最終更新日: 2014/11/16

雑記帳 (その他編-21)

 

 

● 2016/10/16(日) 還暦に思うこと

 

きのうは60歳の誕生日だった。

還暦の祝いは2回やってもらった。1回目は,家族で福山の「ステーキ懐石都春日」へ10数年ぶりくらいに行った。

ここは予約の電話を入れると「何かのお祝いですか?」と聞かれるくらいの(福山にしては)フレンチの高級店で,

実際に店の雰囲気も料理も格式が高い。ステーキは個室の大きな鉄板でシェフが目の前で焼いてくれる。

イセエビとステーキ。最後のスイーツに Happy Birthday と書いたチョコのプレートが載っていた。

料理はおいしかったが,次に行く機会が果たしてあるかどうか。

2回目は,13日の木曜日に上の娘のムコさんも来て自宅でホームパーティーをやってもらった。

マザーベアで買ったショートケーキ                ムコさんと。料理は餃子の王将で買った3,500円のオードブル。

 

還暦を迎えるに当たって最初に思うのは,たぶん多くの人も同じだろうが,

「この年まで生きられて運がよかった」「健康が一番大切だ」ということだ。

それから,このHPを出して足掛け17年になるわけで,今までの人生の約3割はこのHPとともに

歩んできたことになる。一時中断したので正確なヒット件数は不明だが,たぶん100万に近い

くらいの数字だろう。初期の頃の常連の皆さんは今どうしておられるだろうか。

あとは,これからはラブライブでもガルパンでも映画館で千円で見られるぞ,とか(見ませんが)。

 

それらはさておき,今思うことを散文的に書いてみたい。

まず,若い頃が懐かしい(あるいはその頃に戻りたい)という気持ちは全くない

もうすぐ死ぬならともかく,公私ともにやるべきことは目の前に山ほどある。

過去を振り返っている暇はない。これからも今まで通りの生活がしばらくは続くのだ。続くといいな。

それを考えると,自営業でよかったという思いはある。

定年がないから,体の動く限りは働いていられる。

ヒマをもてあましてパチンコに通ったりする心配はない。

むしろ近年は忙しくなる一方で,本業に介護や家事や家族の問題やらに追われている。

リア充ではないな,これは。ただのリア忙だな。

一方で,「老後の人生」というものが果たして自分にあるのか?と思うとちょっと寂しい。

仕事をやめるときは体が動かなくなるときだから,そうなると釣りにも行けるかどうか。

もともとイメージしていた理想の老後というのは,朝ゆっくり起きて散歩なんかして,

昼間は読書でもして(もしくは録画しておいた深夜アニメとか見て),午後3時ごろに

ふらっと近くに釣りに行って晩のおかずを調達して,夕方そいつをさばいて料理を作り,

7時ごろからテレビのニュースや野球を見ながら発泡酒を飲む―みたいな感じだったのだ。

しかし最近,それはどうも無理らしいことがわかってきた。

よくよく振り返ってみると,もう20年以上前から,自分の生活の一部は常に誰かの

(あるいは何かの)世話をすることに費やされてきた。子供とか親とかペットとか。次は孫?

そう思うと,家族がおらず(または家族と離れて)一人暮らしをしている人の人生は,

自分の人生とはまるで違うんだろうなあ。どっちがいいとかいう話ではないけどね。

それから,今後生活の中でヒマな時間ができたとしても,何か新しいことを始めようとは思わない。

老後に俳句や絵などの習い事を始める人も多いが,本当に好きなことならもっと早い時期に

始めているはずだし。今やっている「好きなこと」をもっと楽しむ方が簡単で面白そうだ。

それは釣りであったり,こうやってHPに雑文を書くことであったりする。

とにかく死ぬまで何かの形で社会と関わりを持っていたいという気持ちはある。

今はパソコンやスマホがあれば社会とつながることが簡単にできるが,方法は人それぞれだ。

ツイッターやラインやフェイスブックや2ちゃんねるを選ぶ人もいる。

自分にはこのHPが合っている。濃い情報を出すのが好きなんだな。

 

話は変わって。半月ほど前の中国新聞の身の上相談欄に,下のような質問が載った。

このコーナーは,「Yahoo!知恵袋」の新聞バージョンのようなものだ。

質問者は広島市のアルバイト女性(32歳)となっている。(以下は新聞記事の文面のまま)

「交際3年になる1歳年上の彼氏がいます。優しい性格で一緒にいて落ち着くのですが,

結婚を考えると不安になります。派遣で働く彼は年収200万円ほどで,キャリアアップにも

興味がなさそう。パチンコが好きで,一度に給料を使い切ってしまったことも。

『結婚したらやめる』と彼は言いますが,本当にこの人でいいのかなと悩んでしまいます。

子どもが欲しいので結婚は早い方がいいのですが…。皆さん,アドバイスをお願いします」

 

この記事をここに引用したのは,「大人になるとはどういうことだろうか」と考えたからだ。

この質問者を「こいつ,バカ(あるいは子ども)だなあ」と笑うのは簡単だ。

そうやって笑う人はたぶん,「この質問者より自分の方が『大人度』が上だ」と思っているだろう。

そしてそれは,たぶん正しい。じゃあ『大人度』って何なんだ?と問われると,それは答えづらい。

言葉で説明できるようなもんじゃないからだ。

大人になるプロセスの1つは,「世の中にはいろんな人がいる」という知識の蓄積だ。

その「いろんな人」の中には,それまでの自分の常識の範囲内に収まらない(悪い)人が含まれる。

上の質問者に対しては,「今の彼氏のような人間に,32歳になるまで巡り合わなかったことは,

ある意味で幸せな人生でしたね」と言ってあげてもいい。

また一方で,そもそも結婚相手を決めるに当たって他人にアドバイスを求めるという態度自体が

どうなのか?という問題もある。そんな大事なことを自分で決められないようでは大人とは言えない。

しかしだ。そうやって世の中には(自分から見て)悪い奴もダメな奴もいるということがだんだん

わかってくると,「世の中にはいろんな人間がいる」を受け入れざるをえなくなる。

そうすると,ダメダメの実を食ったようなダメ人間が世間にたくさんいたとしても,その人たちを

受け入れる謙虚さが出てくる。自分だって,別の人から見ればダメ人間かもしれない。そうやって

自分目線と他人目線のバランスをとりながら人間を見ることができるようになること― 

大人になるとは,そういうことなんじゃないだろうか。

オジサンに言わせればね,地位が高かろうと一代で財を築いた金持ちであろうと,

「自分目線」でしか人間を見ることができない奴は大人じゃない。子どもだよ。

 

それと,自分の頭で物を考えようとしない奴も,子どもだな。

SMAPが解散したとき,「世界で一つだけの花」の売り上げが大きく伸びたという。

ボブ・ディランがノーベル平和賞を取ったせいで,本人の楽曲の注文が殺到しているという。

(ユーチューブなら無料で聞けるのに)

かつて神戸で殺人事件を起こした元少年が書いた本は何十万部も売れた。

けさの新聞でも,ホリエモンの近刊がベストセラーになっているという。

こういう購買行動を取る人たちは,本当に自分の頭で考え,自分の判断で商品を選んでいるのだろうか。

むしろ彼らは,「中身はどうでもよくて,人が集まっているところに自分も加わりたい」という気分で行動

しているような気がしてならない。国政選挙でさえその延長に思える。

それを「社会にとって危険な傾向だ」と批評する人もいるだろうが,オジサンはそうは思わない。

ほとんどの人間は,感情を優先して行動する。見たくないものは見ようとしないし,科学的な根拠よりも

自分の感情を優先する。たとえば築地が豊洲に移転したら,魚の売り上げは激減しそうな情勢だ。

アメリカのトランプやフィリピンの大統領のようなトンデモな奴らが大衆に支持されるのを見てもわかる。

国民の半分以上が精神的に子どもであったなら,その国民が選び取る政治は子どもの政治になるだろうし,

一握りの賢い「大人」たちに搾取されていても気づかないままで一生を終えるのなら,それはそれで

幸せかもしれない。さっきの新聞の質問者の女性が今までそうであったように。

じゃあ大人(だと自分では思っている)のオジサンはどうするかと言えば,特にどうもしない。

自分を含む人間の愚かさを受け入れて,その中で最善を尽くして日々の暮らしを紡いでいくだけだ。

ガンを宣告されても天命として受け入れるくらいの達観した心境になれるのが理想だが,まだそれは無理だ。

でも,目指すのはそういうことだ。少しずつ欲を削り落として,「もう思い残すことはない」と言って死にたいからね。


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