2015/6/7 up

大人の英文法098−限定用法の関係代名詞 

 

限定用法の関係代名詞の例として,097 では次の文を挙げました。

(a) I hate people who tell lies. (私はうそをつく人が大きらいだ)

この文の下線部は,前の名詞(people)の意味を限定しています。

話し手は「人々[人間](一般)が嫌いだ」と言っているのではなく,

うそをつく人々が嫌いだ」と言っているわけです。

このように,関係詞によって修飾される名詞を先行詞,関係詞が作る節を

関係詞節と言います。上の文では,peopleが先行詞,who tell lies が

関係詞節です。

【参考】上の文のwho以下は,機能的には修飾語(peopleを修飾する形容詞節)であり,省略しても

          文は成り立ちますが,意味的には who tell lies は省略できません(文の意味が全く変わるので)。

          このようなケースはよくあります。なお,(a)でwhoの前にコンマを置くといわゆる継続用法になるので,

       「私は人間(一般)が嫌いだ,(なぜなら)うそをつくから」と解釈されます。

 

ここで,083 形容詞の働き の説明を再確認しておきます。

 

@1語の形容詞が名詞を修飾するときは,名詞のに置く。

A2語以上の形容詞句・節が名詞を修飾するときは,名詞の後ろに置く。

 

(b) Our school has a swimming pool 25 meters long.

   (私たちの学校には25mの長さのプールがある) ※下線部は形容詞句。

(c) He bought a car made in Germany.

   (彼はドイツ製の[ドイツで作られた]車を買った) ※下線部は形容詞句。

(d) I have a friend who can speak Chinese.

   (私には中国語を話せる友人がいる) ※下線部は(SVの形を含むので)形容詞節。

 

(a)(d)のように,限定用法の関係代名詞の基本的な働きは,

(SVの形を含む)長い修飾語を名詞の後ろに置くことです。

 


 

◆ 限定用法の関係代名詞の全体像

中学・高校で習うのは,次の表のような内容です。

 

先行詞が人

先行詞が人以外

主格

(a) who*

(b) which*

所有格

(c) whose

(d) whose

目的格

(e) who(m)*

(f) which*

 

なお,*をつけた(a)(b)(e)(f)の関係代名詞は,that で代用することもできます

that の説明は後回しにして,まずそれ以外の関係代名詞を説明します。

最初の例文をもう一度見てみましょう。

(a) I hate people (    ) tell lies. (私はうそをつく人が大きらいだ)

中学生は,「この文の空所にはどんな関係詞が入りますか?」という問いに答えられなければ

なりません。理屈は次のとおりです。

@ 「うそをつく+人」という意味から考えて,下線部は前のpeopleを修飾しています。

     つまりpeopleが先行詞です。

A次に,空所に入る関係代名詞が,関係詞節中でどんな働きをするかを考えます。

    (    ) tell lies という語句のまとまりには tell の主語が欠けているので,空所には tell の

   主語に相当する語が入ります。

B 以上の2つ,つまり「先行詞が人である」「空所には主語の働きをする語が入る」という

    条件から,空所に入る関係代名詞は主格の who だということになります。(上の表の@)

別の言い方をすれば,(a) は 

I hate people. + They [=The people tell lies].

という2つの文を1つにまとめるために,They を who に置き換えたものとも言えます。

whoの原義から,「私は(こんな)人々が嫌いだ。それは誰かと言えば,うそをつく人々だ」

と理解してもかまいません。

 

このように関係代名詞の形は,

・先行詞が人か,それとも人以外か。

・関係詞節中で,その語がどんな働きをするか。

という2つの条件によって決まります。

最初に示した例文(a)は,表中の(a)の例です。(b)〜(f)の例もまとめて見ておきます。

下線を引いた語句が先行詞,カッコ内が関係詞節です。

(b)  He works at a factory (which makes liquid crystal panels).

         (彼は液晶パネルを作る工場で働いている)

       *It [=The factory] makes 〜. →  which makes 〜 ということ。

(c)  I have a friend (whose wife is a lawyer). 

          (私には奥さんが弁護士の友人がいる)

       * His wife is a lawyer. → whose wife is a lawyer ということ。

(d)  My brother works for a company (whose name everyone knows). 

          (兄はみんなが名前を知っている会社に勤めている)

       * Everyone knows its name.  → whose name everyone knows  と考えます。

(e)  Fred isn't the man (who(m)  Ann loves).

          (フレッドはアンが愛している男ではない)

       * Ann loves him.  →  whom Ann loves  と考えます。whomはしばしばwhoで

           代用します。また,この文の who(m) は省略できます。(後述)

(f)  This is a CD (which I bought yesterday). 

          (これはきのう買ったCDです)

       * I bought it [=the CD] yesterday. から考えます。which は省略できます(後述)。

 

以上が限定用法の関係代名詞の基本です。

以下「主格」「所有格」「目的格」の順に詳しく説明していきます。

今回の記事は学校文法をなぞっているので,物足りなさを感じた方もおられるかもしれません。

そういう皆さんのために,1つクイズを出しておきます。(正解は後述)

「英語教育」(大修館)に私が連載している記事からの抜粋です。(2015年6月号)

 

次の2つの英文に関するア〜エの説明が正しければ○,正しくなければ×をつけてください。

(a) This is a photo I took there.

(b) This is the photo I took there.

ア (a)の話し手はその写真を初めて話題に出している。

イ (a)の話し手がそこで撮った写真は2枚以上である。

ウ (b)の話し手はその写真を既に話題にしている。

エ (b)の話し手がそこで撮った写真は1枚である。  (正解は 104 補足説明用法の関係代名詞 を参照)

 

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