2015/2/11 up

大学入試(英文法)悪問データベース [D1] 受動態(1)

 

[009] 余分なby句 (2018 京都外大)〈正誤判定〉

×The suspect @was being chased by the police, but when he Aentered the busy station he Bwas losing sight of almost immediately in the crowd Cby them.

【解説】正解はB(→was lost sight of)ですが,Cのby themは不要。

ここ(文末)にby themを置くと,「他の者ではなく彼らによって(見失われた)」という響きになります。

Richardによれば,them=the crowdのようにも感じられるので,その点からもby themは削除すべきとのことでした。

 

[008] Milk is made into cheese. (2014 駒澤大)

×ミルクはチーズになります。=Milk is made ( ) cheese. 

@ from A to B for C into

【解説】[007]と同様。Milk can be made into cheese. とすべきです。

[大人の英文法031 受動態の情報構造]を参照してください。

 

[007] French is spoken in France. (2007 朝日大)

×French is ( ) in France. 

@speak  Aspoke  Bspeaking  ★Cspoken

【解説】この文の不自然さを感じ取れることは,英語学習者にとって非常に大切です。

[大人の英文法031 受動態の情報構造]を参照してください。

 

[006] 必然性のない受動態(2004 センター追試)〈整序作文〉

Three factories were closed in [ an attempt / for / to / reduce / costs ] the company.

【解説】完成した文は Three factories were closed in an attempt to reduce costs for the company. ですが…

この文に違和感があるのは,2つの下線部のどちらに情報の焦点があるのかがわかりにくいから。

またこの文を単体として見た場合,three factoriesがthe companyの所有物であるかどうかが不明確です。

私の感覚では,次のどちらかの方がベターに思われます。

(a) The company closed three factories to cut costs.

(b) In an attempt to reduce costs, the company closed its three factories.

(a)は簡潔で口語的な文,(b)はややフォーマルな書き言葉の文で,後半が情報の焦点になります。

 

[005] 必然性のない受動態(2009 九州国際大)〈整序作文〉

×その男性は,あなたの郵便物をまだ配達していません。

Your mail [ by / delivered / not / been / the / has ] man yet.

【解説】完成した文は Your mail has not been delivered by the man yet. ですが,この文は完全な誤り。

大人の英文法-031 受動態の情報構造  を参照してください。

 

[004] 必然性のない受動態(2019 大阪歯科大)〈整序作文〉

このペンは会社が私に試供品としてくれたものです。

[ was / me / promotion / pen / to / by / given / company / a / the / this /as ].

【解説】完成した文は This pen was given to me as a promotion by the company. ですが…

情報構造的にも意味的にも非常に違和感を覚える英文です。

一般に,This pen was given to me. のような(能動態の直接疑問文を主語にした)受動態はあまり使いません。

この文が使われるのは,「このペンは(他の人ではなく)私に与えられたものだ」と言いたいときだけです。

受動態を使わずに,The company gave me this pen as a promotion. と表現する方がはるかに自然です。

なお,和文は「その会社が」とすべきです。単に「会社」だと「自分が勤めている会社」の意味に誤解されます。

そうするとpromotionは(sales promotionの意味ではなく)「昇進」の意味に解釈されるかもしれません。

その場合は,... as a promotional gift.(昇進祝いとして)のようにすべきでしょう。

 

[003] 必然性のない受動態(2006 関西学院大)〈正誤判定〉

×Fortunately for Eric, the @classes was cancelled, Aso the fact Bthat his homework Cwasn't finished wasn't noticed by the teacher. (誤りがなければD)

【解説】正解は@(→class)ですが,so以下は非常にぎこちなく響きます。より自然な形はたとえば,

..., so the teacher didn't notice that he hadn't done his homework.

出題者の意図は容易に想像できます。正誤判定問題として成立させるために,意図的に複雑な形にしたのでしょう。

しかし,その結果英文が不自然になってしまっては,本末転倒というもの。

端的に言えば,出題者の能力の低さが露呈した悪問と言えます。

補足:wasn't noticed by the teacherは「先生によっては気づかれなかった(がほかの誰かには気づかれた)」と解釈されます。文末のthe teacherが情報の焦点になるからです。

 

[002] 必然性のない受動態(2002 立命館大)〈整序作文〉

キャンディをたくさん食べると虫歯になりやすい。

Teeth [ if / be/ eaten / ruined / candy / may / is ] frequently.

【解説】正解はmay be ruined if candy is eaten ですが,違和感のある英文です。

主節は「歯は悪くなることがある」,if節は「もしキャンディがしばしば食べられるなら」の意味ですが,

これでは「キャンディを食べた人の歯が悪くなる」とは必ずしも言えません。

むりやり受動態を使って複雑な形を作らせようとした結果,不自然な文になってしまっているように思われます。

Your teeth may be ruined [You may ruin your teeth] if you eat candy frequently. の方がはるかに自然です。

これに限らず,主節と従属節の主語はなるべくそろえる方が英語らしく聞こえます。 

 

[001] 文法的に成り立たない受動態(2009 八戸工大)〈整序作文・不要語あり〉

日本人は,昔写真を撮られることを恐れていた。

× Japanese people ( ) ( ) afraid ( ) ( ) ( ) photos.

@ be A taken B used to C being D of E was 

【解説】出題者の想定した正解は(Japanese people) used to be (afraid) of being taken photos. 

ですが,この文は全くの誤り。たとえば「私は写真を撮られた」をI was taken photos. と表現する

ことはできません。正しくはI had [got] my photo(s) taken. です。

したがって日本文の意味を表すためには,英文は

Japanese people used to be afraid of having their photos taken. 

としなければなりません。

 

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