<この資料の趣旨>
この資料は,近年の大学入試の文法問題の中から「悪問」を見つけ,解説を加えたものです。
この資料を作った目的は,日本独自の「入試英語」の質の低さや現実の英語との落差を,できるだけ
多くの人々に知ってもらうことです。とりわけ大学入試の出題者には,この資料を活用していただきたい
と思っています。
この資料には,私の過去の著作物(「英語教育村の真実」,「英語教育」(月刊誌)の連載記事など)からの
引用も含みます。それらの記事では(出版社に迷惑がかかる可能性があるため)大学名を伏せていましたが,
ここでは大学の実名を示しています。主な目的は,出題者に反省を促すことです。
私が最終的に目指すのは,大学入試からいわゆる「文法問題」を一掃することです。
拙著「英語教育村の真実」にもさんざん書きましたが,現在の日本の英語教育の最大のガンは,
大学入試(および高校入試)の文法問題だと私は考えています。
本来の文法学習は英語の4技能を高めるための単なる手段であるべきですが,現状では多くの高校生が
「入試に出る文法問題を解く学習」に莫大な時間を費やしています。
しかしその学習は4技能の習得にほとんど役立たず,むしろ有害でさえあります。
入試から文法問題がなくなれば,その対策学習は不要になり,空いた時間をより有意義な学習
(たとえばリーディングやリスニングやスピーキング)に振り向けることができます。
近年の入試では文法問題の比率は低下傾向にありますが,特に私大では相変わらず悪問が出ています。
この記事を読んでいただいた皆さんの一人でも多くの方が,私がこの資料を通じて訴えようとしている
「入試における文法問題廃止運動」の趣旨に賛同していただくことを願っています。
<資料の見方>
・英文の前に,次の2つの記号を入れました。
×=問題として成り立たない/英語が文法的に間違っている/英文の意味が極めて不自然である。
△=文法的には間違っていないが,意味や文体の面で(やや/かなり)不自然である。または,実際の英語に
照らし合わせて考えると,別解が成り立つ余地がある。
・どの問いの解説も,ネイティブスピーカーに意見が反映されています。
私がふだん主に質問している相手は,SKYWARD総合英語のインフォーマントのRichard(イギリス人)です。
ネイティブの意見は人によって違うので絶対とは言えませんが,少なくとも一人のネイティブはそう判断した,ということです。
・データは文法項目ごとに[001]から始まる通し番号をつけました。新しい記事は各項目の一番上に追加して
いきます。目次には,それぞれの記事をアップした日付を入れています。(最新データは赤字で示します)
・[問]は設問文(趣旨を変えない範囲で改変)。何も書いていない問いは,いわゆる穴埋め問題です。
・体裁を統一するために,元の問題の趣旨を変えない範囲で形式を変更しています。
・穴埋め問題の★は,出題者が想定した(であろう)正解の選択肢。☆は別解となりうる選択肢です。
・年度や大学が偏っているのは作業の順番によるものであり,資料が追加されれば年度・大学のバラエティは増えていきます。
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