2014/1/5 up

大人の英文法064−不定詞(形容詞的用法)  

 

063 Cの働きをする不定詞 とも関係しますが,形容詞は一般に次の2つの性質を持ちます。

@ 名詞を修飾する。

A Cとして働く。

したがって理屈から言えば,「形容詞的用法の不定詞」も上の@Aの2つの働きを持つはずです。

しかし少なくとも学校英語では,「@の働きを持つ不定詞=形容詞的用法の不定詞」と考えます。

 

形容詞的用法の不定詞の一般形は,次のように覚えておくとよいでしょう。(以下,to do=不定詞)

◆ 名詞+to do = 〜するための[すべき,するという]○○

 

一般的な説明では,形容詞的用法の不定詞には次の4つの下位区分があります。

(1) 主格関係   (2) 目的格関係   (3) 同格関係   (4) その他

 

それぞれの例は次のとおりです。どの文でも,後ろの不定詞が前の(ピンク色の)名詞を修飾します。

(1) He has many friends to help him. (彼は自分を助けてくれる多くの友人を持っている)

※名詞と後ろの不定詞との間に「多くの友人彼を助ける」という〈S+V〉の関係があります。

【参考】 He was the first man to climb the mountain.(彼はその山に登った最初の人だった)のような文の

    不定詞も一般には同様に説明されますが,この文のto climbはfirst(形容詞)を修飾する副詞的用法と

    考える立場もあります。私はその立場を支持します。

(2) He has a family to support. (彼は養うべき家族を持っている)

※名詞と後ろの不定詞との間に「家族養う」という〈O+V〉の関係があります。

※a house to live in(住むための家)のように,動詞の後ろに前置詞がつく形もあります。

(3) He broke the promise to help me. (彼は私を助けるという約束を破った)

※名詞と後ろの不定詞との間に「〜という○○」という(同格の)関係があります。

動詞[形容詞]+不定詞〉の下線部を抽象名詞に置き換えた形です。

(4) It's time to go. (もう行く時間だ)

※名詞と後ろの不定詞との間の関係は,上の(1)〜(3)のどれでもありません。


 

学校では上のように習いますが,大切なのはここから先です。

上の4つのパターンの間には,実際の使用頻度の点で大きな差があります。

最もよく使われるのは(4)のパターンであり,(1)はまれです。

(2)(3)はその中間といったところです。

 

(1)に関しては,次の例で考えてみます。

「彼女は携帯電話を売る店で働いている」

→ ○ (a) She works at a shop that sells cell phones.

    ×  (b) She works at a shop to sell cell phones.

上の和文の意味を表す正しい英文は(a)であり,(b)は誤りです。

(b)は「彼女は携帯電話を売るためにある店で働いている」という違った意味になります。

このように,(1)のような主格関係を表す不定詞は,関係詞節ほど自由には使えません。

×を「携帯電話を売るための店」と解釈できない理由はここでは割愛しますが,要するに

(1)のような形は使わない方が無難だということです。たとえば(1)は,He has many friends

who help him. のように関係詞節を使って表すようにしましょう。

 

(4)については,私が調べたデータを1つご紹介します。

2011・12年度のセンター試験に,形容詞的用法の不定詞は全部で46件出てきました。

その内訳は,(1)型が2件,(2)型が11件,(3)型が6件,(4)型が27件でした。

(4)型のうち圧倒的に多かったのは way to do(〜する方法)の形で,これが9件。

そのほか chance/opportunity to do(〜する機会)が4件,time to do(〜する時間)が3件,

などとなっています。

 

つまり,形容詞的用法の不定詞を実際に使えるようになるための1つの重要なプロセスは,

「名詞+to do」のチャンク(意味のかたまり)をできるだけ多く頭にインプットすることです。

上に挙げたもののほかには,たとえば plan to do(〜する計画),effort to do(〜するための

努力)などがあります。「与えられた文中の不定詞の用法を考える」というのはいわば受け身の

学習ですが,話す力をつけたいのなら「不定詞を含む形を覚える」という発想に切り替えましょう。

 

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