動名詞の基本形は〈動詞の原形+ing〉であり,「〜すること」という意味を表します。
たとえば read(読む)という動詞からは,reading(読むこと)という形ができます。
(a) I like reading.
(私は読書が好きです)
S
V O
(b) I like reading
novels. (私は小説を読むことが好きです)
S
V
O
(a)の reading
は「読書」という意味の名詞と考えてもかまいません。
日本語で考えても,たとえば「ボクシング(boxing)」「ジョギング(jogging)」などは純粋な
名詞と感じられるはずです。つまり
-ing には「名詞を作る」という働きがあります。
(b)は,もともとは次のような表現だったと考えることができます。
(b') I like the reading of novels.
下線部は「小説(novels)+の(of)+読書(reading)」という形です。
【参考】the がついているのは,readingがof
novelsによって限定されているため。
(b)は(b')をより簡潔にした言い方です。次のように考えればいいでしょう。
read novels(小説を読む) → reading
novels(小説を読むこと)
では,動名詞と不定詞にはどんな違いがあるのでしょうか。
「読むこと」という意味は,reading(動名詞)でも
to read(不定詞)でも表すことができます。
reading
は,上で説明したとおり,純粋な名詞により近い言い方です。「読書という行為一般」
と考えてかまいません。一方 to read は,057で説明したとおり,個別の行為を意味します。
不定詞と動名詞の違いとして,次の点を頭に入れておいてください。
・不定詞=未来志向/個別の「行為」を表す。
・動名詞=抽象的な「ことがら」(一般論・習慣)を表す。
この違いは,次のような例で確認できます。
(c) My dream is to write [×writing]
a novel. (私の夢は小説を書くことです)
(d) My hobby is writing [×to
write] poems. (私の趣味を詩を書くことです)
(c)の to write(不定詞)は,「(1本の小説を)書く」という個別の(かつ未来の)行為を表します。
(d)の writing(動名詞)は,「(詩の)創作」という一般的なことがら[習慣]を表します。
形の上では(c)(d)とも不定詞・動名詞のどちらも使えるはずですが,実際には意味に応じて
使い分ける必要があります。不定詞と動名詞のこのような違いは,〈V+不定詞/動名詞〉の
形を理解する上でも重要です。
参考までに補足しておきます。
たとえば collect(集める)という動詞からは,collection(収集)という名詞ができます。
したがって,「私の趣味は切手の収集です」は次の2通りの文で表すことができます。
(e) My hobby is the collection of
stamps.
(f) My hobby is collecting stamps.
しかし,たとえば make(作る)という動詞には「名詞形」がありません。したがって
「私の趣味は模型飛行機を作ることです」を英語で表そうとした場合,
(g) My hobby is the
? of model planes.
(h) My hobby is making model
planes.
(g)の「?」の位置に置くべき「makeの名詞形」は存在しません。だから(h)のように動名詞
(making)を使わないと文が作れません。つまり動名詞は,純粋な名詞形を持たない
(make
のような)動詞を使って文を作るためには必要不可欠な形だということです。
さらに補足して言えば,上の(e)と(f)を比べると,(e)はフォーマルな言い方であり,
(f)の方が口語的です。動名詞を使えば(f)のように短く簡潔な文を作れるので,
動名詞は会話での利用価値も高いと言えます。
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