「007 時制とは」で説明したとおり,英語の時制には現在時制と過去時制しかありません。
たとえば speak の過去形は spoke ですが,「speak
の未来形」は存在しません。
そこで未来の内容を表したいときは,時制(=時を表す動詞の活用形)以外の文法
ルールを使います。主なものは次の5つです。ニュアンスの違いに注意してください。
(1) will+動詞の原形
He will move next month.
(彼は来月引っ越すだろう)
*話し手の(現時点での)推量を表します。彼自身が来月引っ越そうと
思っているとは限りません。
(2) be going to+動詞の原形
He is going to move next
month. (彼は来月引っ越す予定だ)
*彼自身の予定を表します。直訳すれば「彼は引っ越しする方へ
進んでいる」。
(3) 現在進行形
He is moving next month.
(彼は来月引っ越す予定だ)
*「彼は今引っ越しの準備を進めている」という感じ。
(4) 現在形
He moves next month.
(彼は来月引っ越す(ことになっている))
*カレンダーなどで確定した予定を表します。
(5) be動詞+不定詞
He is to move next month.
(彼は来月引っ越す予定だ)
*「引っ越す方へ向かっている→引っ越すことに決まっている」という感じ。
英語には未来時制(未来形)がないので,未来の内容を表すにはこのように
さまざまな表現で代用する必要があるわけです。
本質的なことを言えば,未来のことを確定的に語ることができるのは神様だけです。
人間が未来のことを語ろうとすれば,「今の時点」を基準にして「未来ではこうなる
だろう」という言い方しかできません。どの表現を使おうと,話し手の視点は「現在」
に置かれていることに注意してください。厳密な意味で時制を定義づけるなら,
上の(1)〜(5)の文はすべて「現在時制の文」です。(1)の
will は,法助動詞 will の
現在形だと考えることができます。(will の過去形は
would。未来形はありません)