話の流れから言えば「時制」の説明がまだまだ続くのですが,少し視点を変えて,
そもそも「文法とは何か?」という点を説明しておきたいと思います。
文法とは,一口で言えば「文をつくるルール」のことです。
文法のルールは,大きく次の2つに分けることができます。
@単語やフレーズを並べるためのルール
A単語の形を変えるためのルール
次の例で考えてみましょう。
[和文] 私は携帯電話を買った。
[英文] I bought a cell phone.
和文は「買った」を最後に言いますが,英文は「私は+買った+携帯電話を」の順にします。
このように,英文を作るには「単語をどんな順番で並べるか」を知っておかねばなりません。
次に,「買った」はbuy→boughtのように単語の形を変えて表します。そのルールも知っておく
必要があります。このように「単語を並べる」「単語の形を変える」という2つの操作によって,
どんな文でも作ることができるわけです。
上にピンク文字で示した2つのルールのうち,「@単語やフレーズを並べるためのルール」
の全体像を見てみましょう。このルールに関連する主な学習項目は,次の3つです。
●文の種類
英文の基本的な形は,平叙文(肯定文・否定文)と疑問文です。
疑問文を作るには,たとえば Is he a
student? のように主語と動詞を入れ替えます。
これは「単語を並べるルール」の1つです。
●語法
語法とは,個々の単語の使い方に関するルールのことです。たとえば
want(望む)
という動詞の語法の1つとして,want
の後ろには不定詞を置くことができます。
I want to become a singer.(私は歌手になりたい)などがその例です。
これも,単語を並べて文を作るための重要なルールです。
いわゆる「5文型」とは,語法の違いによって動詞をグループ分けしたものです。
●品詞と文の要素との関係(→016)
次に,「A単語の形を変えるためのルール」の全体像を考えてみます。
日本語でも,動詞や形容詞は「会う→会わない」のように語形が変化します。
これを「活用」と言います。英語は日本語よりも活用のバリエーションが多くあります。
たとえば,次のようなものです。
・名詞の複数形:boy→boys
・人称代名詞の格変化:he→him
・形容詞・副詞の比較変化:tall→taller
英語の活用でもっとも複雑なのは述語動詞(→016)の形の変化であり,これを理解する
ことが英文法学習の大きな柱の1つと言えます。
たとえば eat
という動詞(原形)は,伝えたい意味に応じて次のように形が変わります。
・I ate pasta for
lunch.(私は昼食にパスタを食べた)
*時制の一種である過去形(ate)を使った文。
・My cake was eaten
by my sister.(私のケーキは妹に食べられた)
*受動態(was eaten)を使った文。
・Eat more
vegetables.(もっと野菜を食べなさい)
*命令法(eat)を使った文。
・I will eat pasta
for lunch.(私は昼食にパスタを食べるつもりだ)
*動詞(eat)に助動詞(will)を加えた文。
これらをまとめると,述語動詞の形を変化させる文法的要素には次の4つがある
ことになります。
(A) 時制
(B) 態 (C) 法 (D) 助動詞
この「大人の英文法」では,日本人が苦手な「時制」から学習をスタートしています。
「時制」に続いて,「助動詞」「態」「法」を説明します。その時点で「A単語の形を変える
ためのルール」の学習は完了です。続いて「@単語やフレーズを並べるためのルール」
の説明を行います。さらに,個々の品詞や語法についても説明します。これらを通して
英文法の全体像が理解できるはずです。ちなみに,この「大人の英文法」は
001 から
番号が始まっていますが,最後の記事は 999
になる予定です。