2006/01/03 up

◆ おせち料理(2006) ◆

今回の所要時間は,正味15時間くらい。※は実家からのもらいもの。


【一の重】

 シラサエビの塩茹で

地物のエビ(冷凍)を塩茹でしただけですが,これが美味い。エビは鮮度が落ちるとワタの臭みが強くなります。「地エビ」と称してパックに入れて売られている生のエビをゆでるより,最初からゆでて売られている輸入物のエビの方が味は上だと思います。
 カズノコ ※ うちの実家の流儀では,塩抜きしたカズノコに何も味をつけずに出し,針ショウガとけずり節をかけて生醤油で食べます。下手に味付けすると生臭いのでどうも・・・
 ブリ・アナゴの照り焼き ※  これも毎年実家からもらうもの。自分で作ると,とうしても同じ味にならんのはなぜ?
 鮭の西京焼き 作り方は,コブダイ料理のコーナーにあります。このとき一緒にブロッコリーとアスパラも漬けました。エビの下の緑色の丸いやつは,ブロッコリーの芯をスライスして味噌付けにしたもの。
 コブダイの塩干し・みりん干し 作り方は下の記事を参照。
 小アジの開き  自家製です。いい味でした。

【ニの重】

 牛肉のわかたけ巻き

評判がいいので毎年作ります。アスバラを牛もも肉のうす切りで巻いて,今回は塩コショーのシンプルな味付けで焼いたもの。味をつけずに焼いてから,酒・砂糖・醤油のタレをからめても美味。なお,おせち料理は冷めたものを出すので,肉の脂身は固まって白くなります。なるべく脂身の少ないものを。
 ミニオムレツ タマゴ料理は毎年売れ残りがちなので,今回は趣向を変えてオムレツにしてみました。中身は,ひき肉・しいたけ・タケノコ・ニンジンのみじん切りを中華風にいためたもの。
 煮なます  レンコン・ゴボウ・ニンジン・干ししいたけ・切干ダイコン・極細のしらたき・油あげをだし・醤油・砂糖で煮て,仕上げに酢をかけたもの。上にかけてあるのは白ゴマ。
 鳥肉とうずら卵の香り煮 ネギ・ショウガ・八角・シナモン・クローブ入りの甘辛いだしで鳥もも肉を煮たもの。上にかけてあるのは白髪ネギ。簡単に作れて美味しいです。

【三の重】

 五色なます

カブの甘酢漬け・エビ・干ししいたけの甘辛煮・ゆば(乾燥品をもどす)・ミツバ入り。じゅんさいも入れる予定でしたが,ヘンな味になったので除外。
 ゴボウの八幡巻き ゆでたゴボウを豚もも肉で巻き,甘辛いだしで煮たもの。
 錦寄せ  作り方は下の記事を参照。

 3種くらげのごまあえ

くらげ・きくらげ・山くらげをもどして,酢・塩・みそ・砂糖・薄口醤油であえて,いりゴをまぶしたもの。今回はトンブリも入っています。ゆず釜に入れて,菊の花びらをあしらってみました。
 梅花リンゴかん 毎年作るもの。作り方は下の記事を参照。
 松風 これは味的に今イチ。この手の料理を作って,美味かったためしがない。一応作り方は下に書いてあります。

 牛肉とまいたけの有馬煮

すきやき風の味付けに山椒の実の佃煮を加えたもの。自分的には納得できる味に仕上がりましたが,なぜか評判悪し。山椒の実を入れたのが失敗か?
 スモークサーモンの奉書巻き スモークサーモンをカブの甘酢漬けで巻き,ゆでたミツバで巻いたもの。普通の味。
 かぼちゃきんとん  作り方はサツマイモを使う場合と同じ。赤いのはクコの実です。

 ドキュメント〜メイキング・オブ・おせち2006〜

 

◆ 12月25日(日)

今回のおせちにはコブダイの料理を入れたいので,食材調達に生名島へ。この日にコブダイを確保して干物を作り,冷凍しておいて正月前に焼く,という予定。12月30日に生きのいいコブダイが調達できたらベストではあるが,万一失敗したときのことを考えて早めに。ところがこの日は,埠頭用地で2回バラシ(ハリス切れ)があったのみ。やむなく,代わりにアジを釣る。17cmくらいのが入れ食いで,25匹ほどをゲット。持ち帰って,半分は夕飯用の刺身に,残りの半分を干物にした。干物は,塩水(目安は水1カップに塩を小さじ2杯くらい)に1時間ほど漬けて,干し網に入れて屋外に数時間吊るす(扇風機の前でもOK)。物干しにアジを干した後,福山の中心街へ買い出しに。

松永の田舎では手に入らない食材を求めてイトーヨーカドーと天満屋の食品売り場へ行ったが,結局買えたのは,ケシの実・山椒の実の佃煮・トンブリ・シナモンスティックなど。ここでは手に入らなかったちょろぎ(長老木)も,後日親戚が尾道駅前の福屋で買ってきてくれたので,欲しかった食材が今回は全部手に入った。しかし,結果から言うと,これらの「変わった材料」を使った料理は,あんまり評判がよろしくなかった。せっかく普段とは違う味にチャレンジしたのに・・・

◆ 12月30日(金)

というわけで,コブダイ調達のラストチャンスに賭けて,再び生名島へ。この日は倉敷のマサさんも協力してくれることになっているので,二人ともボウズということはあるまい。7時ごろ埠頭用地へ行くと,マサさんの姿はなし。しかし,対岸の長い波止(生名港左手)の先端に,赤い服を着た釣り人が座っているのが見える。時々カナヅチの音が聞こえているので,あれがマサさんらしい。向かい合うようにして竿を出したが,なんとこの日はコブダイの当たりはたった1回だけで,かろうじて33cmを1尾キープ。10時ごろマサさんの所へ行くと,あちらもまだスカリが降りてない。「ついさっき食べごろサイズのやつをハリ外れでバラした」とのこと。何やっとんや〜!と自分のことは棚上げして生名島に見切りをつけ,因島へ戻った。消防署前の波止(南)の先端にかぶせ釣りの人がいて,スカリには30〜40cmくらいのコブダイが3匹入っていた。が,知らない人にいきなり「このコブダイください」と言うのも気がひけるので,北側の護岸で地力で調達を試みる。しかしここでもバラシが1回あっただけ。あきらめて帰ろうとしたところで,12時前ごろマサさんから連絡が入った。「釣れたで。ちょっと大きいけど」。サイズを聞くと,68cm!デカすぎっ!しかしもう1匹小さいのが釣れているというので,そっちをもらいに再び生名島へ。35cmくらいのを1匹もらって,どうにかこうにか食材は確保した。

2匹の小ぶりのコブダイを持ち帰って,2時半ごろからいよいよおせち作り開始。まず,コブダイの干物の仕込み。これを作ろうと思ったのは,「月刊釣り情報」12月号の記事を見たため。本に載っていたのはプロ仕様なので,今回シロウト向けのレシピを下にご紹介。

● 下ごしらえ=40cmくらいのコブダイを切り身にして(骨はなるべく全部取る)をひと口サイズに切る。

塩干し水2.5カップ・酒0.5カップ・塩50g(大さじ3杯強)1時間漬ける。

みりん干しみりん1.5カップ・酒1カップ・薄口しょうゆ0.5カップ1時間漬ける。

● 干し網などに吊るし,数時間干す(扇風機の風でもOK)

写真は,みりん干しの漬け汁に漬けた状態。干したものは冷蔵庫なら2〜3日保存可能。長期間保存するときは冷凍庫で。食べる直前に網で焼く。塩干しとみりん干しを一緒に焼くときは,糖分の入ったみりん干しの方がコゲやすいので注意。下の写真は,アジの開きとコブダイの干物を焼いたもの。

コブダイは西京漬けも美味いが,ちょっと手がかかるのが難。干物の方が作るのは多少簡単で,午後の早い時間に作ればその日のうちに食べられる。塩干しもみりん干しもコブダイのクセが抜けて,食べやすい味になる。家族みんなに食べさせるには,どちらかと言えばみりん干しがお勧め。

ところで,今回は1月1日の夕方におせちを広島へ持参することになっていたので,まる2日以上,ほとんど料理にかかりきり。種類が多いので,タイムスケジュールをあらかじめ組んでおいた。その予定に従い,30日にはこんな作業をした。

かつおだしを取る。いろんな料理にだしを使うので,熱湯にだし用の削り節を入れて,まとめて1リットルくらいのだしを作っておく。

干ししいたけをもどして,甘辛煮を作る。これをきざんでいろんな料理に入れると,味がよくなる。ついでに,しいたけの戻し汁もだし用にキープ。

かぶをスライスして,甘酢漬けを作る。これも,きざんだりしていろんな料理にアレンジできる。

このほか,おせち料理を食べるのは2日後(1月1日)の夜がメインになるので,日持ちのするものを先に作っておく。この日は主に,寒天を使った料理を作った。

錦寄せ : 

@ 鳥手羽先5〜6本を,2.5カップの水で煮る。

A 煮汁をこし,塩コショー・醤油・コンソメの素で味をつけ,粉ゼラチン10gを加えて溶かす。

B 手羽先から肉を外して,こまかくちぎる。

C 流しカンに煮汁を張り,肉・いり卵(1個)・きぬさや(塩ゆでしてみじん切り)・干ししいたけの甘辛煮を散らす。

D さまして冷蔵庫へ。(写真は流しカンから出したところ)

この料理は前にも一度作ったが,そのときは失敗した。今回はまずまずの出来。Aで作る「煮こごり用スープ」の味が,最大のポイント。これが不味いと,完成品もうまくない。もう1つは,手羽先にもかなりのコラーゲンが含まれているので,粉ゼラチンを入れすぎるとカチカチになる。切るときはなるべく小さめのひと口サイズに切ると,食べやすい。

くずもち : 

※ くず粉を買うと,くずもちの作り方が袋に書いてあるので,そのとおりにすればよい。

@ くず粉を水で溶かす。

A 好みで砂糖を入れ,網でこして鍋に入れる。

B 木べらで絶えずかきまぜながら煮る。のり状のものができてきたら火からおろし,さらによくかきまぜて,均一ののり状にする。

C 流しカンに入れて,蒸し器で20〜30分蒸す。

D 冷水に入れて流しカンから外し,適当に切り,きなこと黒蜜をかけて食べる。

蒸す手間があるので,ちょっと面倒。Bはレシピでは上のように書いてあるが,実際は弱火にかけたままかきまぜると,自然に均一なのり状になる。仕上がりはわりと柔らかいので,ソフトに扱わないと穴が空いたりちぎれたりする。味は非常に好評。

梅花リンゴかん : 

@ 大きめのリンゴ1個の皮をむいてくし型に切り,芯を除く。

A 皮ごと1カップの水と砂糖(大さじ3)の入ったナベに入れ,煮る。

B 柔らかくなったら裏ごしして(皮は除く),寒天(4g)+砂糖(大さじ6)+水1.5カップとともに煮る。

C 食紅でピンク色になるよう染めて,流しカンなどに入れて冷蔵庫で固め,梅花型の抜き型で抜く。

かぼちゃきんとん : 

@ 8つ割りにしたかぼちゃの1片(200g)の種を取り,ラップをしてレンジ(600W)で4分加熱する。

A 皮を取り,裏ごしする。

B 砂糖・みりん・栗の甘露煮のつゆ・塩少々を入れて,弱火で鍋にかけて木べらでかきまぜながら水分を飛ばす。

C 適当に切った甘露煮の栗を加え,さます。

※ さつまいもを使う場合と違って,着色用のクチナシの実は不要。かぼちゃだけで,きれいな黄色に仕上がる。

◆ 12月31日(土)

この日は,朝の9時ごろから作業開始。

タルト生地&カスタードクリーム : 

今回はヤギマスクさんから教えていただいた「伊東家の食卓」の裏ワザを使ったので,前回よりかなり時間が短縮できた。

@ タルト生地は,ホットケーキミックス(100g)+無塩バター(40g)+牛乳(大さじ1)をこねるだけ。粉をふるいにかける必要もないし,生地を冷蔵庫で寝かせる必要もない。

A ただし,焼くにはそれなりの手間が必要。今回は100均で買った直径10cmほどの紙製タルト型を使用。めん棒でのばした生地を入れてフォークで穴を開け,アルミホイルをかけて重しの石(金魚の水槽用の丸石を熱湯で消毒したものを使用)をのせる。180℃のオーブンで15分加熱。重しとアルミホイルを取って,さらに15分。これでタルトの台が完成。

B カスタードクリームは,卵黄(2個)+砂糖(大さじ3)+ホットケーキミックス(大さじ1)+牛乳(150cc)をボウルでまぜ,ラップをかけてレンジ(500W)で1分チンする。取り出して10秒ほどかきまぜる。この操作をあと2回繰り返すとできあがり。

C 今回は,フルーツを乗せた後,ゼリーで飾った(写真はゼリーをかける前)。飾り用ゼリーは,粉ゼラチン1袋に砂糖とレモン汁を適当に加え,分量の湯で溶いてさます。固まりかけたところで,ハケで果物の上から塗る。残りは冷蔵庫で完全に固めて,フォークで砕いてタルトの上から散らす。

※ 上の分量だと,1人分の小型タルトが4つくらいできる。今回は8個作ったので,分量はぜんぶ上の2倍を使用した。

フルーツのゼリー寄せ : 

@ 酢の物などを入れる小鉢(ヨーグルトの空容器でも可)を6〜8つ用意し,20cm角に切ったラップを中に敷いておく。

A 粉寒天(4g)+砂糖(大さじ4杯)+水(200cc)をナベに入れて温め,寒天を溶かす。(ボウルに入れてレンジでチンしてもよい)

Bラップのくぼみの中に寒天液(大さじ1)⇒細かく切ったフルーツ3〜4切れ⇒寒天液(大さじ1)の順に入れ,ラップを丸めて輪ゴムでとめる。

C 冷水に入れて寒天を固めると,できあがり。下の写真左は冷やしたところ。右は完成品。

※Bで時間をかけすぎると,作業途中でナベの中の寒天が固まってくるので注意。

松風 : 

松風とは,「けしの実をトッピングした和風ハンバーグ」のような料理のこと。今までに何度がチャレンジしたが,失敗の連続。今回も,点数をつけると45点くらい。作り方は簡単で,今回は合びき肉にしいたけ・タケノコ・ニンジン・ネギのみじん切りを入れ,卵とパン粉を加えてねり込んで味をつけ,けしの実と青ノリをトッピングして耐熱皿に敷きつめてレンジで加熱した。どこが悪かったかというと,肉だねへの味付けだろうと思う。料理の本にあるとおり醤油と砂糖をベースに味をつけたが,普通のハンバーグのように塩コショーをベースにする方が無難だった。ただ,そういう味にすると単なるハンバーグになってしまうので・・・ちなみに本当は鶏のひき肉を使う予定だったが,売り切れだったので合びき肉で代用した。そのへんも失敗の原因かも。,

 

このあとさらに,夕飯用のオカズにする分を兼ねて,エビの塩茹で・鶏肉の香り煮・煮なますを作った。家族はひと足先にこ日の夕方の高速バスに乗って広島へ。例年のように,大みそかは自宅で一人で過ごす。夕方6時ごろに本日分のおせち作りを終え,犬の散歩をすませて,風呂に入り,テレビの前に酒とつまみを置いて準備完了。まだ紅白が始まってなかったので,30本くらい採りだめしておいたビデオの中から「釣りごろ釣られごろ」の総集編をチョイス。東京の仕事仲間からお歳暮にもらった山形の地酒の封を開け,別の仕事仲間からもらったシブい素焼きの猪口に注いで,一人で冷酒を飲みながらビデオと紅白と格闘技を見る。みのさんの司会は窮屈そうで気の毒だった。谷沢永吉とユーミンの出演時刻が同時間帯にぶつかるという話だったが,実際はちょっとずれたので両方見た。仕上げに日清のカップ天ぷらそばを食べ,明日も朝からおせち作りなので,12時ごろ就寝。

◆ 1月1日(日)

この日は残りの料理を全部作り,実家でブリ・カズノコ・黒豆などをもらって,重箱に詰め終えたのが午後3時ごろ。黒豆はスペースの都合で入りきらず,別のタッパーへ。せっかく買ったちょろぎをおせちの飾りに使えず。このあと出し忘れていた年賀状を書いて投函し,犬を散歩させ,風呂に入り,6時ごろ広島へ出発。トランクには,翌日の釣りに使うカキが入っている。余裕を持ってスケジュールを立てたつもりだったが,実際は予定ギリギリだった。評判の悪い料理は二度と作らないようにして,好評の料理だけを残すようにしているので,毎年おせちの質は上がっていると思うが,実際はほかの親戚からも料理が届いたりして,毎年食べ残しが出る。一番好評なのはデザート類。女が6〜7人集まるので,どれだけ作ってもすぐに売り切れる。そういうわけで来年からは,おせち料理本体は量を半分くらいに減らして,代わりにデザートを重点的に作るようにしようと思う。

 

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