まず,第2文型の典型的な文を2つ示します。
(a)
This is a pen. (これはペンです)
(b)
He became sick.
(彼は病気になった)
(a)のようなbe動詞を使った文については,117
be動詞 を参照してください。ここでは(b)型の文を見ていきます。
学校英語では,(b)のような第2文型(SVC)の文を「Vをbe動詞に置き換えても文が成り立つ」と説明します。
(b)では,became
をbe動詞の was
に置き換えると「彼は病気だった」という文になります。
つまりSVCのC(主格補語)は,Sを補足説明する働きをする
― これが学校英語の説明です。
「アトラス」では次のように分類しています。
@
「〜になる」の意味を表す動詞 : become,getなど
※
次のようなフレーズも〈V+C〉ですが,熟語として覚えるのが実用的です。
come
true(実現する)
fall
asleep(眠り込む) / fall ill(病気になる)
go
bad(腐る) / go bankrupt(破産する)
run
short(不足する)
turn
red(赤くなる) / turn pale(青ざめる)
上記のように「〜になる」の意味を表す動詞はたくさんありますが,幅広く使うのはbecomeとgetです。したがって
「〜になる」の意味で後ろに形容詞を置くときは,この2語を使うようにしましょう(getはbecomeよりくだけた表現)。
ただしbecomeとgetにも一定の(慣用上の)制約はあります。たとえばget
married(結婚する)をbecome marriedとは普通言いません。
A五感を表す動詞:feel(〜に感じる),look(〜に見える),smell(〜のにおいがする),sound(〜に聞こえる),taste(〜な味がする)
(c)
This cloth feels smooth.(この布は手触りが柔らかい)
(d)
You look nice in that dress.(そのドレスは君に似合うよ)
(e)
This cheese smells bad.(このチーズはいやなにおいがする)
(f)
The story sounds true.(その話は本当らしく聞こえる)
(g)
This soup tastes good.(このスープはおいしい(味がする))
なお,これらの動詞の後ろに名詞・代名詞を置くときは,like
や of を伴います。
(h)
She looks like her sister.(彼女はお姉さんに(外見が)似ている)
(i)
This soup smells of [like] lemon.
(この石けんはレモンの香りがする)
Aその他:keep/remain/stay(〜のままである),seem/appear(〜らしく見える),prove/turn
out(〜だとわかる)
(j)
He kept [remained] silent.(彼は黙っていた)
*He
kept silence. も可能(SVO)。
(k)
This quiz seems [appear] (to be)
difficult.(このクイズは難しそうだ)
*seemは主観的に「〜らしく思われる」の意味。appearは客観的に(しばしば外見が)「〜に見える[思われる]」の意味。lookは外見が「〜に見える」で,look
to be 〜とは言わない。
(l)
The rumor proved [turned out] (to be)
false.(そのうわさは間違いだとわかった)
上の例からもわかるとおり,SVCのCはほとんどが形容詞です。(つまり,Cの無標の品詞は形容詞)
ただし,「〜になる」の意味を表す動詞のうち,become
だけは後ろに名詞を置くこともできます。
英語のしくみでも触れましたが,次の文を見てください。
(m)
He became [×got]×got]
a lawyer. (彼は弁護士になった)
この文から次のことが言えます。
・「〜になる」の意味を表す動詞としては,becomeが無標,その他の動詞(getなど)が有標である。(becomeは名詞を後ろに置けるので使用範囲が広いから)
・getが作る文構造としては,SVOが無標,SVCが有標である。((m)でgotを使うと「彼は弁護士を手に入れた」という意味になるから)
なお,SVCのCの位置に分詞が置かれていることがありますが,それらは分詞ではなく形容詞と考えるべきです。
(n)
He looked excited.
(彼は興奮しているように見えた)
*この文のexcitedは「興奮している」という意味の形容詞。
一方,次のような形もあります。
(o)
The boy came running to me.
(その少年は私のところに走ってきた)
この文の
running(現在分詞)は,C(補語)ではなく分詞構文です(087
SVCのCとして働く分詞)。したがってこの文はSV(第1文型)です。
なおbe動詞を使った文については,次のような説明もできます。
(p)
He is to leave Japan next month.
(彼は来月日本を発つ予定だ)
学校英語では,〈be動詞+to
do〉が予定を表す(助動詞に準じた働きをしている)と説明します。
しかし,不定詞の原義に沿って言えば「彼は来月日本を発つという方に向いている状態だ」と解釈できるので,
下線部はC(補語)だという説明も成り立ちます(同じ理屈で
He was running. や He was killed. の下線部もC)。
そしてCの無標の品詞は形容詞ですから,(p)のto
leaveは形容詞的用法の不定詞だということになります。
そしてこの不定詞はbe動詞の後ろにあるので,叙述用法です。形容詞には限定・叙述の2用法がありますが,
学校英語で不定詞の形容詞的用法と言えば
something to eat のような限定用法だけを言います。
しかし(p)のto
leaveが「不定詞の叙述用法の形容詞的用法」だと考えれば,文法的な整合性が取れます。
いろんな説明のしかたがある,という例の1つです。