2015/8/1 up

大人の英文法103−後置修飾のまとめ 

 

ここまでで,英語ということばの大きな特徴の1つである「後置修飾」の学習が完了しました。

後置修飾とは,「名詞+形容詞に相当する語句」の形のことです。

基本的なところから,もう一度おさらいしておきます。

(a) 「鋭いナイフ」=a sharp knife

上の例では,日本語でも英語でも「鋭い」(形容詞)が「ナイフ」(名詞)を修飾しています。

sharp は knife の前に置かれているので,これは後置修飾ではありません(前置修飾とはあまり言いませんが)。

(b) 「パンを切るためのナイフ」=a knife to cut bread

上の例では,下線部が名詞を修飾する(形容詞の)働きをしています。

日本語では「パンを切るための+ナイフ」という語順になっていますが,英語の語順は逆ですね。

これが後置修飾です。083 で説明した形容詞の基本的な使い方を,もう一度見ておきます。

@ 1語の形容詞(や分詞形容詞)は名詞の前に置く。

A 2語以上の形容詞句・形容詞節は名詞の後ろに置く。

このAのような形を,後置修飾と言います。上の例(b)の to cut bread は,品詞の分類で言えば

「(形容詞的用法の)不定詞」であり,文の要素という観点から言えば「形容詞句」です。

 

後置修飾の基本形には,次の6種類があります。

(1) 名詞+形容詞句 a bridge 200 meters long (200メートルの長さの橋)

(2) 名詞+前置詞句 the name of the company (その会社の名前)

(3) 名詞+不定詞 a chance to speak English (英語を話す機会)

(4) 名詞+現在分詞 a girl singing karaoke (カラオケを歌っている女の子)

(5) 名詞+過去分詞 a car made in Italy (イタリアで作られた車)

(6) 名詞+関係詞節 a sport I like (私が好きなスポーツ)

これらのうち,(1)〜(5)の下線部はすべて「句」です(SVの形を含まないから)。

つまり(1)〜(5)の下線部は,文の要素としてとらえればすべて「形容詞句」です。

一方,(6)の下線部は S(I)+V(like) の形を含むので,これは「形容詞節」です。

このように関係詞は,「後置修飾の機能を持つ形容詞節を作る」という働きを持ちます。

逆に言えば,この働きができるのは関係詞だけです。

上の6つの表現パターンを使いこなせるようになることが,長い英文を作るためには大切です。

なお,(1)は a bridge (that is) 200 meters long と考えてもかまいません。(4)(5)も同様です。

 

 

参考までに情報を追加しておきます。083 で,次のルールを説明しました,

B名詞のに置かれた形容詞は,その名詞の恒常的な特徴を表す。

C名詞の後ろに置かれた形容詞は,その名詞の一時的な状態を表す。

このルールは1語の形容詞にだけ当てはまります。後置修飾の形容詞句・節は,名詞の後ろに

あっても「恒常的な特徴」を表すこともあります(例:a man who speaks English)。言い換えれば,

BCの(意味の)ルールよりも,@Aの(形の)ルールの方が強いということです。

 

なお,1語の形容詞が後置修飾の形を作る例を1つ追加しておきます。

2013年公開の劇場アニメ映画「サカサマのパテマ」(ユーチューブで見ることができます)は,

主人公の少女パテマが上下がさかさまの世界に登って(落ちて?)いくお話ですが,英訳

バージョンのタイトルは Patema Inverse (あるいは Patema Inverted)となっています。

inverse は「さかさまの」(形容詞),invert は「さかさまにする」(動詞)という意味です。

このタイトルを Inverse Patema と表現するのは非常に不自然です。これだと「さかさまである」

ことが主人公パテマの恒常的特徴と解釈されますが,映画の中では彼女は(一時的に)

さかさまの状態になっているだけだからです。「名詞+1語の形容詞」の形は,このような

感覚を理解することが大切です。

 

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