2016/5/22 up

大人の英文法115−5文型と7・8文型 

 

「大人の英文法」の記事の追加がしばらく中断していましたが,これは

「英語のしくみ」を5日間で完全マスターする本(PHP文庫)

の執筆に専念していたためです。(以下,同書は「英語のしくみ」と略記します)

この本では「大人の英文法」でまだ取り上げていない文法分野も取り扱っています。

今後このサイトにアップする記事は,同書と同じ内容では本を買っていただいた方に申し訳ないので,

同書の補足説明,同書で取り上げなかった分野などの説明も盛り込む予定です。

 

この 115 からは,動詞の使い方について説明します。

いわゆる5文型とは,後ろにどんな要素を置くことができるかに着目して,「動詞のグループ分け」を

行ったものです。ただし5文型をベースに英語を教えている国は世界中で日本だけだと言われており,

今日では7文型または8文型が主流です。以下は「英語のしくみ」からの引用です。

 

8文型とは次のようなものです(7文型は(4)を含みません)。A(下線部)は副詞類(adverbial)です。

(1)SV:I smoke.(私はたばこをすう)

(2)SVA:He lives in India.(彼はインドに住んでいる)

(3)SVC:She looks young.(彼女は若く見える)

(4)SVCA:I’m fond of apples.(私はリンゴが好きだ)

(5)SVO:I like baseball.(私は野球が好きだ)

(6)SVOA:I put it on the desk.(私はそれを机の上に置いた)

(7)SVOO:He gave me a ring.(彼は私に指輪をくれた)

(8)SVOC:That made me happy.(それは私を喜ばせた)

 

少し説明します。

(a) He lived in London. (彼はロンドンに住んでいた)〈SVA〉

(b) He died in London. (彼はロンドンで死んだ)〈SV(+修飾語)〉

この2つの文は,学校英語ではどちらもSV(第1文型)と考えます。

しかし,(a)の in London と(b)の in London は明らかに働きが違います。

(b)の場合,in London を省略した文(He died. )は,これだけで意味をなします。

しかし(a)の in London を省略した文(He lived.)は,情報が少なすぎて意味をなしません。

つまり(b)の下線部は修飾語ですが,(a)の下線部は「文の要素」です。

116 品詞と文の要素の関係で示した表を再掲します。

文の要素

S(主語)

V(述語動詞)

O(目的語)

C(補語)

修飾語

品詞

名詞

代名詞

動詞

名詞

代名詞

名詞

形容詞

形容詞

副詞

 

このように,学校英語で「文の要素」と言えば,S・V・O・C(および修飾語)です。

一方,7文型や8文型では,それらとは別に A という文の要素を想定します。

(a)の例からわかるように,live は主にSVAの形で使う動詞です。

また,上の(6)の例にあるように,putは主にSVOAの形で使います。

※「英語のしくみ」にも書きましたが,「ジーニアス英和辞典」は7文型を採用しています。

私は(「現代英文法講義」の安藤先生が言われるような)8文型説を支持します。

 

くり返しますが,「文型(sentence pattern)」とは,「後ろにどんな要素を置けるか」に

着目した動詞のグループ分けです。基本動詞はたいてい,いくつかの文型で使えます。

(c) Either will do. (どちらでもかまいません)〈SV〉

(d) I'm doing my homework now. (今宿題をしています)〈SVO〉

(e) Will you do me a favor? (ちょっとお願いがあるのですが)〈SVOO〉

※原義は「私に好意[親切]を与えてくれますか」。

私たちが高校生の頃は,「次の文は第何文型ですか」という文法の練習問題をたくさん解かされました。

その種の練習に一定の学習効果があることは認めますが,度が過ぎるとかえってマイナスです。

また,どの文型とも言いづらい文も非常にたくさんあります。

(f) I was asked to take care of my sister.(私は妹の世話をするよう頼まれた)

「この文は第何文型か」と問うような問題は悪問であり,〈be asked to do〉という形を丸暗記しておく

方がよほど役に立ちます。文型は英文の組み立て方の基礎を学ぶときは利用できますが,

表現のバリエーションを広げていく段階では文型とは別の視点が必要になってきます。

 

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