ゴールデンウィークも今日で終わり。明日から仕事が忙しくなるので,今日の午後はゆっくり過ごしている。
夕食まで時間つぶしに日記でも。
◆カープ
きのうは9点差を逆転されるというとんでもない試合だったが,カープは開幕からまずまず調子がいい。
カープ関係で今年一番驚いたのは,中国新聞のコラム「球炎」の変化だった。
開幕の頃は去年と同じ調子だった。
開幕戦で負けた翌日の記事も,「優勝して気が緩んでいるから負けた」というような軍隊調の精神論だった。
ところがしばらくすると,どの執筆者もネガティブな(愚痴っぽい)ことを全く書かなくなった。
推測するに,上層部からの強い圧力があったのだろう。
そうでなければ,執筆者全員が同時に姿勢を一変させるとは思えない。
結果的には大変結構なことだ。
多くの読者は,書き手が脳内で作り上げた「負けた原因の分析」を装った愚痴を読みたいわけじゃない。
今のようなトーンの記事がこれからも続くことを願いたい。
野球そのもので言うと,誠也と同級生の西川くんという子はすごいね。
丸がFAでロッテへ移籍したら,西川が3番を打つんじゃなかろうか。その頃の1番打者は野間だろうか。
投手では,加藤くんを何とかしてやりたい。ああいう投手を一人前にしてこその「育成力」だろう。
◆FX
上の娘が,自宅でできる小遣い稼ぎをやりたいと言って,今FXを一生懸命勉強している。
FXは
Foreign Exchange(外国為替)の頭文字で,為替差益でもうける投資のことらしい。
たとえば円とドルの為替レートを見ながら,儲けが出るように両替を繰り返すようなイメージ。
オヤジは投資には全く興味がないので,まあ頑張れよと言っておいた。
ただし本人が「20万投資する」と言うので,「それがゼロになったらきっぱり手を引け」とは言った。
パチンコと同じで,負けを取り戻そうとして深みにはまったら困る。
まだ実際の取引はしていなくて,今はシミュレーションの段階らしい。
素人には株の方がまだわかる気もするが。トランプ相場とか世間では言っているし。
しかし改めて本屋の棚を見ると,「お金が儲かる」といううたい文句の本が山ほど出ている。
特に「自分はこうして金持ちになった」という体験記を買う人の気持ちがよくわからない。
著者の体験談を読んで自分も成功したような気になるのだろうか。
暴走族上がりで教育評論家になった元予備校講師の吉野敬介氏は,自己啓発本をたくさん出している。
彼は一念発起して大学受験を目指した頃,毎日20時間くらい勉強していたとどこかで読んだことがある。
それだけ勉強したら成績も上がるだろうが,普通の人には真似できない。
しかしそういう「偉人の伝記」的な本に惹かれる人も,世の中には大勢いるのだろう。
宝くじはめったに当たらないが,「当たるかも」というワクワク感を得るためにお金を払ったと思えば
外れても納得できるかもしれない。FXで金を失っても,それは1つの人生勉強ということで。
◆憲法改正
ここ1〜2か月に行われた世論調査の結果を比べてみた。
質問は「今の憲法を改正すべき[する必要がある]か」で,結果は次のようになっている。
NHK
: イエス(43%) / ノー(34%)
朝日新聞
: イエス(41%)
/ ノー(50%)
毎日新聞
: イエス(42%) / ノー(42%)
読売新聞
: イエス(49%) / ノー(49%)
産経新聞
: イエス(53%)
/ ノー(40%)
1つの興味深い点は,同じテーマの世論調査でも,実施の主体によってここまで差が出ることだ。
一般的には,NHKは(ほぼ)中立,朝日・毎日は左寄り,読売・産経は右寄りと言っていいだろう。
この中では,朝日と産経の違い(赤字)が際立っている。
ちなみに「憲法9条を改正すべきか」については,多くの世論調査では「ノー」の方がかなり多い。
たとえばNKH調査では「イエス(25%)
/
ノー(57%)」。しかし産経の調査では「イエス(56%)
/ ノー(38%)」だ。
新聞は自分のところの読者を対象にして調査をするのだから,この結果は当然と言えば言える。
ただ,結果を見て「これが世間一般の意見だ」と考えるとしたら,朝日や産経の読者は気をつけた方がいい。
憲法に限ったことではないのだから。
ちなみに「あなたは憲法改正(あるいは9条改正)に賛成ですか?」と問われたら,こう答えよう。
@憲法改正そのものには賛成。
Aしかし,安倍自民党が提出するであろう憲法草案には反対。
B9条の改正にはあまり関心がない。(改正してもしなくてもどっちでもいい)
ちょっと話がずれるが,世論調査には次の質問をぜひ入れてほしかった。
「憲法の存在意義は何だと思いますか?次の2つから選んでください。
(A)統治者の権限を縛ること。
(B)国の理想の形を表明すること。」
安倍総理および(日本会議を中心とする)自民党の議員たちは,(B)を志向している。
一方大半の憲法学者たちは,憲法の目的は(A)だと考えている。
これは思想の対立であり,どちらが正しいかという問題ではない。
だったら,国民が選べばいいんじゃないかな。
あなたの意見は(A)ですか?それとも(B)ですか?
もちろん「どっちでもいい(自分には関係ない)」という回答もありだ。
自民党の改正憲法案が(B)に寄ったものになった場合,それに賛成するもしないも各自の自由だ。
要するに安倍政権下での憲法改正の本質は,「思想の選択」だと言える。
すなわち,民主主義と君主主義のどちらを選ぶのかということだ。
このことに比べたら,9条の改正など瑣末な問題でしかない。
安倍総理を含む日本会議の人々は,君主主義を志向している。
国会議員は選挙で選ばれるが,国会や政府が国の一番重要な機関ではない(と彼らは考える)。
国家の基盤は昔の言葉で言えば「国体」であり,その象徴としての天皇だ。
だから当然国民は,国の基盤を損なわないよう努力することが求められる。
そこから「家族を大切にする」ことを憲法に盛り込むべきだ,などという主張も出てくるわけだ。
そう考えたい人は,それでいいのじゃないかな。
そして国民の過半数がそういう「思想」を支持したなら,それは国民が君主主義を選んだということだ。
民主主義的手続きによって君主主義が選ばれるというパラドックスが起きたとしても,それは仕方がない。
最初の問いに戻ろう。
オジサンは民主主義を選ぶから,「安倍政権下での(君主主義に接近する)憲法改正」には反対だ。
逆に憲法改正そのものに賛成するのは,こうした議論が今後起きないように,
憲法の性格を今より明確にする方向で改正するのがよいと思うからだ。
たとえば前文に,次のような文言を入れればいい。
「この憲法の目的は,国民が最低限守るべき義務を規定し,
その義務以外の権利を保障するために統治者の権限を制限することである。」
こういう方向の憲法改正案がもし野党から出されたら,そっちに賛成するけどねオジサンは。
◆政治家の失言
自民党議員の失言が相次いでいる。以下はあちこちのサイトから拾った記事だ。
●今村雅弘復興相が所属する自民党二階派のパーティーでの講演で4月25日、東日本大震災について「東日本大震災の被害は、まだ東北で、あっちの方だから良かった。首都圏に近かったりすると、莫大(ばくだい)な甚大な額になった」と失言。「被災地の気持ちを逆なでする最低の発言」(自民党幹部)と受けとめられ、そのパーティーに出席していた安倍首相も「瞬間的に切れ、激怒した」(周辺)という。今村氏は4日の記者会見で、東京電力福島第1原発事故に伴う自主避難者の帰還に関して「自己責任」との見解を示し、謝罪、撤回した矢先だった。
●安倍内閣の閣僚から、また失言が飛び出した。山本幸三・地方創生相が2017年4月16日に大津市内で行った講演で、文化財の振興をめぐり「一番のがんなのは学芸員」などと発言。批判が相次いだため、翌17日には発言を撤回、謝罪した。
●大西英男衆院議員は3月24日、所属する派閥の総会で、衆院北海道5区補欠選挙の応援で現地に入った際、立ち寄った神社で巫女に支援を求めたところ「自民党は好きじゃない」と返されたと話し「巫女のくせに何だと思った」と述べた。「巫女さんを誘って札幌の夜に…」と際どい発言もあり、25日に謝罪コメントを発表した。
●務台俊介衆院議員がは3月17日、国会内で行われた会合で「『保育園落ちた』との話があるが、東京を便利にすると、ますます東京に来て子育てしようとなる。ある程度、東京に行くとコストがかかり不便だ、としない限りダメだ」と言い放った。
こういうニュースを聞いて何を思うかは人それぞれだろうが,その「思い」には自分のこれまでの人生が投影されると思う。
「(立派であるべき)国会議員のくせにけしからん」と思う人もいるだろう。
「やっぱり国会議員はダメだ(あいつらはみんなそういう人間だ)」と思う人もいるだろう。
「議員の立場がどうこうより,人間として失格だ」と思う人もいるだろう。
「悪口を言われた人(たとえば学芸員)がかわいそう」と思う人もいるだろう。
「ちょっとした軽口のつもりで言ったのだから,大目に見てやってもいいのに」と思う人もいるだろう。
オジサンの感想は,上のどれでもない。
「失言をした本人がどうなろうと知ったことではないが,彼の家族(特に子ども)が気の毒だ」
とオジサンは思う。この思いには,オジサンのこれまでの人生が投影されているのだよ。
◆銃剣道と教育勅語
まず銃剣道について。
●文部科学省は3月31日付の官報で「新学習指導要領」を告示した。中学の保健体育では、武術の種目として新たに「銃剣道」を加えた武道9種目が記された。これについてTwitterなどでは、戦前に学校の軍事教練に採用されていたことから「時代錯誤だ」と反対する声がある一方、「剣道と変わらない」などと肯定する意見もあり、賛否両論さまざまな意見が出ている。
上に書いてあるような「反対意見」を主張する人たちは,いわば「思想の奴隷」だと思う。
実利主義的な観点から言えば,銃剣道が学習指導要領に入ったからといって現実は何も変わらない。
どこかの中学で銃剣道を教えようと思っても,そもそも指導できる人がいないだろう。
以下はウィキペディアの記事だ。
●昭和31年(1956年)、銃剣道の全国組織として全日本銃剣道連盟が結成され、初代会長に旧陸軍大将今村均が就任。銃剣道は旧軍の象徴的種目という負のイメージで捉えられ、社会一般からは白眼視されたが、その後日本体育協会、日本武道協議会に加盟し、身体育成や精神修養を目的とする武道として再興した。一般部門も存在し排除されているわけではないが積極的な勧誘は行われておらず、自衛官が競技人口の大半を占め役員の多くも元幹部自衛官、一般部門も元自衛官や子息が多いなど事実上『自衛官の競技』という状態である。自衛官であるため一定の競技人口が存在するため衰退こそないものの、災害派遣などで人が揃わず大会が中止されるという事態が度々起きている。
こんな調子だから,銃剣道を体育の授業に取り入れようという中学校は,少なくとも公立ではゼロだろう。
森友のような私立中学が銃剣道を教えるのは勝手だ。生徒も自分で自分で選んだ学校だから文句は言うまい。
その中学の卒業生の多くは自衛官になるかもしれないが,それもいいんじゃないの。
次は教育勅語関連のニュースだ。
●安倍内閣は3月31日、戦前・戦中に道徳や教育の基本方針とされた教育勅語について、「憲法や教育基本法等に反しないような形で教材として用いることまでは否定されることではない」との答弁書を閣議決定した。だが、教育勅語は、過去に国会で排除・失効決議が出ており、答弁書との整合性や、教育現場でどのように使われるのかが問題になりそうだ。
これについては,「こんなどうでもいいことを閣議決定したこと」の妥当性には問題があるだろう。
しかし,安倍内閣の言っていること自体は,民主主義的な観点から言えば間違いではない。
森友のような学校が教育勅語を教えたとしても,それは違法ではない(だろう)。
同様に「テロリスト育成教育」をするような学校があっても,おそらく法律上の罪は問えないだろう。
共謀罪は適用できない。具体的な犯罪の着手や謀議がないからだ。
要するに,少なくとも私立の学校が生徒に対して「思想教育」を行うことを,法律は禁じていない(はずだ)。
逆に「教育勅語を学校で教えるなどケシカラン」と主張する人たちは,他人の思想を自分の価値観で判断しようとしている。
そういう人は「民主主義の敵」と言っていい。
マスコミが民主主義の守護者としての役割を果たしたいなら,「思想の自由」を最大限に尊重しなければならない。
「教育勅語は国を守るために死ねと言っている。そんなことを教育するのは間違っている」と発言するのは勝手だ。
しかしそれを万人に強制する権利は誰にもない。そこを理解していない人は,民主主義者ではなくファシストだ。
◆ニッポンアニメ100(NHK)
日本でアニメが公開されて今年が100年目だということで,NHKが歴代アニメの人気投票を行った。
5月3日に発表された上位10作品は,次のとおりだった。
1位
TIGER & BUNNY 2011年
2位
劇場版 TIGER & BUNNY The Rising 2014年
3位
魔法少女まどか☆マギカ 2011年
4位
ラブライブ! (TVアニメ1期) 2013年
5位
ラブライブ! (TVアニメ2期) 2014年
6位
劇場版 TIGER & BUNNY The Beginning 2012年
7位
コードギアス 反逆のルルーシュ 2006年
8位
カードキャプターさくら 1998年
9位
ラブライブ! The School Idol Movie 2015年
10位
おそ松さん 2015年
普通の人は1つも知らないですよね。それが正しい社会人です。
しかし見る人が見れば,この結果の意味するところは一目瞭然なのだ。
そもそもこういう人気投票があったことを知っているのは,当然アニメが好きな連中だ。
彼らは「オタクの男子」(ざっくり言えば昔のロリコン)といわゆる「腐女子」とに分類される。
この人気投票は両者の戦いであり,結果は腐女子の勝ちだった。
男のマニアの票は,二次元アイドルたちを描く「ラブライブ」に集まった。
女のマニアの票は,クールな男たちが活躍する「タイバニ(TIGER
& BUNNY)」に集まった。
興味のある人はユーチューブで見てくれ。
腐女子という言葉もBL(ボーイズラブ)という出版ジャンルもまだなかった頃,アニメファンの
コミュニケーションの場として「アニメージュ」という月刊誌が1978年に徳間書店から刊行された。
このとき女性読者の圧倒的支持を集めたのが,同じ年にテレビ放映された「宝島」というアニメの
主要登場人物であるジョン・シルバー(と彼のライバルのグレー)だった。
TIGER
& BUNNYをユーチューブで見ると,キャラクター造形がこの「宝島」とかぶる。
BLが今日の一大マーケットに成長することを予見できた人は,1970年代ごろはおそらく皆無だった。
前にも書いたかもしれないが,当時こんな通説があった。
「ビニ本(アダルト向け写真集や雑誌)はすべて男性向けであり,女性向けの本はない。なぜなら
男は視覚と想像力だけで興奮するが,女は触覚(体に触れられること)でしか興奮しないからだ。」
それが大間違いであることは,1980年代以降の「やおい」文化の隆盛によって証明されることになる。
つまるところ,商業的見地から今日のアニメ作品に最も求められるのは,どれだけ腐女子たちにアピールできるか,
言い換えれば「脳内で二人をカラませて妄想を膨らませることができるようなカッコイイ男の子たち」が必須だ。
たとえばワンピースのゾロとサンジとか。銀魂とか。テニプリ(テニスの王子様)とか。気持ち悪いが。
男には全く理解できないのだが,アニメ人気を実質的に支えているのは腐女子なのだ。腐女子,恐るべし。