2013/4/6 up

大人の英文法−030 「態」とは 

 

英文法の学習は範囲が広いので,「今自分は何を学んでいるのか」「この知識は

どんな役に立つのか」という点を常に意識しておくことが大切です。ここまでの話を

ざっとおさらいしておきます。015 英文法の全体像 も参照してください。

この記事ではこれまで,大きな文法項目の1つである「時制」をひととおり学習しました。

このあと「受動態」「仮定法」と続きます。

「時制」「態」「法」の3つは,いわば兄弟のような関係にあります。

これらはすべて「V(述語動詞)を変化させた形」です。

時を表すVの形が「時制」,する・されるの関係を表すVの形が「態」,

話し手の気分を表すVの形が「法」です。

・ Jack loves Betty. (ジャックはベティを愛している)

 この文の loves は,時制で言えば「現在時制(現在形)」,態で言えば「能動態」,

法で言えば「直説法」です。 

したがって「時制」「態」「法」という分野では,「Vの形をどう変化させるか」の学習が

中心になります。


 

態は次のように定義できます。

能動態 = 主語から見て「〜する」という意味を表すVの形

受動態 = 主語から見て「〜される」という意味を表すVの形

文構造の面から言えば,受動態とは「能動態のOをSにして言い換えた形」です

・ Jack loves Betty. (ジャックはベティを愛している)

     S     V      O

Betty is loved by Jack. (ベティはジャックに愛されている)

       S

※ by は「〜によって」の意味。その後ろに置く要素を「動作主」と言います。

【参考】 Betty is loved by Jack. は第何文型か?とは普通考えません。しいて言えば,

           S(Betty)+V(is loved)+修飾語(by Jack)で第1文型です。

したがって,「Oがない文」を受動態を使って言い換えることはできません。

つまり,第1文型(SV)や第2文型(SVC)は受動態で言い換えられないわけです。

・ Puppies bark. (子犬はほえる)

      S        V

受動態は〈be動詞+過去分詞〉の形で「〜される」という意味を表します

この形を使うのは,過去分詞が「〜される」という意味を本来的に持っているからです。

021 分詞とは の説明を参照してください。

一般に自動詞は受動態にできません。日本語でも,たとえば「走る→走られる」とは

言えませんね。bark(ほえる)も同様です。この文では,barkを「能動態」とは言いません。

対応する受動態がないからです。

なお,「能動態」「受動態」とはVの形の一種であり,表現形式全体を指す言葉ではない

という点にも注意してください。

・Betty is loved by Jack. (ベティはジャックに愛されている)

この文では,下線部のVの形(is loved)のことを「受動態」と言います。したがって,

「この文は受動態(という表現形式を使った文)だ」という理解は誤りであり,

「この文は受動態というVの形を使ったものだ」と考えるのが正しいのです。

「受動態=Vの受動形」と理解していいでしょう。同じことは仮定法についても言えます。

・If I were rich, I would propose to her.

(もし私が金持ちなら,彼女にプロポーズするのに)

「仮定法」とは,下線部のVの形のことです。この表現形式全体ではありません。

 

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