will はもともとは「望む,欲する(want)」の意味の動詞でした。
willの本来の意味は「意志」であり,名詞のwillは「意志,遺言」の意味で使います。
したがって It will rain tomorrow.(明日は雨だろう)のような単純未来を表す
will は
派生的な用法であり,形式的には3人称の「意志」を表すことによって,実質的に
話し手の推測や判断を表すことができます。
単純未来・意志未来の will
の基本的な使い方は既に説明したので(→018),
ここではそれ以外の主な使い方を見ていきます(現在推量のwillは→047)。
◆ 依頼を表す文で使う
will/would
(a) Will
you (please) help me? (手伝ってくれない?)
(b) Won't
you (please) help me? (手伝ってくれるよね?)
(c) Would
you (please) help me? (手伝ってもらえますか)
3つの文の訳語の違いに注意してください。(c)が最もていねいな言い方です。
(a)はもともとは「あなたは私を手伝う意志がありますか」という意味です。
それほどていねいな言い方ではなく,親しい間柄以外では使わない方が無難です。
(b)はさらにくだけた言い方です(won't=will not)。一般に否定疑問文は,相手から
イエスの答えを期待するときに使います。たとえば Are
you hungry? は「おなかがすいて
いますか,いませんか」という単なる質問ですが,Aren't
you hungry? は「おなかがすいて
いないの?すいているんでしょ?」と意味になります。同様に(b)も「あなたは私を手伝う
意志がありませんか?いや,ありますよね」というニュアンスになるので,かなり図々しい
頼み方になります。(c)のように過去形の would
を使うと意味が和らいで,「あなたは
私を手伝う意志がおありでしょうか」というへりくだった感じになります。
なお,(b)の理屈から想像できるとおり,Wouldn't you 〜?
とは言いません(これだと
へりくだった気持ちと図々しい頼み方を組み合わせることになるからです)。
参考までに,次の表現も見ておきます。
・Would [×Will]
you mind if I turned on the TV? (テレビをつけてもかまいませんか)
*直訳は「もし私がテレビをつけたらあなたは気にするでしょうか」。この文の
mindは「気にする,いやがる」という意味の動詞です。would
を使う仮定法過去の
文ではwouldが単純未来(〜だろう)の意味に解釈できますが,will
だと「気にして
もらえますか」という不自然な響きになるため,will
を使うことはありません。
なお,このように Will you 〜?
の形は「〜してくれますか」「〜するつもりですか」の
2通りの意味に解釈されるおそれがあるため,後者の意味のときは
Are you going
to 〜? を使う方が普通です。
・ Are you going to [△Will
you] buy a new car? (新車を買うつもり[予定]ですか)
* Will you buy a new car?
だと「新車を買ってくれませんか」の意味に誤解され
かねません。
◆ 主語の強い意志を表すwill
この意味の will は強く読みます。肯定文のときは I'll
のような短縮形にはしません。
・ I promise I wíll
come on time. (必ず時間どおりに来ると約束します)
・ He wón't [wóuldn't]
listen to me.
(彼は私に耳を貸そうとしない[しなかった])
・ This lid won't open.
(このふたがどうしても開かない)
*無生物に強い意志があるかのように表現したもの。
なお,主語の意志を表す will からは willing(〜する意志がある)という形容詞が生まれました。
・ I'm willing to
apologize to him. (彼に謝ることは一向にかまいません)
*もともとは「私は〜するつもりになりつつある」という進行形だったと考えられます。
なお,be willing to do
は「〜するのはかまわない」という程度の意味であり,「積極的に
〜したい」という場合には使いません。
◆ 習性を表すwill
will
は「(一般的に)〜するものだ,〜する習性がある」という意味でも使います。
・Oil will float on
water. (油は水に浮く(ものだ))
・Boys will be boys.
(男の子は男の子だ[いたずらするのは仕方がない])〈ことわざ〉
will
に関しては,このあたりまで知っておけば十分でしょう。
なお,主語の意志を表す will からは
willing(〜する意志がある)という形容詞が生まれました。
◆ 過去の習慣を表す would
wouldは「(過去に)〜したものだ」という意味で使うことがあります。often,usualy,always
などの
副詞を添えて使うのが普通です。
・We would often go
for a drive in the countryside.
(私たちはよく田舎へドライブに行った)
* We used to go ... でも実質的な意味に差はありません。