最終更新日: 2002/8/17

雑記帳(釣り編-B)


 

● 2002/8/17(土) 夏休み日記 2002 

◆ 8月13日(火)

¶ 8月12日の夜,子供らと女房の実家の広島へ。女房は犬の世話があるので1日遅れて来る。

翌13日は,おばあちゃん(義母)と4人で浜田へ。

行き先は,去年だかにオープンした水族館「アクアス」。

広島インターから浜田道を経由して,現地まで1時間半ほど。

浜田道を降りてからの道が混雑してなかったら,1時間ちょっとで着いただろう。

現地へ着いてまず驚いたのが,敷地が広いこと。

水族館は全体の一部で,ほかに子供向けのアスレチック施設や,イベントステージ,

食堂街などが並んでいる。土地は安いとは思うが,そうとう金かかっとるじゃろうなあ。

それでも広島からけっこう近いし,一日遊べるレジャー施設としてはなかなか立派。

海もすぐ近くにあるので,海水浴もできる。

¶ 水族館そのものの規模は,大阪の海遊館くらい。

大きなサメやハタの水槽に小アジなんかが一緒に入っているのが不思議。

イカとアジも小さい水槽に一緒に入っとったし。なんで食われんのでしょうかね。

一番綺麗だったのは,クラゲ。発光する魚も面白い。

ふだん見慣れた魚は,水槽に入れると色があせるので今イチ。

この水族館の目玉になっているシロイルカの曲芸も見た。

子供らは「かわいい」と言っていたが,図体がデカすぎてちょっと不気味だった。

イベントステージでは地元の神楽保存会が演技していて,なかなか面白かった。

舞台で踊る人は4〜5人で,猿や大蛇の着ぐるみを着てほとんど休みなく長時間演じている。

お囃子の人も大変とは思うけど,暑いさなかに着ぐるみを着て踊る人のことを思うと,

なんぼ好きなコトをやっとるいうても,すごい,としか言いようがない。

和食レストランで食べたお刺身定食が美味かった。

¶ このあと,子供の小学校の理科の課題で何か観察しないといけないというので,

近くの海水浴場で貝殻を拾った。

ウニのカラ(写真右の丸いの)がいっぱいあった。あとは巻貝とカラスガイ。

 

カキのカラは見当たらなかったので,このへんの波止にはカラスガイしかついてないかも。

たいてい消波テトラが入っているようなので,かぶせ釣りにはちょっと向いてなさそう。

ウニがいっぱいあるので,イシダイなんかはおりそうなんじゃけど。

¶ その後,浜田おさかなセンターへ。浜田へ来るときはたいていここに寄る。

瀬戸内海では見慣れない魚をいろいろ売っている。

山陰で夏の魚と言えば,やっぱりマンサク(万作=シイラのこと)。

ノドグロという,グチ(イシモチ)をピンクにしたような魚も初めて見た。

瀬戸内で言うホゴ(カサゴ)は,こちらでは「ボッコウ(没高)」と言うらしい。

いっぺん食べてみたかった「バトウ」(マトウダイ)があったので,購入。

釣り番組に時々出てくる魚で,美味いらしい。見た感じ,ハゲの仲間だろう。

翌日フライにして食べたが,きめの細かい白身で非常に美味だった。

¶ このおさかなセンターのすぐ前が港になっていて,岸壁に釣り客が並んでいる。

見物させてもらうと,ほとんどの人はサビキで小魚を釣っている。

何が釣れているのかバケツを見せてもらうと,いろんな小魚がうじゃうじゃ。

一番多かったのはアミメハギ。それにウマヅラの子。

イサキの子。マダイの子。イシダイの子。

全部5cmくらいの幼魚で,水槽で飼うには最適の大きさ。

イサキの子なんか綺麗な縞模様なので,もらって帰って飼いたかった。

「食えますかね」と聞かれたので,アミメハギ以外は唐揚げで食えるでしょう,と答えておいた。

かぶせ釣り場の下見はできなかったが,わりと短時間で行けることがわかったので,

魚が釣れたという情報が入ったら,山陰釣行にもチャレンジしてみたい。

◆ 8月14日(水)

¶ この日は義兄のアユ釣りに同行させてもらった。

着るものや道具は全部貸してもらう。

アユ釣りはこれが二度目で,2年前にも一度連れて行ってもらった。

そのときは,偶然1尾だけ掛かった。

手元に直接ガツン!とくる感触が,かぶせ釣りに似て気持ちがよかった。

今日も,できれば1尾釣りたい。

アユ釣りに必要な鑑札を持ってないので,見つかったら金を取られる。

人気の少ない場所で釣ったら大丈夫だろうということで,朝8時ごろ出発。

山陽道広島インター近くの毘沙門台団地から安佐動物園の前を通り,大田川を北上。

後で地図を見たら飯室あたり(?)のポイントへ。

¶ とりあえずオトリアユを確保するため,サビキのような仕掛けで引っ掛け釣りを

するところを横で見せてもらった(本当は禁止らしいが)。

義兄はアユ釣りが専門なので,当たり前だがスタイルも身のこなしも決まっている。

1時間近くやってもオトリが確保できないので,上流へ移動。

沢に生かしてあるオトリアユを取りに行く。

アユを入れ物に入れてそこらへんに置いといたら誰かに盗まれるんじゃないか?と

思ったが,そこは考えてあって,ちょっとやそっとでは見つからないような所に置いてある。

そのアユを持って,さらに上流。加計町か湯来町あたりへ入ったところの,人のいないポイントへ。

¶ ここで義兄がアユを1尾掛けたので,今度は別の竿を出してもらって,

義兄と並んで釣らせてもらった。

アユ釣りの竿は9mくらいで,重さは300gぐらい。

ふだん1.5m・80gくらいのイカダ竿を握っている腕には,ちょっと重たい。

オトリアユをセットしてもらって,流れに乗せて送り出す。

ところが,これがなかなかうまいこといかん。

そもそも,川のどのへんがポイントかわからん。

ポイントを教えてもらっても,そこへアユが泳いで行ってくれん。

奴らは怠け者で,石の陰の流れの緩いところへ来ると,そこでくつろいで

休んでしまう。わざわざ流れの速いとこへ出ていってはくれない。

しょうがないから竿を持ち上げて,むりやり「こりゃ,あっちへ泳いで行け〜」と

けしかける。もちろん魚には声は届かない。

しまいにはオトリを水から出して,竿を振ってむりやり遠くへ放り込む。

こういうことをしていては,オトリはすぐ弱る。で,釣れない。

¶ 最近は大田川のアユもめっきり釣れなくなって,1日で10尾釣れたら大漁だという。

ベテランが10尾だから,シロウトは1尾釣れればいいほうだろう。

20mほど離れたところで釣っている義兄は,ポツポツ掛けている。

ただ,アユの型が大きく,ハリスをだいぶ切られるらしい。

こちらはノーヒット。オトリを釣れたばかりの新鮮なアユに換えてもらっても,

「あのへんにおりそうなんじゃけどなあ」と思うポイントでヒットしてくれない。

しばらくはノーシンカーでやっていたが,竿の操作が下手くそでオトリアユが

浮き上がってしまうので(オトリが底を泳いでいないと絶対釣れない),

オモリをつけてもらった。そうすると今度は,根掛かりしやすくなる。

竿の操作の基本は「オトリを移動させたいときは竿を立てる

ポイントに入ったら,上流に軽く引くつもりで竿にテンションをかけながら待つ

糸を緩めたら根掛かりするので,糸は絶対緩めない」ということで,

頭ではわかっていてもどうにも要領がつかめない。

一番難しいのは,オトリが今どのへんの深さのところを泳いでいるのか?が

わからないことで,ちょっと油断するとすぐ糸が緩んで根掛かりする。

逆に力を入れすぎるとオトリが浮き上がって釣りにならない。

大雨が降り出して服はビショ濡れになったが,それどころではない。

バラシでも何でもええから,1尾掛かってくれ〜!

¶ 昼食も食べずに1時を回る頃まで釣ったが,結局ノーヒット。

足をすべらせて川の中でころんで上半身ずぶ濡れになったところで,ギブアップ。

竿の操作が下手なので,川の真ん中のポイントまでオトリを出そうと思ったら,

どうしても自分が川の中へ入っていかざるを得ない。

水深はせいぜいヒザの上くらいまでしかないので溺れる心配はないが,

流れが速いので,川の中でコケたらそのまま体が流されそうになる。

釣りをしていて死んだという記事が時々新聞に出るが,その理由がよくわかる。

こりゃあ,下手な人ほど危険な釣りじゃなあ,と思った。

¶ 義兄はこのときまでに3尾をキープ。

どれも22〜23cmくらいありそうな良型で,アユとしては立派な型。

昔は30cm級も釣れたらしいが,今はそういう型は江の川にでも行かないと

無理だろう。アユは20cmを越えたらけっこうなサイズに見える。

¶ 服がズブ濡れなので一足先に帰ってシャワーを浴びて,夕食の支度を手伝った。

夕方戻って来た義兄は,結局アユを7尾持ち帰った。

アユ釣りは神経を集中していないと釣れないので,かぶせ釣りと似たところがある。

チャンスがあれば真面目にやってみたいと気もするが,なにしろ道具が高い!

竿は平均15万円くらいで,高いのになると50万円ぐらいするらしい。

15万円あったら,イカダ竿が50本買える。

義兄のタモは手作りの竹製で,柄の曲がり具合がシブい。

アユ釣りはのめり込む人が多いし,釣れはしなかったが,面白いことは理解できる。

1年に1回しかチャンスがないが,来年は絶対1尾釣っちゃる!

その前に,川にはまってコケんようにせんと。


 

● 2001/12/2(日) 波止のフェンスのこと 

¶ 福山方面の釣り人には周知のように,沼隈から内海町にかけての3つの波止が,

ここ数年の間に次々に立ち入り禁止になった。

早い順に言うと,田島の小箱波止・田島の小用地波止・沼隈の能登原波止,の順になる。

詳しくは知らないが,たぶんこれらの波止は県(または国)が造って,

地元の漁協が管理を委託されているのだと思う。

数年前,小箱波止に通った時期があった。

フェンスができて間もない頃で,まだ低いフェンスだった。

だから,釣り人も平気でフェンスの向こうで釣っていた。

しかし,漁協の人が時々立ち寄って,怒鳴ってきた。

船から怒鳴ることが多かったが,歩いて波止へ来ることもあった。

波止の上で,漁協の人と釣り人が口論している場面を何度も見た。

フェンスができる前のことも知っている。

波止の上でバーベキューをして,空き缶や薪の燃えかすを

放置して帰るような,たちの悪いグループもいた。

投げ釣りでも,わざわざ船が通っている方へ投入する人もいた。

もちろん初心者なので,自分のことしか見えていない。

もし自分が船に乗っていたら,こっちを向いて竿を振っているのを

見るだけでも,気持ち悪く感じるだろうと思う。

そんなだから,漁協が波止を立ち入り禁止にする気持ちは,よくわかる。

それくらい,一部の釣り人のマナーは悪かったし,今も悪い。

 

¶ しかし,しかしである。

波止を立ち入り禁止にしても,問題はひとつも解決しない。

たちの悪い連中は,フェンスなど平気で乗り越えて入っていく。

昼間は人目があるので,そういう場面はほとんど見ない。

悪質なのは,夜釣りのグループに多い。

もちろん夜釣りをする人がみんな悪いわけではないので,

マナーのいい人たちには迷惑な話だろう。

ともあれ,波止を立ち入り禁止にしても,図々しい連中は平気で入っていく。

本人たちにとっては,楽しい時間を過ごすのだろう。

そして,そういう連中が波止にゴミを散らかし,船のロープに仕掛けをからませたりする。

大多数の善良な釣り人にとっては,単に釣り場が奪われるという結果しか残らない。

要するに,悪質な奴だけが得をして,無関係な一般の釣り人は不利益を被る,という図式である。

しかも,一部の悪質な連中の行為を防ぐために設置されたフェンスは,その用を果たさない。

一般の人々は,せっかくの釣り場を奪われたことに対して,漁協に反感を持つ。

これを「悪循環」と言わずして,他に言葉があるだろうか。

 

¶ 3つの波止のうち小箱と小用地については,最近はフェンスの向こうに人が入っている。

文句は言われないらしい。

入れるものなら自分も入って釣りたいし,現に今日は小箱のフェンスの向こうに入った。

立ち入り禁止の場所に入るわけだから,後ろめたい気持ちは多少ある。

しかし反面,何の迷惑もかけてない自分(たち)が,

ここに入って何か不都合があるのか?という気もする。

願わくば,あのフェンスが撤去されんことを。

 

船のロープを切ったりカキイカダのカキを盗ったりという犯罪まがいの行為は論外として,

「波止を汚す」ことへの対処の仕方はあると思う。

基本的には,「釣り人は波止を汚すものである」という前提に立った方がいい。

そして,「汚した波止をどうやってキレイにするか?」という部分で

知恵を絞るべきではないだろうか。

「ゴミを持ち帰りましょう」といくら繰り返しても,

世の中に自販機やコンビニがある限り,ゴミの放置はなくならない,とぼくは思う。

ひとつの提案は,「波止の清掃を業者に委託し,その費用を釣り人が支払う」というものだ。

たとえば500円のマキエ1袋に対して,20〜30円の「清掃料」を上乗せする。

釣りエサメーカー(および釣具店)は,売上の中からその代金をプールして,

それぞれの地元の民間業者(または自治体)による清掃費用に当てる。

「自分はゴミは散らかさない」という人にも,一種の税金だと思って支払ってもらう。

もちろん波止にはゴミ箱を設置して,ゴミの回収費用もこのプール金で賄う

こういうシステムの方が,現実的だと思う。

今のままでは,漁業従事者と一般釣り人との心理的な溝が深まるばかりで,

お互いにとって不幸なことだと思うのである。


 

● 2001/11/18(日) 最近のおさかな事情 

¶ 2週間ほど前の中国新聞に,「異変 広島湾」という特集記事が載った。

読んで,びっくりした。書いてあることが,自分の経験と一致するからだ。

出てきた魚は6種類。順番に書くと,次のようになる。

●「今までいなかったアイゴが見られるようになった。」⇒ アイゴは自分ではまだ見たことがない。

●「ウマヅラハギに混じって,カワハギが増えてきた。」⇒ まさにそのとおり。かぶせ釣りの経験から言うと,今まではカワハギは年にせいぜい数尾しか釣れなかったが,今年はウマヅラハギと同じくらいどこの波止でも釣れている。まあカワハギが増える分には,釣る方にとってはありがたい。

●「今までほとんどいなかったササノハベラが捕れるようになった」⇒ 因島の小用で,初めてササノハベラを釣った,と先月の釣り日記で紹介したとおり。

●「タイワンガザミが増殖している」⇒ 海ではまだお目にかかっていない。

●「メジナが各地で釣れるようになった」⇒ これもここ3〜4年のことで,それまでは備後地方の波止にはメジナ(グレ)はいなかった。今はどこにでもコッパグレがいる。

●「暖海性のゴンズイが各地で目撃されている」⇒ 去年だったか,須波のフェリー波止でゴンズイ玉を見た。子供が釣り上げてお父さんに注意されていた。

要するに「海が暖かくなってきて,南の方の魚が出現するようになった」ということらしい。このほか自分の経験から「最近になって見かけるようになった(または初めて釣った)魚」を挙げると,まずサンバソウ(シマダイ)。それに,キビレ(キチヌ)・シマイサキホウボウなど。全部波止で釣った。逆に,アイナメ・カレイといった寒海系の魚は近年パッタリ釣れなくなった。冬場のかぶせ釣りには,ちょっと具合が悪い。

¶ 話は変わって,先日ショッピングセンターの鮮魚売り場へ行ったときのこと。店は東尾道のフジ。魚屋さんと同じスタイルの売り場には,秋の魚が並んでいる。値段は,こんな感じだった(端数は四捨五入)。

● 安い魚で目についたのは,アジ・ヤズ・タチウオ。どれも計ったように,1尾300円。アジは35cmくらいのマルアジ。沖で取れるやつで,波止で釣れるヒラアジ(マアジ)より味が落ちる。ヤズ(ブリの若魚)は40cmくらい。これもまだ脂が乗ってないし,大量に獲れるので安い。タチウオは60cmくらいで,ほとんど食べるところがなさそうだった。山陰産のサゴシ(サワラの若魚)はさらに安く,ヤズと同じくらいのが1尾200円。まああんまり美味くないし。これらを買うなら,1尾100円のサンマか200円のサバを買う方が賢いだろう。

● ハゲ(ウマヅラハギ)は2種類あって,皮をはいであるのが1尾500円。「地物」と表示のある皮つきのが1尾800円。型は30cmちょっとくらい。この値段なら,釣りに行って2〜3尾釣れれば十分モトが取れる。

ギザミ(青ベラ)もけっこう値がよく,地物は1尾500円。「地物」と表示してある魚は総じて値がよく,30cmくらいのチヌも700円くらいで売っていた。

● 高い方で目につくのは,何と言っても地物のメバル。20cmあるなしのが,1尾500円。釣って食う方がよっぽど安い。マコガレイも25cm弱くらいのが700円。「連長ガレイ」という名のついているウシノシタ(うちの地元では「ゲンチョウ」,広島では「レンチョウ」と言う)が,40cm級でやはり700円。先日HPで紹介した「タモリ」(セトダイ)も1尾売っていた。25cmくらいのが700円。

● ふだん釣るコブダイは,当然市場には出回っていない。一度尾道のサティで見たことがあるが,値段は安かった。見かけが悪いし,市場価値はあまりないらしい。

こうやって見ると,釣って食べる魚の市場価格は相当に高い。モトが取れるかどうかという点で言えば,チヌなら2〜3尾,メバルなら4〜5尾,キスやギザミでも数尾釣れれば,金をかけて釣りに行った価値があった,というところだろう。もちろん鮮度も違うし。「魚屋さんで買うのと釣って食べるのとでは全然味が違う魚」の個人的ベスト3は,第1位=サヨリ,第2位=ウミタナゴ,第3位=カサゴ,なのである。


 

● 2001/7/15(日) ルアー釣りと私 

¶ ルアーという釣り具に初めて触ったのは,今から20年くらい前。大学生の頃だった。

学生の頃に入っていた釣りサークルは,「磯班」「渓流班」「湖沼班」の3つに分かれていた。

磯や渓流の釣りはやったことがない。渓流はほとんど山登りらしいし,磯は金がかかる。

で,一番軟弱そうな湖沼班に入った(合宿以外はほとんど麻雀。もっとも他の班も同じだったが)。

メインターゲットがヘラブナなので,釣行場所はもっぱら湖・池・川になる。

当時はブラックバスを釣る人は少数派で,生息(放流)場所も限られていた。

¶ 当時の主なルアーは,プラグ・スプーン・スピナーの3種類。

プラグは今で言うミノー(プラグ)で,一番ポピュラーなもの。

スプーンは,今もあるとは思うがあまり聞かない(ルアーには詳しくないのでよく知らない)。

短冊型の金属片を湾曲させた形のルアーで,水中をくねくね動く。

スピナーは,今では単体ではなくスピナーベイトの形で使うのが一般的のようだ。

小さな金属製のルアーで,水中をスピンして(ぐるぐる回って)進む。

あと,カエルみたいな色と形のポッパーも買った覚えがある。

ビニール製のムカデみたいな形をしたワームもあったが,とても使う気にはならなかった。

どう考えても,あんなモノで魚が釣れる気がしなかったので。

¶ ヘラブナ釣りのついでに,ルアーでブラックバスを狙ってみたことがある。

魚の姿は見えるのに,全然釣れない。多少は反応するが,食いつく気配がない。

もちろん道具も腕も悪かったせいだが。

実は未だに,ルアーでバスを釣ったことは一度もない。

仲間がミミズの生きエサで狙ったら,あっさり釣れた。

それを見て,やっぱりルアーでは魚は釣れないのだと確信した。

そのブラックバスを焼いてみんなで食べてみた。

スズキは英語で bass と言う。同じ仲間とはいえ,ブラックバスは食性のせいかクセが強い。

火は通してあるのに強烈に生臭くて,食えたシロモノではなかった。

あと,(よく覚えてないけど)芦名湖や北海道でニジマスやイトウを狙ったりしたが,

とにかく学生時代には,自分はおろか仲間がルアーで魚が釣った場面さえ見たことがないのだった。

¶ こっちに帰ってきてからは,ヘラブナもやめて海釣り専門になった。

20個くらい持っていたルアーも,釣り道具の棚の奥に眠ったままになっていた。

ここ数年,昔のルアーを時々取り出して,海で使うことがある。

今までにルアーで釣り上げたことのある魚は,タチウオ・セイゴ・エソ・カマス・コノシロ

あと,エギなどをルアーの一種と考えればイカ・タコも。

本気で狙えば,根魚一般のほかチヌやハマチ・アジ・サバなどの回遊魚も釣れるだろう。

ただ,学生時代の経験もあって,あんなオモチャで魚がバンバン釣れるとはどうしてもイメージできない。

場所によっては,根魚釣りには生きエよりもワームの方がいいこともあるという。

釣り雑誌を見て,能登原波止でワームを使ってみたことがある。

フグのエサ取りが多いので,上手な人ならこっちの方が釣れるかもしらんとは思ったが,

その日は魚の当たりは全然なかった。

¶ 実際にルアー釣りをやってみて一番感じるのは,「すぐ飽きる」ということだ。

15分くらい当たりがないと,もうメンドくさくてやめたくなる。

バス釣りとは違って海の場合,「そこに確実に魚がいる」という保証がない。

自分は今,魚のおらん場所にプラスチックのカタマリをポチャポチャ投げとんじゃあるまいか・・・

そういう不信感がすぐ湧いてくる。

テレビの釣り番組で磯のシーバス釣りなんかを見ていると,一日粘って1尾とかゼロとかいうのも珍しくない。

体力も使うし,よっぽど好きでないとやっとれんわ,と思う。

でも,ハワイやらの南の海でのルアーの入れ食いというのも,あんまり楽しいとは思わない。

それでは釣り堀と同じではないか。釣りというのは,「適度に」釣れるのが一番いいような気がする。

それと,ルアー釣りに今イチ感情移入できないのは,(随想のコーナーにも書いたけど)

「ルアー釣り」というジャンルの周辺の人たちがどうも好きになれない,という理由も大きい。

それは釣具メーカーや,バスプロや,うちらの近所の川や池でルアーを投げている若い連中である。

スポーツフィッシングとか,キャッチ&リリースとか,釣りトーナメントとかも,どうも人為的な操作の臭いが強い。

早く言えば,ウソくさい。ゲーセンのバーチャル釣りゲームとどこが違うんだ,という気がしてしまう。

全然話が違うけど,最近日テレの野球中継には,「8時半(だったか?)の男」とかいう賞金ゲームがある。

あれはもう,最悪。アナウンサーもゲストも,試合の中身より賞金の方に興味がいってしまっている。

あれでは野球中継というよりトバク中継だろう。そうまでして視聴率を稼ぎたいのか,と気の毒にさえなる。

で,話は戻るけど。うちの近所の川でルアーを投げている若い諸君。

君たちは,魚を釣り上げたいのではないのかい?

じゃったら,ルアーはやめときなさい。あんなモンじゃ魚は食わん。

ミミズにしなさい,ミミズに。

釣りをゲームと割り切って,釣れようが釣れまいが楽しい,というんならええけど。

しかしワシ,おまーらのだれかが池や川で魚を釣り上げとるとこ,いっぺんも見たことないで。

ルアーを買う金もバカにならんじゃろ?

まあしかし,魚が釣れんでも飽きずに釣りに通うというのは,偉いと言えば偉い。

見方を変えれば,ホンマに釣りが好きなんじゃね,あんたら・・・と言えなくもない。

で,自分もあの頃に戻りたい,という気がしないでもない。

 

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