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目的を表す不定詞:「〜するために」
最も一般的なのは次のような形です。
(a) I went to Kyoto to
see my aunt. (私はおばに会うために京都へ行った)
※ to see は「会うために,会うという目的で」。不定詞の原義は「方向」なので
「おばに会うという方へ向かって京都へ行った」と考えてかまいません。
思考訓練のために,この文を情報構造の観点から考えてみましょう。
Hanako: Where did you go last Sunday?
(先週の日曜日にどこへ行ったの?)
Taro: I went to Kyoto to see my aunt. (京都だよ。おばさんに会いにね)
花子さんの質問の焦点は where
です。彼女は太郎くんが先週の日曜日にどこかへ
行ったことは知っており,その場所を尋ねています(その点が不明確なら,彼女は
太郎くんに Did you go anywhere last Sunday?
「先週の日曜日にどこかへ行ったの?」
と尋ねるでしょう)。したがって太郎くんの答えのうちで最も重要な情報は
to Kyoto です。
太郎くんは「京都へ行ったんだよ」と答えてから,何をしに行ったかを
to see my aunt で
フォローしています。このように,修飾語句には一般に「補足的な情報をつけ加える」と
いう働きがあります。
一方,次のような状況も考えられます。
Hanako: Why did you go to Kyoto?
(なぜ京都へ行ったの?)
Taro: I went to Kyoto to see my aunt. (おばさんに会いに行ったんだよ)
この場合は,太郎くんの答えのうちでは to see my aunt
が重要な情報(新情報)です。
なお,この状況なら太郎くんは普通は (I went there) To see
my aunt. と言うでしょう。
ここでは,中学レベルの基本的な文でも「実際にどんな状況で使うのだろうか?」と
考えてみることの大切さを感じ取っていただければと思います。
(b) I went to Kyoto in
order to see my aunt. (私はおばに会うために京都へ行った)
(c) I went to Kyoto so
as to see my aunt. (私はおばに会うために京都へ行った)
学校では,「不定詞にはさまざまな意味があるので,目的の意味を明らかにしたいときは
in order to do や so as to do
を使う」と説明されます。ただしこれらは主に書き言葉で
使う表現であり,会話では単に to see
と言うのが普通です。
(d)
To become a lawyer, you should study much harder.
(弁護士になるためには,君はもっとずっと猛勉強すべきだ)
文頭に置かれた不定詞は,慣用表現(例:to begin with=まず第一に)の場合を除いて,
「〜するために」〈目的〉の意味だと考えてかまいません。「〜すること」の意味の不定詞を
文頭に置くケースはまれです(→060
不定詞(名詞的用法)の全体像)。
○(e1) We took
a taxi so (that)
we wouldn't be
late for the party.
○(e2) We took
a taxi so as not to to be
late for the party.
×(e3) We took
a taxi not to be
late for the party.
(私たちはパーティーに遅れないようにタクシーを使った)
(e1)の〈so that
〜〉は「〜するように[するために]」の意味。会話ではしばしば
that を
省略します。(e2)も可能ですが,(e3)は誤り。
「〜しないために」を not
to do で表すことはできないという点が重要です。
【参考】ただし,take care や be careful
の後ろに not to do
を置いて「〜しないように気をつける」という
意味を表すことは可能です。
・Take care not to
catch cold. (かぜをひかないように気をつけなさい)
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感情の原因を表す不定詞:「〜して」
この用法の不定詞は,感情を表す形容詞の後ろに置きます。
(a) I'm glad
to see you again.
(あなたにまたお会いしてうれしいです)
【参考】 I'm は省略可能。なお,Nice to meet
you.(はじめまして)は It's nice to meet you.
のit's を省略した形です。
この用法の不定詞を後ろに置く形容詞には,happy(うれしい),sad(悲しい),
surprised(驚いて),disappointed(失望して),relieved(安心して)などがあります。
○(b) She was sad
to hear the news. (彼女はその知らせを聞いて悲しかった)
×(c) She cried
to hear the news. (彼女はその知らせを聞いて泣いた)
(b)は正しい文ですが,(c)は前に感情を表す形容詞がないので誤りです。
これらの文でも,たとえば(a)は「私はあなたに再び会うという方に(心が)向いて
うれしい」のように to
の原義に立ち返って理解することも可能です。
【参考】この種の説明をすべての場合に当てはめようとすると「こじつけ」に近くなってしまう場合もある
ので,「そう考えると理解しやすい」という場合だけこうした解釈を適用すればいいでしょう。
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