2014/1/13 up

大人の英文法065−不定詞(副詞的用法@)  

 

副詞的用法の不定詞にはさまざまな意味がありますが,中学では次の2つを習います。

・ 目的を表す用法

・ 感情の原因を表す用法

この項では,これらを説明します。なお,以下の例文の不定詞を「副詞的用法」と言うのは,

それらが動詞・形容詞などを修飾しているからですが,用語にこだわる必要はありません。


◆ 目的を表す不定詞:「〜するために」

最も一般的なのは次のような形です。

(a) I went to Kyoto to see my aunt. (私はおばに会うために京都へ行った)

※ to see は「会うために,会うという目的で」。不定詞の原義は「方向」なので

   「おばに会うという方へ向かって京都へ行った」と考えてかまいません。

思考訓練のために,この文を情報構造の観点から考えてみましょう。

Hanako: Where did you go last Sunday? (先週の日曜日にどこへ行ったの?)

Taro: I went to Kyoto to see my aunt. (京都だよ。おばさんに会いにね)

花子さんの質問の焦点は where です。彼女は太郎くんが先週の日曜日にどこかへ

行ったことは知っており,その場所を尋ねています(その点が不明確なら,彼女は

太郎くんに Did you go anywhere last Sunday? 「先週の日曜日にどこかへ行ったの?」

と尋ねるでしょう)。したがって太郎くんの答えのうちで最も重要な情報は to Kyoto です。

太郎くんは「京都へ行ったんだよ」と答えてから,何をしに行ったかを to see my aunt で

フォローしています。このように,修飾語句には一般に「補足的な情報をつけ加える」と

いう働きがあります。

一方,次のような状況も考えられます。

Hanako: Why did you go to Kyoto? (なぜ京都へ行ったの?)

Taro: I went to Kyoto to see my aunt. (おばさんに会いに行ったんだよ)

この場合は,太郎くんの答えのうちでは to see my aunt が重要な情報(新情報)です。

なお,この状況なら太郎くんは普通は (I went there) To see my aunt. と言うでしょう。

ここでは,中学レベルの基本的な文でも「実際にどんな状況で使うのだろうか?」と

考えてみることの大切さを感じ取っていただければと思います。

 

(b) I went to Kyoto in order to see my aunt. (私はおばに会うために京都へ行った)

(c) I went to Kyoto so as to see my aunt. (私はおばに会うために京都へ行った)

学校では,「不定詞にはさまざまな意味があるので,目的の意味を明らかにしたいときは

in order to do や so as to do を使う」と説明されます。ただしこれらは主に書き言葉で

使う表現であり,会話では単に to see と言うのが普通です。

 

(d)  To become a lawyer,  you should study much harder.

   (弁護士になるためには,君はもっとずっと猛勉強すべきだ)

文頭に置かれた不定詞は,慣用表現(例:to begin with=まず第一に)の場合を除いて,

「〜するために」〈目的〉の意味だと考えてかまいません。「〜すること」の意味の不定詞を

文頭に置くケースはまれです(→060 不定詞(名詞的用法)の全体像)。

 

(e1) We took a taxi so (that) we wouldn't be late for the party.

(e2) We took a taxi so as not to to be late for the party.

×(e3) We took a taxi not to be late for the party.

   (私たちはパーティーに遅れないようにタクシーを使った)

(e1)の〈so that 〜〉は「〜するように[するために]」の意味。会話ではしばしば that を

省略します。(e2)も可能ですが,(e3)は誤り。

「〜しないために」を not to do で表すことはできないという点が重要です。

【参考】ただし,take care や be careful の後ろに not to  do を置いて「〜しないように気をつける」という

    意味を表すことは可能です。

    ・Take care not to catch cold. (かぜをひかないように気をつけなさい)


◆ 感情の原因を表す不定詞:「〜して」

この用法の不定詞は,感情を表す形容詞の後ろに置きます。

(a)  I'm glad to see you again. (あなたにまたお会いしてうれしいです)

【参考】 I'm は省略可能。なお,Nice to meet you.(はじめまして)は It's nice to meet you. 

           のit's を省略した形です。

この用法の不定詞を後ろに置く形容詞には,happy(うれしい),sad(悲しい),

surprised(驚いて),disappointed(失望して),relieved(安心して)などがあります。

(b) She was sad to hear the news. (彼女はその知らせを聞いて悲しかった)

×(c) She cried to hear the news. (彼女はその知らせを聞いて泣いた)

(b)は正しい文ですが,(c)は前に感情を表す形容詞がないので誤りです。

これらの文でも,たとえば(a)は「私はあなたに再び会うという方に(心が)向いて

うれしい」のように to の原義に立ち返って理解することも可能です。

【参考】この種の説明をすべての場合に当てはめようとすると「こじつけ」に近くなってしまう場合もある

          ので,「そう考えると理解しやすい」という場合だけこうした解釈を適用すればいいでしょう。

 

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