学校文法で言う「5文型」とは次のようなものです。
第1文型=SV
Puppies bark.
(子犬はほえる)
S V
第2文型=SVC
Puppies are cute.
(子犬はかわいい)
S V C
第3文型=SVO
I like puppies.
(私は子犬を好む)
S
V O
第4文型=SVOO
My uncle gave me a
puppy. (おじは私に子犬をくれた)
S V
O O
第5文型=SVOC
My puppy makes me happy.
(私の子犬は私を楽しくさせる)
S V
O C
S・V・O・Cとは,それぞれの語句(のかたまり)の「文中での働き」の分類です。
S(主語)=主題[何について語る文なのか]を表す語句
V(述語動詞)=述部[主題について語る部分]の中心となる語句
O(目的語)=動詞が表す動作などの働きを受けるものを表す語句
C(補語)=SまたはOを補足説明するための語句
上記は一応の定義ですが,ざっくり言えばSは「〜は」,Vは「〜だ」「〜する」,Oは「〜を」
という意味を主に表す要素です。Cは基本的には「be動詞の後ろに置ける要素」です。
016 品詞と文の要素の関係
で示した表を再掲しておきます。
文の要素
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S(主語)
|
V(述語動詞)
|
O(目的語)
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C(補語)
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修飾語
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品詞
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名詞
代名詞
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動詞
|
名詞
代名詞
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名詞
形容詞
|
形容詞
副詞
|
たとえば上の第5文型の例文(My puppy
makes me happy.)では,Cの位置に形容詞(happy)
が置かれています。この文は「私の子犬は[私が楽しい(I
am happy)」状態を作る」と考える
ことができます。
別の角度から考えると,文型とは「同じ語法を持つ動詞をグループ分けしたもの」です。
たとえば「第4文型で使う動詞には,give,lend,show,tell
などがある」と言うとき,
これらの動詞はすべて「SVOOの形で使える」という共通点を持つことになります。
要するに文型とは,動詞の分類方法の一種です。
学校文法では以上のことを知っておけば十分でしょう。ここではさらに進んだ話もしておきます。
今日のオーソドックスな英文法では,5文型ではなく7文型または8文型の分類が主流です。
たとえば「ジーニアス英和辞典(第4版)」(俗にG4と言います)では,冒頭の解説中に
「動詞の文型は7文型を基本とする」とあります。
5文型と7文型を対応させると,第1文型(SV・SVA),第2文型(SVC),第3文型(SVO・SVOA),
第4文型(SVOO),第5文型(SVOC)となります。従来の5文型にないのはSVAとSVOAで,
次のような文がそれに当たります。
・He lives in
Yokohama. (彼は横浜に住んでいる)
S
V
A
・He put the key
on the table. (彼は鍵をテーブルの上に置いた)
S
V
O A
Aとは「副詞的修飾語(句)」のこと。これらの文は,Aの要素を取り除くと意味をなしません
(つまりAが新情報です)。たとえば He lives.(彼は住んでいる)では何のことがわかりませんね。
したがってAは文構造上の必須要素であり,「省略できる修飾語(句)」とは考えないわけです。
次の2つの文を比べてみましょう。
(a) The writer lived in
London. (その作家はロンドンに住んでいた)
S
V A
(b) The writer died in London.
(その作家はロンドンで死んだ)
S V 修飾語
(a)の in London は省けないのでAですが,(b)はThe writer died.
だけでも意味が通じるので,
in London を修飾語と考えます。よって(a)はSVA,(b)はSVです。
【参考】Aは advervial(副詞類)の頭文字から。G4ではAの代わりにM(=modifier:修飾語)という記号を使って,
SVM・SVOMとしています。
【参考】8文型の場合,SVCAが加わります。He is fond
of music. のような文です(下線部がA)。
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