060 不定詞(名詞的用法)の全体像
で説明したとおり,名詞的用法の不定詞はCにもなれます。
(1) My dream is to
become a professional singer. (私の夢はプロの歌手になることです)
S V
C
この例のように,S is C.(第2文型)のCとして不定詞を使う形はよく見られます。
ところで,be動詞以外にもSVCの形で使う動詞はたくさんありますね。それらの動詞の後ろには
不定詞は置けないのでしょうか?
(2) He seems to
be sick. (彼は病気らしい)
S
V
C
この文は,to be を省略して He seems sick.
と言うこともできます。He seems sick. はSVCなので,
(2)の to be sick
もCだと考えることが一応はできます。しかし,「(2)の文は第何文型か?」と考える
よりも,〈seem+不定詞=〜のらしい,〜のように思われる〉という形を覚えておく方が重要です。
すべての文を5つの文型のどれかに当てはめようとする必要はない,と考えておきましょう。
【参考】(2)の to be sick
をCだと考えると,学校で習う文法の説明と不整合を起こします。学校英語では一般に
「SVCの形の文は,Vをbe動詞で置き換えることができる」と説明しますが,(2)を
He is to be sick. と言う
ことはできません。
【参考】(2)の不定詞は名詞的用法か形容詞的用法か?という問いも,実用上は無意味です。
(3) All I can do is (to)
do my best. (私にできるのは全力を尽くすことだけだ)
S V C
all
で始まるこのような形は,日常的にもよく使われます。この文の直訳は「私がすることのできる
すべてのことは,全力を尽くすことだ」。All の後ろに
that(関係代名詞)を補って考えることが
できます。この文では to を省略することができます。S
is C. のCが不定詞であるとき,
Sの中に do
が含まれていれば,Cの to は省略してもかまいません。
(1)ではSに do が含まれていないので,My dream is become
a professional singer. とは普通は
言いません。
【参考】Sにdoが含まれていなくてもCのtoが省略されることもあります。
・ All you need is (to) do your
best.(君に必要なのは全力を尽くすことだけだ)
次に,不定詞はSVOCのCとして使うことができるでしょうか?これについては,たとえば
次のような形はあります。
(4) I believe him
to be honest. (彼は正直だと私は信じている)
S
V
O
C
この文も(2)と同様に to be を省略して I believe him honest.
と言えるので(この文はSVOC),
to be honest
はCだと考えてもかまいません。ただしここでも,〈believe+O+(to
be) C=
OがCだと信じる〉という形を覚えておく方がベターです。
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