give型の動詞は(a')のようにtoを使った形も可能,buy型の動詞は(b')のようにforを使った形も可能です。
そしてSVOOの形で使う動詞の中には,第3のタイプがあります。
アトラスではこのグループの動詞を便宜的に「save型」と呼んでいます。次の文はアトラスからの引用です。
(c) Online
shopping can save you time
and money.
(オンラインショッピングであなたは時間とお金の節約ができる)
S
V
O O
*save+O1(人)+O2(時間・労力など)=O1のO2を省く
save型の動詞は,(a')(b')のように〈O2+前置詞+O1〉の形で言い換えることができません。
さらに詳しい説明が,『ウィズダム英和辞典』のgiveの項に載っています。
そこでは,第4文型をとる動詞(授与動詞)を次のように分類しています。(以下の文面は原則として同辞書から引用。表現は少し変えています)
@
〈動詞+A+B〉 と 〈動詞+B+to/for+A〉の両方の形が可能な動詞
動詞が所有権の移動や物・事・人の何らかの移動を含意する場合にはその到達点を表すtoを,
そういった移動を含意しない場合には利益を表すfor
を用いる傾向がある。
・toを従える主な動詞:award,bring,deny,do,fax,feed,give,grant,hand,kick,leave,lend,mail,offer,owe,pass,pay,post,promise,read,refuse,sell,send,show,sing,take,teach,tell,write
・forを従える主な動詞:bake,bring,build,buy,cook,design,do,fetch,find,fix,get,hire,keep,leave,make,order,pick,play,rech,rent,reserve,save,sing,spare
・toとforのいずれも可能:bring,do,sing,throw
A
〈動詞+A+B〉 の形は可能だが,〈動詞+B+to/for+A〉の形では使わない動詞
このグループの動詞は,古くから英語に存在する短い動詞が多い。
主な動詞:allow,bet,charge,cost,fine,permit,refuse,save,spare,strike,tax,tip,wish
(注)saveは@のfor型にもリストアップされているが,これは「確保する」の意味のsaveのこと。「省く」の意味ではA型(←これは私の注釈です)。
B
〈動詞+A+B〉 の形では使わないが,〈動詞+B+to/for+A〉の形は可能な動詞
・toを従える主な動詞:announce,carry,confess,contribute,convey,declare,deliver,describe,donate,exhibit,explain,mention,narrate,propose,push,refer,report,return,reveal,say,submit,suggest,transfer
・forを従える主な動詞:acquire,borrow,collect,compose,descibe,obtain,recover,retrieve,withdraw
C
〈動詞+A+B〉 と 〈動詞+B+前置詞(to/for以外)+A〉の両方の形が可能な動詞
・主な動詞:責任を表すforを用いるenvy,excuse,forgive(+B+for+A)のほか,ask
B of A,flick B at A, issue B with A,leave B to/for/with A,play B with/agains
A,serve B with/to Aなど。なお,意味的にはgiveと類似したprovideはprovide
A with B [B for A]は可能だが,provide A B は不可。supplyはsupply A
with B [B to A,B for A] は可能だが,supply A B
は《米》を除いて不可。
D
〈動詞+A+B〉 と 〈動詞+A[B]〉の両方の形が可能な動詞
・〈動詞+A+B〉と〈動詞+A〉が可能な主な動詞:find
・〈動詞+A+B〉と〈動詞+B〉が可能な主な動詞:cost,take
アトラスではADのタイプの動詞をsave型としてまとめ,次のような動詞をこのグループに入れています。
answer(答える),ask(尋ねる),cost(〈費用・犠牲を〉要する),envy(うらやむ),
save/spare(〈金・労力などを〉省いてやる),take(〈時間などを〉要する),wish(願う)
以下は知らなくてもいいことですが参考までに。
save型の動詞の中には,いろんなタイプのものが混在しています。たとえば次の文では,SVOOの2つのOがどちらも直接目的語です。
(d)
I envy him (for) his good luck.
(私は彼の幸運がうらやましい)
O
O
この文は,I envy him.(私は彼をうらやむ)と
I envy his good luck.(私は彼の幸運をうらやむ)という2つのSVOの文が合体してできたと考えられます。
古典的英文法の大家であるイエスペルセンは,envyのほかanswer,ask,takeなどに続く2つのOも,両方が直接目的語だと説明しています。
また teach us English(私たちに英語を教える)の形も,us
も English
も「教える」という動作の対象だから両方が直接目的語だとする考え方もあります。
また,takeとcostは使い方が少し違うのでまとめておきます。
「この本を読むのに(私は)1週間かかった」
○@
It took (me) a week to read this book.
○A
It took a week for me to read this book.
○B
This book took (me) a week to read.
○C
I took a week to read this book.
「このケーキを作るのに(私は)2千円かかった」
○@
It cost (me) 2,000 yen to make this cake.
×A
It cost 2,000 yen for me to make this cake.
○B
This cake cost (me) 2,000 yen to make.
×C
I cost 2,000 yen to make this cake.
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