2017/2/12
up
中学で習う第4文型の典型的な文は,次のようなものです。
(a)
My aunt gave me a
bag.
(おばは私にバッグをくれた)
S
V O O
(b)
My aunt bought me a
bag.
(おばは私にバッグを買ってくれた)
S
V O O
高校では,次のような「第4文型と第3文型の書き換え」を学びます。
(a')
My aunt gave a bag to
me.
(おばは私にバッグをくれた)
S
V O
修飾語(副詞句)
(b')
My aunt bought a bag for
me.
(おばは私にバッグを買ってくれた)
S
V
O 修飾語(副詞句)
学校ではたいてい(a)=(a'),(b)=(b')と教えますが,それは乱暴な説明です(詳細は後述)。
まず,(a)(b)のようなSVOOの一般形を示しておきます。
S
+ V + O1 + O2
=
SはO1にO2をVする[してやる]
以下は参考までに。(→079
格とは)
・O1に置かれる名詞・代名詞の形(格)=対格(「〜に」)
・O2に置かれる名詞・代名詞の形(格)=与格(「〜を」)
対格と与格は,昔の英語では違う形を使っていましたが,今日では目的格に一本化されています。
現代英語では,O1を間接目的語,O2を直接目的語と言います。
多くの場合は「O1=人」,「O2=物」ですが,必ずしもそうではないこともあります。
(c)
He sent the company a letter of credit.
(彼はその会社に信用状を送った)
*O1(会社)は「人」ではない。
◆
give型の動詞とbuy型の動詞
(a')(b')からわかるとおり,〈S+V+O1+O2〉のO2を前に出すと,後ろが〈to+O1〉または〈for+O1〉になります。
前者をgive型,後者をbuy型と呼ぶことにすると,両者に属する主な動詞は次のようになります。
・give型〈toを使う〉:「(人)に対して〜する」という意味を表す。
give(与える,あげる),lend(貸す),pay(支払う),sell(売る),
show(見せる),teach(教える),tell(言う,伝える),write(〈手紙を〉書く)など
・buy型〈forを使う〉:「(人)のために〜してやる」という意味を表す。
buy(買ってやる),choose(選んでやる),cook(料理してやる),
find(見つけてやる),get(手に入れてやる),make(作ってやる)
もう少し簡単な見分け法としては,次のように覚えておいてもかまいません。
・give型の動詞は,相手を必要とする行為を表す。
・buy型の動詞は,1人でもできる行為を表す。
たとえば「与える」という行為には相手が必要ですが,「買う」という行為は1人でできます。
なお,上のリストを見てもわかるとおり,SVOOの形で使える動詞はほぼ中学レベルの基本語に限られます。
たとえばbuyの同意語にpurchase(買う,購入する)がありますが,(b)のboughtをpurchasedに置き換えることはできません。
×(d)
My aunt purchased me a bag.
○(d')
My aunt purchased a bag for
me.
(おばは私のためにバッグを買った)
purchase
はもともとフランス語からの借用語です。
フランス語などラテン系の言語にはSVOOの文型がないので,(d)のような言い方はできません。
(詳細は「英語のしくみ」で説明しています)
◆
「人」を前に置くか後ろに置くか
(a)(a')を再掲します。
(a)
My aunt gave me a bág.
(おばは私にバッグを(1つ)くれた)
(a')
My aunt gave a bág
to mé.
(おばは私にバッグを(1つ)くれた)
結論を言えば,このケースでは(a)の方が自然な文です。(b)はあまり使わないでしょう。
文末焦点の原理(→003)によって,(a)では文末のbagが,(b)でも文末のmeが情報の焦点になります(強く読みます)。
しかし(a')ではa bag
も新情報と解釈されるので,1つの文中に新情報が2つあることにあります。
後述のような状況を想定すれば(a')は可能ですが,次の文と比較すればわかりやすいかもしれません。
(a")
My aunt gave the bag to mé.
(おばはその私にバッグをくれた)
自然さの度合いを比較すると,(a")の方が(a')よりベターです。
(a")は「おばがそのバッグを与えた相手は誰かと言えば,それは私だ」というわかりやすい意味です。
一方,(a')が使われる状況としては,たとえば「おばはいくつかの異なるプレゼントを私を含む複数の人にくれた。
そして,私にはバッグをくれた」という状況が考えられます。
このような意味の違いから,一般に次のように言われることもあります。
第4文型(人+物)と第3文型(物+to/for+人)の両方の形が使えるときは,
第4文型を使うことが多い。
しかし,この言い方は正しくありません。
正確に言うと,次のようになります。(上で説明した文末焦点の原理から)
・「物」が新情報の焦点なら,第4文型(人+物)を使う。
・「人」が新情報の焦点なら,第3文型(物+to/for+人)を使う。
次の4つの文で確認してください。aは新情報,theは旧情報のマーカーなので,下線部が新情報です。
新情報を文末に置く文の方が自然だということです。
(e)
○I'll
buy him a shirt. (彼にシャツを買ってあげよう)
△I'll buy a shirt to him.
(f)
△I'll
buy John the shirt. (そのシャツはジョンに買ってあげよう)
○I'll buy the shirt to John.
なお,034
文型と受動態 も参照してください。
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