2013/5/7 up

大人の英文法−040 仮定法過去・過去完了 

 

仮定法には4つの形式がありますが(→038),ここでは学校で習う代表的な形で

ある「仮定法過去」「仮定法過去完了」を取り上げます。

繰り返しますが,「仮定法」とは「述語動詞の形の変化の一種」だと考えてください。

一般的な仮定法過去の形と働きは,次のようにまとめることができます。

・if 節中で過去形,主節中で〈would/could/might+原形〉を使う。

・現在の事実の反対を仮定して,現状に対する話し手の願望などを述べる。

例文を1つ挙げます。

(a) If I knew his e-mail address, I could contact him.

 (もし彼のメールアドレスを知っていれば,彼に連絡を取れるのに)

昔流の「書き換え」パターンで言えば,この文は次の文に近い意味を表します。

・I don't know his e-mail address, so I can't contact him.

(私は彼のメールアドレスを知らないので,彼に連絡を取れない)

・I'm sorry I don't know his e-mail address (and so I can't contact him).

(彼のメールアドレスを知らない(だから彼に連絡を取れない)のが残念だ)

仮定法過去のバリエーションをいくつか挙げておきます。

(b) If I could speak Italian, I would move to Rome.

  (もしイタリア語を話せれば,ローマへ引っ越すのに)

  ※if 節中では助動詞の過去形を使うこともできます。

(c) If it weren't [wasn't] raining, we could play baseball.

  (もし雨が降っていなければ,私たちは野球をするのに)

  ※if 節中では進行形や受動態のbe動詞もwere(口語ではwas)にします。

(d) If you got 100 million yen, what would you do?

  (もし1億円を手に入れたら,どうしますか)

  ※主節が疑問文などになることもあります。

(e) If I were you, I wouldn't change jobs.

  (もしぼくが君なら,転職しないよ)

  ※ if I were you は一種の慣用表現であり,if I was you とはあまり言いません。

なお,(a)〜(d)では,仮定法の代わりに直説法を使うこともできます。ただし意味は

違ってきます。既に述べたことをもう一度確認しておきましょう。

たとえば(d)を,直説法を使った次の文と比べてみます。

(d')  If you get 100 million yen, what will you do? 

(d')(直説法)では,話し手は「あなたが1億円を得る可能性」と「そうでない可能性」とを

同等に考えています。一方(d)(仮定法)では,話し手は「まずそんなことはないだろうが,

もし1億円を手に入れたら」という控えめな(しかし実現の可能性がゼロではない)仮定を

行っています。(d)を「現在の事実の反対」という観点から説明することはできません

一方(e)では,直説法を使って If I am you, I won't change jobs. と表現することは

できません。「私があなたである」可能性はゼロだからです。このように直説法は,

可能性がゼロである仮定(却下条件)を表すことはできません。しかし(d)からも

わかるとおり,仮定法は「可能性がゼロの場合」「可能性が(少ないけれども)

ある場合」の両方の仮定を表すことができます


 

続いて,仮定法過去完了の例を示します。

(f) If I had known his e-mail address, I could have contacted him.

 (もし彼のメールアドレスを知っていたら,彼に連絡を取れたのに)

仮定法過去完了の形と働きは,次のようにまとめることができます。

・if 節中で過去完了形,主節中で〈would/could/might+have+過去分詞〉を使う。

・過去の事実の反対を仮定して,実現しなかったことがらに対する話し手の願望などを述べる。

仮定法過去完了は大学入試では非常によく問われる項目ですが,基本形を暗記しておきさえ

すれば容易に正解を出せます。センター試験(2010)から1つ例を挙げてみましょう。

・If I hadn't broken up with Hannah last month, I (    ) going out with her for two years.

@ had been   A have been   B will have been   C would have been 

この問いの正解はC。文の意味は「もし先月ハンナと別れていなければ,私は彼女と

2年間付き合ったことになっただろう」です。if節中で過去完了形が使われているので,

文の意味を考えなくても機械的にCが正解だと判断できます。


 

また,仮定法過去と仮定法過去完了を組み合わせた,「混合仮定法」と呼ばれる形が

あります。これもテストではよく出ます。次の例もセンター試験(1998)からの引用です。

・If I (   ) a computer last year, I’d still be using my old typewriter. 

@ hadn’t bought   A haven’t bought    B shouldn’t buy   C wouldn’t buy

正解は@。文の意味は「もし去年パソコンを買わなければ,私は今でも古いタイプ

ライターを使っていることだろう」。条件節は過去(去年)のことを,主節は現在のことを

語っています。この形は次のように一般化できます。

If S+V[過去完了形],S+V[would/could/might+原形].

 =もし(過去に)〜だったら,(今)…だろう[できるだろう,かもしれない]

【参考】逆のケースも(まれですが)あります。

・If dogs could speak, my dog would have said "I'm happy."

(もし犬が話せるとしたら,私の犬は「うれしい」と言っただろう)

この例では if 節が(現在の)一般的事実に,主節が過去のことがらに言及しています。

 

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