cmのコブダイです。今回は1.5cm厚の切り身を使いました。塩をふって冷蔵庫の中に寝かせておいたものです。
なかなか半乾きにならず、湿ったままだったのでペーパータオルで湿り気をふき取りました。
試食して分かったんですが、塩をふりすぎて、塩の潮解により湿り気が抜けなかったようです。
燻煙発生器:燻煙材の温度を400℃以上に上げると発ガン物質が生成されるかも、です;農林水産省「消費者の部屋」
http://www.maff.go.jp/soshiki/syokuhin/heya/qa/alt/altqa020617.htm
今回は小型の電気コンロ(1200、600、300W切り替え式)に底の平なステンレス鍋を乗せ、
300Wの低温で煙を発生させました。おが屑をブロック状に固めた燻煙材があって、
線香のように煙を発生させると簡単ですが、火がついている部分が高温になるので気になって、これは止めました。
燻煙材:今回は桜のチップ1袋(500g:写真1)を買ってきて、内200g程を使いました。本当はリンゴの木のチップがほしかったんですが、直前に売り切れたとの事です。
写真1
燻煙室:ガスコンロ用アルミ衝立2枚をクリップで留めて、四角い縦長の燻煙室を組
み上げ、これを電熱器の上に乗せるだけです。
食材棚:燻煙室の上の縁に針金を折り曲げて作ったフック4個を取り付けて、上端から10cmくらいの位置にステンレス網棚を水平につり下げました(写真2)。
写真2
この上に切り身を並べ、燻煙室の上にアルミホイルで蓋をします。
完全に密閉すると温度が上がり過ぎるので、上蓋には隙間があった方が良いと思います。
燻煙法:電気コンロを300Wにセットし、燻煙チップ100gを入れた鍋を置き(写真3)、燻煙室を乗せて放置します(写真4)。
写真3 写真4
途中、燻煙室毎持ち上げて、鍋に燻煙材のチップ100gを追加して、
全3時間燻煙しました。茶色くなったら完成です(写真5)。
終了時、燻煙材のチップは黒い墨になっていました(写真6)。
これが白い灰になっていたらチップに火が着いた証拠なので、温度が上がりすぎです。
写真5 写真6
試食結果:冷蔵庫に3時間寝かせて食べてみましたが、塩が効きすぎて、そのままでは塩辛かったです。結局、身をほぐして鮭茶漬けのようにして食べたらまあまあでした。
次回は切り身でなくて、三枚に下ろした片身を丸ごとやってみます。
そのためにはコブダイが必要なんですけどね。
◆ 以下の記事は,2004年11月8日に追加しました。
コブダイのスモーク(その2:冷燻法)
冷燻法について
その1の温燻法は燻煙器の仕組みが簡単なので手軽にできることがメリット。
しかし、保存食としての薫製は、本来、燻蒸室の温度を30℃以下に低く押さえた
冷燻法でやるものらしい。ちなみに、スモークサーモンとしてパック入りで売られて
いる軟らかいものは薄めた木酢液に漬け込んだもので燻煙をかけたものではない。
燻煙器
今回は冷燻法ということで、市販されているステンレス製の焼却炉を燻蒸室として
用い、発煙器を外に置いたものを仕立てた。発煙器は電気コンロの上に大きめの
空き缶を乗せ、燻煙はアルミホイルで筒を作って、焼却炉の灰取り口から燻蒸室
内へ導いた。また、アルミホイルの一部を破いて小さな穴を空け、そこからスプーン
で燻煙材のチップを補充した。
これで、燻蒸室の温度は殆ど上がらず、理想的な冷燻が実現した。
下ごしらえ(60cm前後のコブダイの目安)
1)塩漬け水の準備:
鍋に水1リットルを入れ、塩90グラム、砂糖10グラム、胡椒、セージ、タイム
などのハーブ少々を加えて沸騰させ、冷ましておく。
2)塩漬け:
コブダイは三枚におろして冊取りし、皮はついたままにしておく。大きめの
タッパーに1)の塩漬け水を入れ、コブダイの身を6時間から一昼夜程度浸す。
3)塩抜き:
タッパーの塩漬け水を捨て、水道水を少しずつ流しかけて溢れさせながら
30分〜1時間程塩抜きする。
4)風乾:
コブダイの身を取り出し、キッチンタオルで水気を丁寧にふき取った後、ハーブ
ソルトを全体にかるく振りかけ、虫除け網の中に吊して日陰で風乾させる。
ラップをしないで冷蔵庫に入れるだけでも乾燥する。乾燥の目安は表面が
半乾きになる程度。湿度や気温によって異なるが1〜3日間程度か。
燻蒸
ステンレスの網棚を針金で吊り下げて燻蒸室の上端から15cmの深さの位置に
セットする。食材はここにつり下げても良いが、面倒なのでこの上に並べた(写真1)。
写真1
薫蒸室に蓋をして、市販されている燻煙チップ(今回はリンゴ)100グラム程を発煙器に
入れて燻蒸を開始する(写真2)。
写真2
電熱器の出力は最初600W、煙が出だしたら300Wにする。煙はわずかに漏れ出る程度。
煙の出が悪くなったらチップを補充して、途中、身を裏返し、6時間で完成(写真3)。
写真3
本格的な冷燻法ではごく僅かの煙で1週間程かけてじっくりと燻すそうだが、そうすると
かなり硬くなってしまうらしい。長期間の保存を目的とするのでなければ、短時間で
仕上げる程軟らかくて美味しいので、上記の方法がお薦め。
美味しく仕上げるコツ
発煙器の温度を上げすぎるとチップに火がつき「熾き」になって、青みがかった煙が
威勢良く出て煙たい。一見能率的に思えるが、こうなるとリンゴのチップでも苦みが
出る。この場合、燻煙を終了した時点で白い灰が少しだけ残った状態になる。
白い煙が少しずつ出るのが良く、最後に黒い炭が沢山残っていれば成功。
保存
薫蒸が終了したらひとつずつ和紙にくるんで、さらにラップをして冷蔵庫で保存する。
完成して一週間後以降が味が馴染んで食べ頃となる。
食べる
薄くスライスしただけで酒のつまみになる。これに塩コショウ、または醤油をかけて
ご飯の上に並べ、お茶漬けにしても良い(写真4)。
写真4