2013/3/17 up

大人の英文法−015  英文法の全体像 

 

話の流れから言えば「時制」の説明がまだまだ続くのですが,少し視点を変えて,

そもそも「文法とは何か?」という点を説明しておきたいと思います。

文法とは,一口で言えば「文をつくるルール」のことです。

文法のルールは,大きく次の2つに分けることができます。

@単語やフレーズを並べるためのルール

A単語の形を変えるためのルール


次の例で考えてみましょう。

[和文] 私は携帯電話を買った。

[英文] I bought a cell phone.

和文は「買った」を最後に言いますが,英文は「私は+買った+携帯電話を」の順にします。

このように,英文を作るには「単語をどんな順番で並べるか」を知っておかねばなりません。

次に,「買った」はbuy→boughtのように単語の形を変えて表します。そのルールも知っておく

必要があります。このように「単語を並べる」「単語の形を変える」という2つの操作によって,

どんな文でも作ることができるわけです。


 

上にピンク文字で示した2つのルールのうち,「@単語やフレーズを並べるためのルール

の全体像を見てみましょう。このルールに関連する主な学習項目は,次の3つです。

●文の種類

英文の基本的な形は,平叙文(肯定文・否定文)と疑問文です。

疑問文を作るには,たとえば Is he a student? のように主語と動詞を入れ替えます。

これは「単語を並べるルール」の1つです。

●語法

語法とは,個々の単語の使い方に関するルールのことです。たとえば want(望む)

という動詞の語法の1つとして,want の後ろには不定詞を置くことができます。

I want to become a singer.(私は歌手になりたい)などがその例です。

これも,単語を並べて文を作るための重要なルールです。

いわゆる「5文型」とは,語法の違いによって動詞をグループ分けしたものです。

●品詞と文の要素との関係(→016


 

次に,「A単語の形を変えるためのルール」の全体像を考えてみます。

日本語でも,動詞や形容詞は「会う→会わない」のように語形が変化します。

これを「活用」と言います。英語は日本語よりも活用のバリエーションが多くあります。

たとえば,次のようなものです。

名詞の複数形:boy→boys

人称代名詞の格変化:he→him

形容詞・副詞の比較変化:tall→taller

英語の活用でもっとも複雑なのは述語動詞(→016)の形の変化であり,これを理解する

ことが英文法学習の大きな柱の1つと言えます。

たとえば eat という動詞(原形)は,伝えたい意味に応じて次のように形が変わります。

・I ate pasta for lunch.(私は昼食にパスタを食べた)

*時制の一種である過去形(ate)を使った文。

・My cake was eaten by my sister.(私のケーキは妹に食べられた)

*受動態(was eaten)を使った文。

Eat more vegetables.(もっと野菜を食べなさい)

*命令法(eat)を使った文。

・I will eat pasta for lunch.(私は昼食にパスタを食べるつもりだ)

*動詞(eat)に助動詞(will)を加えた文。

これらをまとめると,述語動詞の形を変化させる文法的要素には次の4つがある

ことになります。


(A) 時制   (B) 態   (C) 法   (D) 助動詞

この「大人の英文法」では,日本人が苦手な「時制」から学習をスタートしています。

「時制」に続いて,「助動詞」「態」「法」を説明します。その時点で「A単語の形を変える

ためのルール」の学習は完了です。続いて「@単語やフレーズを並べるためのルール

の説明を行います。さらに,個々の品詞や語法についても説明します。これらを通して

英文法の全体像が理解できるはずです。ちなみに,この「大人の英文法」は 001 から

番号が始まっていますが,最後の記事は 999 になる予定です。

 

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