2000/03/05  up

最終更新日: 2001/04/17

かぶせ釣りに関するQ&A


このコーナーでは,かぶせ釣りを最近始めた皆さんからの主な質問とその回答をご紹介します。

  Q17  カキを叩くカナヅチの音で,魚が警戒しませんか?  (02/04/17)

警戒すると思います。経験的に,それを裏付ける証拠が2つあります。

@ 大勢が並んでかぶせ釣りをしていると,たいていあまり釣れません。一人きりで釣っているときの方が,はるかに釣果が上がります。

A 当たりが遠のいたとき,しばらく場所を休ませてから再開すると,また当たりが出ることがよくあります。

ただしこれらは,カナヅチで波止を叩く震動が水中に伝わって魚が警戒したせいだ,と断定できるかどうかは不明です。たとえば@については,人の気配(足音など)そのものが問題なのかもしれません。

また,魚によっても違いがあります。私の経験では,チヌ・コブダイには上のことはあまり当てはまりません。ハゲの場合は,Aの傾向が顕著なので,何らかの影響があると思います。アイナメについては,よくわかりません。第1投で当たることもよくありますが,相当マキエが効いてから当たりが出ることもあります。アイナメは,周囲の状況にかかわらず「お食事の時間」というのが決まっていて,その時間が来ないと当たらない(その時間が来れば,外で何が起こっていようがエサを食べに出てくる)という気もします。

有料の釣りイカダには,たいてコンクリートのブロックが置いてあります(この上でカキを叩きます)。木や竹のイカダの上ではカナヅチは使えないので,これは止むを得ないことです。その結果魚が多少散ることはあっても,しょせんはイカダの下から移動しないのだから,たぶんあまり影響はないのでしょう。波止釣りの場合も,警戒して底にへばりつくことはあるでしょうが,その場からいなくなるわけではないので,時合いが来れば釣れるのではないかと思います。

「カナヅチをなるべく使わないようにして釣る」という方法で普段以上の釣果が上がれば,上のことは証明できるでしょう。どなたかチャレンジしてみてください。

 

  Q16  エサ取りが多くて,サシエが底までもちません。  (02/02/03)

特に秋口から初冬にかけては,フグ・ハゲ・ベラなどのエサ取りが中層でサシエをつつくことがよくあります。本命が底にいる場合,とにかくサシエを底まで届かせないと釣果は期待できません。その方法として,次の2つがあります。

@ サシエのカキの上に砂をかぶせる。

A 底オモリをつける。

私は,Aの方法を取ります。かぶせ釣りでは@の方がポピュラーですが,個人的に@は好みません。以下,理由を説明します。

@とAを比較した場合,サシエの沈むスピードはAの方が速いです。しかし,@の方がエサ取りにサシエを取られる確率は低いです。これは何を意味するのか?と考えると,要するに「エサ取りの魚は,砂をかぶせたカキをいやがる」ということです。それしか考えられません。では,本命魚はどうでしょう?エサ取りがいやがるのなら,本命魚も同じでしょう。つまり「砂かぶせ方式」は,それだけ魚の食い気を下げることになります。投げ釣りの場合でも,ハリのチモトに海草の切れ端など余分なものがくっついていると,エサ取りでさえほとんど食わなくなります。あれと同じような気がします。サシエが着底したときに砂がきれいに取れてくれればいいですが,カキの周りに砂が残った状態だと,食いが悪くなるのではないでしょうか。「食いは悪いが,底までサシエがもつ確率は高い」方を選ぶか,「食いはいいが,中層でサシエが取られやすい」方を選ぶか?ということです。人それぞれでしょうが,私は後者を選びます。

なお,底オモリをつけると投入時にサシエのカキが外れやすくなります。カキが外れればオモリだけになって水の抵抗を受けないので,仕掛けはあっと言う間に底まで落ちてしまいます。その落下速度から,サシエがハリに残っているかどうかを判断します。投入に失敗してカキが外れてしまったと感じられるとき(サシエの落下速度が異常に速いとき)は,すぐ投入し直す必要があります。ハリと底オモリとの間隔を長めに取れば,ハリが外れにくくなります。また,サシエが底に着いても,オモリのせいで竿先に当たりがでないことがよくあります。こういう状況のときは底についたカキがいつまでもエサ取りにやられずに残っているとは考えづらいので,着底して10秒くらい待ったら,(当たりがあろうとなかろうと)サシエを取られたものと判断して,仕掛けを上げて投入し直します。エサ取りの多い時期はとにかく手返しを早くして,サシエが本命の目に止まる確率を高めるのが得策です。

  Q15  サシエが着底する前の当たりがうまく取れません。  (01/09/15)

中層で当たりが出る場合,まずその当たりが何の魚であるかを知ることが大切です。1尾釣り上げればわかりますが,なかなかハリに掛からないときは次のようにします。

@ 波止の岸壁の際(1m以内くらい)で当たる魚には,ハゲ・フグ・ベラ・グレ・小チヌ・クジメ・タナゴ・サンバソウなどがいます。これらの魚にはそれぞれ当たる層に違いがあり,サシエが半分も落ちないうちに当たりが出るときは,ハゲ・フグ・ベラ・グレのどれかである可能性が高いです。ハゲの当たりは「フワフワッ」と竿先を浮かせるような感じです。その他は,「コツコツッ」と小さな当たりが何度も出ます。その当たりが底まで続いて,なかなかエサがなくならないときは,フグの仕業です(活性が高いときはフグでも一発でエサを取っていきます)。グレの場合は,よほど活性が高くない限りは着底したら当たらなくなります。小チヌやサンバソウは,あまり上には浮いてきません。だいたい底から1m〜50cm以下で当たりが出ます。

A このようなときは,サシエを少し遠く(3m以上沖くらい)に投入してやります。それでも当たりが出るときは,上記のうちベラ・クジメ・タナゴが除外されます。つまり,ハゲ・フグ・グレ・小チヌ・サンバソウのどれかです。

B 当たりの取り方ですが,道糸がたるんだ状態では当たりは取れません。通常は道糸を底までの長さ分引き出して投入するので,腕を上に伸ばして竿を立てて,道糸を張った状態で落としこんでやります。サシエが着底するまでは立ち上がって当たりをとることもあります。タイコリールなどでドラグを完全フリーにして落とし込めば常に道糸が張った状態にできますが,合わせたときの掛かりが悪くなるので私はその方法は取りません。

C 当たりの出る層がおよそ決まっているときは,道糸をいくらか巻いて,その層を通過するときに道糸が張った状態(かつ,竿と道糸が90度に近い角度)になるように調整します。この場合,魚の口にハリを掛けるというよりも,アゴでも腹でも「体の一部にハリを引っ掛けて釣る」という感覚です。その層を過ぎて(つまり竿先が真下を向いた状態になった後で)当たりが出ると掛かりが悪くなるので,道糸の長さはこまめに調整します。

D どうしてもサシエが底までもたないときは,最後の手段としてハリの下にオモリをつけてサシエの落下速度を高める方法もあります。これについては,「かぶせ釣り事典」の「オモリ」のページを参照してください。私はこの方法で3年前の秋に須波のフェリー波止でフグの猛攻をかわして30cm級のイシダイを釣り上げたことがあります。

  Q14  道糸を手でたぐると,もつれやすいのですが。  (01/05/31)

道糸のさばき方についてですが,ちょっとしたコツがあります。それは,「上に重ねていかない」ということです。体の横にたぐる場合,まず波止の内側に道糸を落としていきます(その位置には荷物を置かないように)。次は波止の外側へ。こうして内,外と交互に道糸を垂らしていくと,からみが少なくなります。ただし,外側に垂らすときは岸壁のカキに引っかからないように注意してください(あまり下まで垂らさないように)。内側+足元とか,位置は問いません。道糸が輪になって積み重なるような置き方をしないことが大切です。横風が強いときは,投入に支障がない程度までリールを巻いて余分な道糸を収めた上で,道糸を空中になびかせるようにしてもかまいません。

  Q13  カキの鮮度は釣果に影響しますか。  (01/05/31)

たとえば土曜日に使ったカキの残りを車のトランクに積んでおいて,そのまま翌日の日曜日に使うような場合,影響はまずないと思います。

冬場のカキは1週間くらいもちますが,1週間前のカキでも生きてさえいれば問題ありません。生きているかどうかは,カキの入ったバケツに海水を入れてみればわかります。ゴポゴポ空気が出てきたら,カキが口を開いて呼吸を始めた証拠です。保存しておいたカキは,釣り場に着いたらすぐに海水を入れて呼吸させてやるようにします。

もっとも,死んだカキは初めから口が開いているのですぐにわかります。冬場はあまり臭いませんが,5月ごろになると死んだカキは強烈な悪臭を出します。車のトランクのように温度が上昇するところでは,1日でダメになることもあります。全部のカキが腐らなくても,一部のカキが腐っただけでも全体に悪臭が移ります。このようなカキは,食いが落ちます。臭いが強烈なら集魚効果があるようにも思えますが,そうはいきません。とにかくヒドい臭いです。5月ごろでも日陰に置いておけば2〜3日はもつので,車のトランクに入れっぱなしにするのは避けた方がいいです(腐ったカキの臭いがトランクに移ると,なかなか抜けません)。この時期は,海に浸けておく場合も,ドンゴロス(麻袋)よりも目の粗い網を使うかハダカで浸けておく方がベターです。

  Q12  潮流が速いときはどうしたらよいですか  (01/02/21)

横に流れる潮が速くてカキが底まで届かない(あるいは底をゴロゴロ転がる)ようであれば,まず釣果は期待できません。一番いいのは「潮が緩むのを待つ」ことです。特に,時々速くなったり緩んだりするような潮流の場所では,緩んだときが大きなチャンスになります。しかし,一定の速さの潮流が続くときは,仕掛けや釣り方の工夫によってカバーするのは困難です。たとえば道糸を細くして抵抗を少なくするとか,ハリの下にオモリをつけて落下速度を上げるといった工夫は可能ですが,いずれにしてもマキエのカキが拡散してしまうので,こういう潮のときは場所替えすることをお勧めします。同じ波止の中で,潮流の緩そうな場所を探してください。一般に,L字型の波止の場合はL字の曲がり角よりも先(つまりLの字形のタテの棒の方)は外海に面しているので潮流が速いです。波止の付け根付近で釣るのも一つの手です(内側でも外側でも可)。多少浅くても,釣る時点での水深が3〜4mくらいあれば釣果が期待できます。

以下,私のよく行くいくつかの波止を例にとって説明してみます。

・瀬戸田高校裏の波止は,港内の潮流は満ち潮の間中ずっと早くて釣りになりませんが,満潮が近づくと徐々に緩くなり,満潮以降は全く流れなくなります。ここは波止付け根(港内側)の付近に良型のアイナメが居着いており,満潮前から満潮をはさんで2時間くらいが時合いになります。毎年春にここで30cm級アイナメを上げています。

・須波フェリー波止は,L字の長い方(曲がり角より先)は潮が速くてかぶせ釣りには向きませんので,曲がり角の手前で釣ります。ここも大潮の満ち潮はしばしば速くなりますが,満潮の潮止まりがチャンスです。

・向島の干汐西波止の場合,釣りが難しいほど潮が速いことはあまりないのですが,満潮の1〜2時間くらい前に急に速い潮が流れ出します。この前後がチヌの時合いです。

なお,「潮が全く流れない」場合はどうかと言えば,むしろこちらの方がかぶせ釣りにはベターです。マキエが溜まりやすいからです。田島の天神波止などはほとんど潮流がありませんが,4月末〜5月はかぶせ釣りでいろんな魚が釣れます(また,ここは水深の浅い波止付け根(外側)付近で満潮前後に良型アイナメの実績があります)。それと,「サシエを手前に押し戻してくる潮」も,フカセ釣りには悪条件でしょうが,かぶせ釣りの場合はもともと足元で釣るので問題ありません。しかし何といっても一番よい潮の流れは,「釣り座の正面沖へ払い出す潮」です。瀬戸田ではこの潮が流れる時間帯が短いのですが,確実に当たりが出ます。横島の釜戸(タンク)波止でも,この潮のときにチヌが釣れます。潮が横に流れる波止の場合,L字の曲がり角または先端部に釣り座を構えれば,沖へ向けて払い出す潮に乗せてサシエを投入することが可能な場合があります。横島の浜沖波止・田島の大波止・向島の干汐波止・沼隈の能登原波止などがそうです。ただし曲がり角付近にはたいてい多くの釣り人が入っているので,釣り座が確保できればの話ですが。

  Q11  遠投するとハリがサシエから外れるのですが  (01/02/07)

「基礎知識(釣り方)」のコーナーの説明が足りませんでした。リールの種類を問わず,遠投するときは道糸をあらかじめリールから引き出しておきます。10m先を狙うのであれば,それ以上の長さ分道糸を引き出し,足元(私の場合は体の左横)にたらしておきます。これでサシエを思い切り投げます(右手のバックハンドで)。足元にたるませておいた道糸が,フリーの状態で出ていきます。このとき注意しないとラインがもつれたり体に引っ掛かったりしてトラブルになります。両軸リールを使う場合も,ルアーのときのような投げ方はしません。サシエに抵抗がかからないよう遠投するには,この方法しかありません。正面または横からの風が強いときは遠投できないので,足元付近を釣ります。なお,この方法でもサシエからハリが外れてしまうときは,ハリの刺し方に問題があります。ハリはワタの部分にできるだけ深く(ハリ先が必ずワタの中に埋まっているように)刺してください。

  Q10  魚が掛かっても,根ずれでハリスが切れてしまうのですが  (01/01/10)

根ずれによるハリス切れは,主にコブダイがヒットした際に起こります。特に遠投して敷石の沖にサシエを落とした場合,掛かった魚が根にもぐろうとして根ずれを起こすことがよくあります。典型的な釣り場が田島の小用地波止です。ここは敷石(岸壁から4〜5mくらい)の沖に投入すればあまり根掛かりはありませんが,掛かった魚(コブダイ)が敷石に沿って横走りするので,根ずれでハリス切れを起こす可能性が非常に高い釣り場です。また,小箱波止のように岸壁の下がえぐれている場合も,魚が足元に潜ろうとします。対処のしかたですが,横走りしたり沖の根に潜ろうとするときは,魚の動きに合わせて自分も波止の上を移動します。それと,道糸は極力送り出さないこと。コブダイはチヌなどとはパワーが全然違うので,チヌ釣りに慣れた人ならついついドラグを調節して道糸を出したくなってしまいますが,極力竿の弾力でためることが大切です。チヌなら「沖で弱らせてからじっくり寄せてくる」のが上手な取り込み方とされていますが,これはコブダイには通用しません。コブダイの場合は,たいてい最初のひとノシで勝負がついてしまいます。「最初の引きにとにかく耐える」のがコブダイを取り込むコツです。ハリスは根ずれに強いタイプの3号以上を使ってください。なお,コブダイ以外の魚(特にアイナメ)は,足元の岸壁にもぐり込もうとする習性があります。足元まで寄せたらできるだけ速くリールを巻いて,魚を上層部まで引き上げるようにします。岸壁にはたいていカキが付着していますが,下部より上部の方が少ないので,潮位の高いときは比較的取り込みやすいです。しかし干潮前後だと,海面付近の岸壁にびっしりカキがついているので,タモ入れ直前に足元のカキで根ずれしてハリスを切られたりすることがあります。魚をタモ入れする際には,口を海面より上に上げて,空気を吸わせながら取り込むようにするのが安全です。

  Q9  遠投すると根掛かりしやすいのですが,防ぐ方法はありますか  (01/01/10)

結論から言うと,根掛かりを防ぐための特に有効な方法はありません。一番いいのは足元で釣ること(足元でも根掛かりが連発するようなら場所を変えるべき)ですが,足元に敷石があってどうしても遠投が必要な場合もあります。なぜ遠投すると根掛かりが多くなるかと言えば,潮流や道糸の抵抗などでサシエが移動するためです。同じ釣り座でも,潮の流れの向きによって根掛かりの程度が変わることがあります。また,ほんの1mほど移動するだけでも根掛かりが少なくなることもあるので,なるべく根掛かりしないポイントを探してみてください。潮止まりを狙うのも1つの手です。たとえば田島の大波止などは遠投すると最も根掛かりの激しい釣り場です(かなり沖まで荒い根が続いているため)が,私は潮が緩む満潮前後を中心に釣ることにしています。経験的に言うと,潮の低いときより潮の高いときの方が多少根掛かりしにくいです。また,潮の高いときは敷石の上でも魚がヒットするので,あまり遠投する必要はありません。

  Q8  かぶせ釣りは夜でもできますか  (01/01/06)

私は夜にかぶせ釣りをした経験はありません。しかし足場のいい波止なら夜でも十分可能でしょう。チヌは昼間より期待できると思います。ただ波止の夜釣りでチヌが釣れるのは夏から秋にかけてが中心なので,かぶせ釣りの釣期(10月〜5月)とちょっとずれてはいますが。アイナメは夜にはあまり活動しない魚だと思います。コブダイの夜の行動については全く知りません。ベラに近い姿をしているので,夜は寝てるのではないでしょうか(まさか砂にもぐって,ということはないでしょうが<笑>)。むしろ,アコウが期待できるような気がします。20cm級のアコウなら昼間にかぶせ釣りで難度か釣ったことがあるので,夜ならデカいやつが狙えるのでは?カサゴについても同様です。しかしメバルはかぶせ釣り(カラつき)では釣れません。カキのむき身を使えば釣れる可能性はあります。

  Q7  のべ竿でもかぶせ釣りができますか?  (01/01/06)

かぶせ釣りのできる波止の条件としては,干潮時で3〜4m程度の水深が必要です。満潮時なら7〜8mといったところでしょうか。したがって,底までサシエを落とせるだけの竿の長さがあれば,のべ竿を使ってかぶせ釣りをすることは可能です。問題は合わせですが,コブダイ以外の魚だと合わせが遅れる可能性が高いです。私は普段,合わせの瞬発性重視のときは1.5m,大物狙いのときは1.8mのイカダ竿を使っていますが,この30cmの差が合わせのタイミングにかなり影響します。それくらい繊細な釣りですので,基本的には竿は短い方が有利です。チヌやアイナメはサシエのカキの身をくわえた瞬間にたまたまハリ掛かりすることがあり,その場合は置き竿でも釣れますが,置き竿にするのと手持ち竿できっちり合わせるのとでは,やはり釣果に倍以上の差が出ます。コブダイは向こう合わせでも釣れますが,のべ竿だと35cm級くらいまでが限度でしょう。40cmを超えると,根ずれでハリスを切られる公算が高いと思います。

  Q6  コブダイの若魚とアコウの見分け方を教えてください  (01/01/06)

コブダイという魚は一般になじみが薄いので,よくアコウに間違えられます。私のスカリにコブダイが入っているのを見て,10人に2〜3人は「大きなアコウが釣れとる」と言います(市場価値ほとんどゼロのコブダイを高級魚のアコウと間違われるのはちょっと恥ずかしいです)。どちらも赤い魚ですが,最大の違いは「体の斑点」と「口の形」でしょう。アコウは白い斑点があり,コブダイにはそれがありません。口については,アコウはハタ科の魚なのでカサゴ・メバル系の口をしてしますが,コブダイはふだんカキを常食としているので,白くて太いキバのような歯が生えています。なお,「あの口に手を突っ込んで噛まれたら大変なことになるのでは?」という声もよく聞きますが,釣り上げたコブダイはパワーを使い切っていて,とても人の指に噛み付くような元気は残っていないので心配ありません。私自身,コブダイに手を噛まれた経験は皆無です。

  Q5  市販のむき身のカキをエサにしても釣れますか。  (00/03/06)

これは,誰しもが思い浮かぶ疑問です。要は「オモリつきのぶっこみ仕掛けで,むき身のカキをつけて投げておいても,魚は釣れるのではないか?」ということです。結論を言えば,「かぶせ釣りの基礎知識」のコーナーでも説明していますが,その方法でも魚は釣れます(もちろんカラつきの方がよく釣れますが)。ただし,以下の点に注意してください。

● 投げ釣りと同じ要領でただ投げ込んでおくだけでは,釣果はまず期待できません。マキエは必要です。

● 置き竿にする場合は,必ず竿尻にロープを結んでおいてください。コブダイが掛かったら,どんなゴツイ竿でも海へ引きずりこまれてしまいます。

タナはベタ底です。中層にサシエのカキが浮かんでいるような形だと,当たりはあってもほとんどフッキングしません(ソイ・カサゴなど一部の魚を除いて)。

● オモリはできるだけ軽い方がいいです。丸オモリ1号くらいの通し仕掛けで,サルカンの先に15〜20cmくらいハリス(2〜3号)を結び,チヌバリ2〜3号くらいの仕掛けで釣ってみてください。胴突き仕掛けでもかまいませんが,その場合もサシエは底ベタまたは底スレスレにくるようにしてください。

● サシエのカキの大きさは,親指の爪くらいが適当です。小ぶりのカキの身を2つに切って,ふくらんだ方(黒いワタの入った部分)だけを使ってください。

● この釣り方の場合,狙える魚種は限られます。コブダイは,カラつきの場合と同じくらい釣れます(実際,その仕掛けでコブダイを狙っている人もいます)。チヌ・アイナメは,カラつきの場合に比べてヒット率は半分くらいに下がる上,フッキングの率も悪くなります。これらの魚は,サシエをくわえて違和感(ハリ)を感じると吐き出してしまうからです(オモリつきの仕掛けだと,合わせが間に合いません)。グレは元来中層でヒットする魚ですが,活性が高いときはこの仕掛けでも釣れます(サシエは特に小さめに)。ハゲ(ウマヅラハギ)は,この仕掛けでは神に誓って100%釣れません(笑)。サシエを長く放置しておく分,マダコは十分期待できると思います。

  Q4  カキを割ろうとすると中の身や汁が飛び散るのですが。  (00/03/05)

まず大切なのは,カキの平たい部分をカナヅチで強く叩かない,ということです。カキをつぶすときは,かならずふくらんだ方を上にして叩きます。平たい方を叩くと,それこそ服も顔もびちゃびちゃになるくらい中身が飛び散ります。ただ,どんなに上手に叩いても,汁やカキの破片が飛び散るのはある程度は避けられません。私の場合は,年中ゴム長靴を履いて,靴やズボンが汚れるのを防いでいます。それから,サシエのカキのカラを割るときは,右足でカキの端を軽く踏んで,右手に持ったカナヅチでカラを叩くようにすると,左手に竿を握ったままでもカラを割ることができます。

 Q3  マキエのカキは,どの程度細かく砕けばいいのですか。  (00/03/05)

潮流が緩やかなときは,かなり細かく砕きます。チヌの集魚材にカキガラ入りのがありますが,あれは上からキラキラ光って落ちてくることで集魚効果を高めるためのものです。カキ単体でも,小さな粒がゆっくり上から落ちていく方が,魚の目につきやすいと思います。潮流が速いときは,沈む速度を速めるために,大き目に砕きます。なお,カキの身はあまり細かくしない方がいいです。特にアイナメは,釣り上げたときカキの身を口から大量に吐き出すことがしばしばあります。これはマキエのカキを十分食べている証拠で,マキエのカキの身が小さすぎると活性が高まりにくいような気がします。また,チヌもグレもアイナメも,身の十分詰まったカキの方が食いがいいので,マキエと言えどもできるだけ良質のカキを使う方がベターです。その点から言うと,市販のむき身をマキエに混ぜるのも効果的かもしれません。なお,コブダイはマキエ・サシエともあまり神経を使う必要はありません。どんなカキでもヒットします。また,オキアミなどと違って「マキエの食べ過ぎで満腹になって,サシエを食わなくなる」ということは基本的にありません。チヌなどは,かなりマキエをしないと寄ってこないのが普通なので,マキエが「少なすぎて釣れない」ということはあっても,「多すぎて釣れない」ということはありません。もっとも,経験を積めば場所ごとの時合いがある程度わかってくるので,その時間帯に集中してマキエをするようにすれば,あまり大量のマキエを用意する必要はありません。

 Q2  マキエはどの程度すればいいのですか。  (00/03/05)

慣れてくれば効率的にマキエができるようになりますが,最初のうちは多めにマキエのカキを持参した方がいいかもしれません。目安は,小学校の掃除で使うくらいの大きさのバケツに2杯くらい。これで4〜5時間もちます。マキエをするタイミングは,だいたいサシエを付け替えるときに合わせて行います。サシエの付け替えは,少なくとも3〜5分くらいに1回の割で行ってください。ドボンとカキを漬けたままで何十分も放置していたのでは,釣果は望めません。サシエを付け替えて再投入する前に,片手にひとすくいほどのカキを砕いて撒きます。当たりが出ないようなら,2分に1回くらいの割で少しずつマキエをしてください。それから,潮流の速いときはマキエが拡散して効果が半減しますので,潮が緩むまで待つことも必要です。

  Q1  カキを調達しようとしても,身の入っていないカキばかりなのですが。  (00/03/05)

砂浜に大きな岩がころがっているような所だと,小魚やカニなどが多いためカキに身が入っていないことが多いようです。採取場所として一番確実なのは,波止または石垣だと思います。石垣にカキが塊になって付着しているような場合,身の入っているものとそうでないものとがあるので,できるだけ選んで採るようにします(岩の裏側など,見えにくい所に付着しているカキには比較的身が残っています)。道具はカナヅチと釘抜きを併用します(→カキの取り扱い方)。

なお,どうしても身の入ったカキが採れないときは,最後の手段として,スーパーなどでむき身のカキを買い,これを切ったりつぶしたりして砕いたカキガラに混ぜてマキエにする方法もあります。

 

「かぶせ釣りの基礎知識」へ