2013/7/28 up

大人の英文法−047 推量の助動詞 

 

次の表の黄色の助動詞は,「推量」の意味を表すことができます。

現在形

will

shall

can't

may

must

過去形

would

should

could

might

 

ここでは,これらが表す推量の意味をまとめて見ておきましょう。

話し手の確信の度合いが強い順に並べると,次のようになります。

@must(〜に違いない)

Awill/would(〜だろう)

Bshould(〜のはずだ)

Cmay/might(〜かもしれない)

Dcould(〜でありうる)

*can't(〜のはずがない)は,この序列の中で考えることはできません。

たとえば,次の文中にこれらの助動詞を当てはめてみましょう。

The rumor (      ) be true. = そのうわさは本当である                 

mustを入れれば「きっと本当だ」という強い確信を表します。

couldを入れれば「ひょっとしたら本当の可能性もある」という程度の確信を表します。

数字で表現すると,mustは100%に近い確信を,mayは50%の確信を表します。

その中間にあるのがwill/would/shouldであり,couldはmayよりも低い確信度です。


 

推量を表す個々の助動詞の使い方を,もう少し詳しく見ておきましょう。

 

@must(〜に違いない)

 (1) 018で説明した「意志動詞と無意志動詞」を思い出してください。

〈推量〉の意味のmustの後ろには,無意志動詞を置きます。

・He must be studying now. (彼は今勉強しているに違いない)

*beは無意志動詞。

・He must study hard. 

  (○彼は熱心に勉強しなければならない

  (×彼は熱心に勉強するに違いない

*studyは意志動詞なので,このmustは〈推量〉の意味ではありません。

 (2) 推量のmustは,否定文では使いません

 (3) 「未来に向けての確信」をmustで表すことはできません

× Mom must get angry if she sees this mess.

○ Mom is sure to get angry if she sees this mess.

 (この散らかりようを見たらママは怒るに違いない)

 

Awill/would(〜だろう)

willは「現在の推量」に使うことができます。次の文のwillは,単純未来

(未来進行形)ではありません。

・He will be at home now. (彼は今家にいるだろう)

・She won't be sleeping now. (彼女は今寝てはいないだろう)

046で説明したとおり,助動詞の過去形を使うと意味を和らげることができます。

wouldはwillよりも控えめな推量を表します。

・The rumor would be true.(そのうわさは(もしかしたら)本当だろう)

*willを使うよりも確信の度合いがやや弱い感じ。

 

Bshould(〜のはずだ)

次のような使い方です。

・The package should arrive this afternoon. (荷物は今日の午後に届くはずだ) 

・He shouldn't know my e-mail address. (彼は私のメアドを知らないはずだ)

1つ目の例文からわかるとおり,should は「これから〜するはずだ」という

未来に向けての推量を表すこともできます。

 

Cmay/might(〜かもしれない)

 (1) may/might以外の推量の助動詞は,「後ろに無意志動詞を置く」という共通点があります。

しかし,「〜かもしれない」の意味のmay/mightの後ろには意志動詞を置くこともできます。

・He may come here tomorrow.

comeは意志動詞ですが,この文は次の2通りの解釈が可能です。

「彼は明日ここへ来るかもしれない」「彼は明日ここへ来てもよい」

また,この例からもわかるとおり,mayは未来に向けての推量も表せます。

「彼は来ないかもしれない」は He may not come. で表せます。

 (2) mightはmayよりも控えめな推量を表しますが,実際にはほとんど意味の違いはありません。

 特にアメリカ英語では might が好まれます。なお,mightは「〜してもよい」〈許可〉の意味では

使いません。上の文を He might come here tomorrow. と言えば,〈推量〉の解釈だけが

成り立ちます。

 

Dcan't(〜のはずがない)/could(〜でありうる)

 (1) can とcould は使い方が違う点に注意してください。

○ The rumor could be true.

× The rumor can be true.

「そのうわさは(ひょっとしたら)本当の可能性もある」という意味では,couldは使えますが

canは使えません。canは一般的な可能性を意味します。

○ Rumors can be true. (うわさは本当であることもありうる)

 この文が正しいのは,「うわさ一般」を語っているからです。もちろんcouldも使えます。

(2)  〈推量〉を表す can(〜でありうる) は,肯定文中では使えません

○ The rumor can't be true. (そのうわさは本当であるはずがない)

Can the rumor be true? (そのうわさは本当でありうるだろうか[いや,本当のはずがない])

このように,否定文や疑問文(実質的には否定文の意味を表す「修辞疑問文」)で使います。

これらの文では could(n't) を使うこともできます(より控えめな言い方になります)。

なお,上の Rumors can be true. という文は,話し手の推量ではなく客観的な可能性を表します。

(3) can't  は未来に向けての推量には使えません。could はその意味で使えます。 下記を参照

・He can't become a doctor.

*この文は「彼は医者になることはできない」の意味であり,「彼は医者になるはずがない」と

  いう解釈は成り立ちません。(その意味を表す文はHe is unlikely to become a  doctor. など)

・He could become a doctor.

*この文は次の2通りに解釈できます。

  ・「彼は(がんばれば)医者になれるかもしれない」〈仮定法過去〉

  ・「彼は(ひょっとしたら)医者になるかもしれない」〈確信の度合いの低い推量〉

  繰り返しになりますが,後者の意味でcouldをcanに置き換えることはできません。

 

※以下の記事は2016年4月29日に加筆しました。

上記の(3)に関して読者の方から,「can'tを未来の推量に使った例」として次の文をいただきました。

(a)Mary can't fail the examination. メアリーが試験に落ちるはずはない. [研究社ルミナス英和辞典canの項]

(b)It can't possibly rain tomorrow. あすはとても雨は降らないだろう. [小学館プログレッシブ英和辞典第四版 canの項]

私の方でも調べてみたところ,「can't は未来に向けての推量には使えない」は不正確でしたので訂正します。

can't を未来の推量に使う例はあります。次の文は Practical English Usage(和訳版p.519) からの引用です。

(c) You can't win. (=You certainly won't win.)

(君は勝てるはずがない[君はきっと勝てないだろう])

(c)では「can't+無意志動詞(win)」が未来の1回限りの出来事に言及しており,「〜できるはずがない

[きっと〜することができないだろう]」という推量の意味を表しています。この文の場合は,

「正確には You won't be able to win. と言うべきだが,回りくどいので下線部をcan't で代用した」

というとらえ方もできるかもしれません。読者の方からいただいた(a)も同様です。

しかし(b)の It can't possibly rain tomorrow. では can=be able toではないから,その説明は無理です。

つまり can't は,「未来の1回限りの出来事が起こりえない」という意味でも使えることになります。

なお,肯定文中の can はその意味では使えません。「明日は雨が降る可能性がある」を

It can rain tomorrow. と英訳するのは誤りです(It could rain tomorrow. なら正しい文です)。

 

 

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