063 Cの働きをする不定詞
とも関係しますが,形容詞は一般に次の2つの性質を持ちます。
@ 名詞を修飾する。
A Cとして働く。
したがって理屈から言えば,「形容詞的用法の不定詞」も上の@Aの2つの働きを持つはずです。
しかし少なくとも学校英語では,「@の働きを持つ不定詞=形容詞的用法の不定詞」と考えます。
形容詞的用法の不定詞の一般形は,次のように覚えておくとよいでしょう。(以下,to
do=不定詞)
◆ 名詞+to
do =
〜するための[すべき,するという]○○
一般的な説明では,形容詞的用法の不定詞には次の4つの下位区分があります。
(1) 主格関係 (2)
目的格関係 (3) 同格関係 (4) その他
それぞれの例は次のとおりです。どの文でも,後ろの不定詞が前の(ピンク色の)名詞を修飾します。
(1) He has many
friends to
help him. (彼は自分を助けてくれる多くの友人を持っている)
※名詞と後ろの不定詞との間に「多くの友人が彼を助ける」という〈S+V〉の関係があります。
【参考】 He was the first man to
climb the mountain.(彼はその山に登った最初の人だった)のような文の
不定詞も一般には同様に説明されますが,この文のto
climbはfirst(形容詞)を修飾する副詞的用法と
考える立場もあります。私はその立場を支持します。
(2) He has a
family to
support. (彼は養うべき家族を持っている)
※名詞と後ろの不定詞との間に「家族を養う」という〈O+V〉の関係があります。
※a house to live in(住むための家)のように,動詞の後ろに前置詞がつく形もあります。
(3) He broke the
promise to
help me. (彼は私を助けるという約束を破った)
※名詞と後ろの不定詞との間に「〜という○○」という(同格の)関係があります。
〈動詞[形容詞]+不定詞〉の下線部を抽象名詞に置き換えた形です。
(4) It's time
to go. (もう行く時間だ)
※名詞と後ろの不定詞との間の関係は,上の(1)〜(3)のどれでもありません。
学校では上のように習いますが,大切なのはここから先です。
上の4つのパターンの間には,実際の使用頻度の点で大きな差があります。
最もよく使われるのは(4)のパターンであり,(1)はまれです。
(2)(3)はその中間といったところです。
(1)に関しては,次の例で考えてみます。
「彼女は携帯電話を売る店で働いている」
→ ○ (a) She works at a
shop that
sells cell phones.
× (b) She works at a
shop to
sell cell phones.
上の和文の意味を表す正しい英文は(a)であり,(b)は誤りです。
(b)は「彼女は携帯電話を売るためにある店で働いている」という違った意味になります。
このように,(1)のような主格関係を表す不定詞は,関係詞節ほど自由には使えません。
×を「携帯電話を売るための店」と解釈できない理由はここでは割愛しますが,要するに
(1)のような形は使わない方が無難だということです。たとえば(1)は,He
has many friends
who help him.
のように関係詞節を使って表すようにしましょう。
(4)については,私が調べたデータを1つご紹介します。
2011・12年度のセンター試験に,形容詞的用法の不定詞は全部で46件出てきました。
その内訳は,(1)型が2件,(2)型が11件,(3)型が6件,(4)型が27件でした。
(4)型のうち圧倒的に多かったのは way
to do(〜する方法)の形で,これが9件。
そのほか chance/opportunity to do(〜する機会)が4件,time
to do(〜する時間)が3件,
などとなっています。
つまり,形容詞的用法の不定詞を実際に使えるようになるための1つの重要なプロセスは,
「名詞+to do」のチャンク(意味のかたまり)をできるだけ多く頭にインプットすることです。
上に挙げたもののほかには,たとえば plan
to do(〜する計画),effort to do(〜するための
努力)などがあります。「与えられた文中の不定詞の用法を考える」というのはいわば受け身の
学習ですが,話す力をつけたいのなら「不定詞を含む形を覚える」という発想に切り替えましょう。
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