2001/01/03 up
◆ おせち釣行記(2001) ◆
去年は「自前の,かつ新鮮な魚を使っておせち料理を作る」という無謀な計画を立てたため,多大な苦労をした。今年はほとんど市販品を使ったが,ちょっとだけ釣り魚も入れたかった。構想を立てたのは,次の3品。
● 自家製田作り:田作り(ゴマメ)は,今まで美味いと思ったことがない。縁起物だから味は二の次だし,だいいちイリコ(煮干し)を調理して美味いわけないだろう,という気もする。そこで,自分で釣ってきた小イワシを干して作ってみたらどうだろうか,と考えた。
● カサゴの煮こごり:料理の本を見て美味そうだったので。カサゴはゼラチン質が豊富なので,新鮮なやつを煮こごりにしてみようと思った(ただし調理するときは粉ゼラチンを多少加える)。
● 小メバルのマリネ:去年も作った料理。一応釣った魚を一品でもいいから入れたかったので。去年は三原(須波)で調達したが,今年はもう少し近場で釣る予定を立てた。
◆ 12月27日(水) 常石港波止
● この日は,小メバルのマリネの材料調達。夜釣りならどこでも釣れるはずなので,家から一番近い釣り場の一つである常石港の波止へ行ってみた。夕方6時ごろ出て,釣具店で青イソメを300円購入。20分ほどで釣り場に着く。夜中が満潮になるのでまだ潮位が低い。のべ竿のさぐり釣りをやろうかとも思ったが慣れていないので,電気ウキを使うことにする。タナはベタ底で,いつものウキさぐり釣りのスタイル。波止中央付近の外向きで釣る。最初にちょうどいいサイズ(13cmくらい)のメバルが釣れたので順調かと思ったが,その後はクロソイの連続。しかも10cmちょっとの小型が多い。クロソイ(地方名=ガクメバル)はメバルとカサゴの中間のような肉質で,煮付けにすると美味い。ただちょっと骨が固そうなので,果たしてマリネにできるかどうか・・・。しかしともかくキープしておく。20cm級が1尾だけ混じったが後は全部小型で,ソイが10匹ちょっと,メバルが3匹釣れた。途中当たりがぱったり止まった時間帯があったのでけっこう手間取り,気がつくと時計はちょうど9時ごろになっている。これぐらい釣れれば十分なので,仕掛けを片付けて車に戻った。
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実は,この日の話はここから始まるのだった。キーで車のトランクを開け,バケツに入れたソイ(水は5cmほど入っているだけ)と竿をほうり込む。上着も脱いでトランクに入れ,バタンと閉める。さて帰るか・・・とドアを開けようとすると
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もうおわかりですね。そうです。キーを上着のポケットに入れたまま,トランクに放り込んでしまっていたのです。キーもサイフも車の中で,電話もかけられない。駐車場の前の釣具店ももうシャッターが降りている。夜の9時過ぎでは,近くの店も開いていない。仕方なく最寄りのコンビニで電話を借りることにした。最寄りとは行っても,内海大橋のふもとのコンビニまでかなり距離がある。悪いことに車の運転用にサンダルに履き替えていて(靴はトランクの中),しかも上着もない。海岸(常石造船)沿いの真っ暗い道を寒さに震えながらとぼとぼ歩き,内海大橋へ上る坂道を越えてようやくコンビニへ。ここで「待てよ,そう言えばこの先に交番があったな」と気づく。同時に「そう言えば,交番の近くにタクシー会社があったな」とも。この時点でやっと別の道を通った方が近かったことに気づいたが,とにかくタクシー会社まで歩くことおよそ30〜40分。どうにか家に帰ると,10時半を回っていた。
● 翌朝,親父の車に乗せてもらい常石波止の駐車場へ。トランクを開けてみると,魚はまだ全員元気に生きている。1尾ずつつかんで別の袋に入れようとしたとき,指の先に「チクッ」ときた。まるでカナコギ(ハオコゼ)に刺されたような痛みがある。まさかソイに毒のいるのがいたとは知らなかったが,しばらく指先が疼いた。それやこれやで大変なトラブルの末,その夜に小メバル・小ソイのマリネは完成したのだった。ソイの味はメバルと全然変わらなかった。→ おせち釣行記へ
◆ 12月29日(金) 生口島・瀬戸田高校裏波止
● この日から年末の休みに入る。おせちの準備もタイムリミットなので,万全を期して瀬戸田まで釣行。狙いはカサゴと小イワシ。こんなもん釣るのに2,900円かけて来るとは金がもったいないのは間違いない。しかし,おせち作りは男のロマン(?)であるので,意地でも食材を調達するつもりで出かけた。午前9時ごろ現地に到着。満潮までまだ4〜5時間あり,小イワシの姿は見えない。最初にカサゴを狙うことにして,左側の波止の内側でぶっこみ釣りをした。投げ竿を4本出し,ジェット天秤10号のオモリにハリス(2号)を15cmほど結んで,冷凍キビナゴをエサにして敷石の際(10mくらい沖)を狙う。以前12月にこの釣り方でこの波止でカサゴがよくヒットしたので,まあ今日も大丈夫だろう・・・と思っていた。
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ところが,2時間で釣れたのは1尾(18cm)だけ。これ以上期待できそうにないので,その波止の左側の駐車スペースの前でさぐり釣り(エサはモエビ)をすることにした。しかし既に満ちの潮が速く流れる時間帯になっていて,ガン玉だと仕掛けが底まで沈まない。中通しオモリ2号でも3号でもビュンビュン流されるので,とうとう5号で攻めることにした。こんな思いオモリでさぐり釣りをすれば根掛かりの連続になるのは目に見えており,結局ここでも2時間ほどでカサゴ1尾(18cm)とメバル2尾(16・14cm)しか釣れなかった。カサゴには見切りをつけ,右側の波止へ移動して小イワシを狙ってみたが,全く姿が見えない。小イワシは多い年には福山は尾道周辺の波止でも正月ごろ入れ食いになるが,今年の12月に小イワシを見たのがここ瀬戸田の波止だけだったのだ。結局,高い金を払って来たのに食材の調達は不調に終わった。
● やむなく,自家製田作りは断念。カサゴの煮こごりは,一応作りはしたが身が足りないので,スーパーで買ったカサゴをまぜて作る羽目に。この料理は魚をゆでてから身をほぐし,ダシに入れて固める。ゆで上げてから,釣ってきたカサゴと買ってきたカサゴの身を食べ比べてみた。やはり差は歴然としている。カサゴが7〜8尾くらい釣れていればいい料理になっていただろうに・・・残念!(メバルは淡白すぎてこの料理には不向きだった)