2013/4/7 up

大人の英文法−033 さまざまな形の受動態 

 

008 時制と相 で説明したとおり,英語の基本的な時制は現在時制と過去時制の2つです。

これに進行相・完了相と(未来を表す)助動詞のwillを加えたものが学校文法で言う時制ですが,

これらは受動態と組み合わせて使うことができます。それによって次のような形ができます。

@ 現在時制・過去時制+受動態

The road was completed last month. (その道路は先月完成された)

A will+受動態

The road will be completed next month. (その道路は来月完成されるだろう)

B 完了相+受動態

The road has been closed for a week. (その道路は1週間閉鎖されている)

C 進行相の受動態

The road is being repaired now. (その道路は今修理[工事]されているところだ)

また,will 以外の助動詞も受動態と組み合わせて使えます。

・Beer bottles can be reused. (ビール瓶は再使用されることができる)


 

受動態の否定文や疑問文は,be動詞を使った文に準じて作ります。

・The meeting room isn't used now. (会議室は今使われていない)

Is this seat taken? (この席は空いて[←占有されて]いますか)

なお,先に述べたように,by を使った否定文の受動態の意味に注意してください。

・The meeting room isn't used by the project team.

(会議室はプロジェクトチームによって使われてはいない)

この文は「会議室は別の人たちが使っている」という意味です。isn't used を見て

「使われていない」と考えないようにしてください。

 

参考までに「命令文の受動態」と呼ばれるものにも触れておきます。

一部の文法書には次のような例が見られます。

(a) Do it at once. (すぐにそれをしなさい) 〈能動態〉

→ (b) Let it be done at once. 〈受動態〉

このような「書き換え」問題が昔の入試ではよく出ていましたが,全くナンセンスです。

第1に,(b)は日常的に使う表現ではありません。以前あるネイティブにこの文を見せて

「このような表現を使いますか」と尋ねたことがありますが,「生まれてから一度も使った

ことがない」という答えが返ってきました。

第2に,(a)と(b)は意味が違います。(a)は「お前がやれ」と言っていますが,(b)はその

意味のほかに「誰かにすぐにそれをやらせろ」という意味にも解釈できます。


 

「群動詞の受動態」は,大学入試でよく問われます。次のようなものです。

A stranger spoke to me. (見知らぬ人が私に話しかけた)

         S           V      O

 → I was spoken to by a stranger. (私は見知らぬ人に話しかけられた)

上の文(能動態)では,speak toを「〜に話しかける」の意味の1つの他動詞として

考えます。その目的語の me を主語にして受動態で言い換えたのが下の文です。

結果的に前置詞(to と by)が2つ並ぶ形になるので,整序作文問題などで好まれます。

ただし実際には,「群動詞の受動態+by+動作主」という形はあまり使われません

The game was called off. (試合は中止された)のような by のない形はよく見られます。

受験対策としては重要かもしれませんが,コミュニケーションの場面では「〈by+動作主〉

を含む受動態は,そこに情報の中心があるのでない限り使わない」という点を意識して

おくことが大切です。


 

受動態が表す意味について補足しておきます。

受動態には「動作」「状態」の2つの意味があります。

(a) The trash is collected twice a week.

(ごみは週に2度回収される) 〈動作受動態〉

(b) The trash is collected at the back of this building.

(ごみは建物の裏に集められている) 〈状態受動態〉

(a)は「collect(回収する)という動作が行われる」という意味,(b)は(動作の意味にも解釈

できますが)「今集められた状態だ」という意味です。動作の意味を明確にしたいときは,

be動詞の代わりにgetを使います。get collected は「回収される」という意味になります。

一般に get は「〜になる」の意味で使います。たとえば I'm sick. は「気分が悪い」ですが,

I got [became] sick. は「気分が悪くなった」です。このように後ろが形容詞のときは 

become も使えますが,過去分詞のときはたとえば become collected とは言いません。

I got [became] tired [excited].(疲れた[わくわくした])は get・become の両方が可能

ですが,これらの tired や excited は過去分詞ではなく純粋な形容詞です。

 

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