2016/9/11 up

大人の英文法121−第2文型(SVC) 

 

まず,第2文型の典型的な文を2つ示します。

(a) This is a pen. (これはペンです)

(b) He became sick. (彼は病気になった)

(a)のようなbe動詞を使った文については,117 be動詞 を参照してください。ここでは(b)型の文を見ていきます。

学校英語では,(b)のような第2文型(SVC)の文を「Vをbe動詞に置き換えても文が成り立つ」と説明します。

(b)では,became をbe動詞の was に置き換えると「彼は病気だった」という文になります。

つまりSVCのC(主格補語)は,Sを補足説明する働きをする ― これが学校英語の説明です。

 

◆ SVCの形で使うbe動詞以外の動詞

「アトラス」では次のように分類しています。

@ 「〜になる」の意味を表す動詞 : become,getなど

※ 次のようなフレーズも〈V+C〉ですが,熟語として覚えるのが実用的です。

come true(実現する)

fall asleep(眠り込む) / fall ill(病気になる)

go bad(腐る) / go bankrupt(破産する)

run short(不足する)

turn red(赤くなる) / turn pale(青ざめる)

上記のように「〜になる」の意味を表す動詞はたくさんありますが,幅広く使うのはbecomeとgetです。したがって

「〜になる」の意味で後ろに形容詞を置くときは,この2語を使うようにしましょう(getはbecomeよりくだけた表現)。

ただしbecomeとgetにも一定の(慣用上の)制約はあります。たとえばget married(結婚する)をbecome marriedとは普通言いません。

A五感を表す動詞:feel(〜に感じる),look(〜に見える),smell(〜のにおいがする),sound(〜に聞こえる),taste(〜な味がする)

(c) This cloth feels smooth.(この布は手触りが柔らかい)

(d) You look nice in that dress.(そのドレスは君に似合うよ)

(e) This cheese smells bad.(このチーズはいやなにおいがする)

(f) The story sounds true.(その話は本当らしく聞こえる)

(g) This soup tastes good.(このスープはおいしい(味がする))

なお,これらの動詞の後ろに名詞・代名詞を置くときは,like や of を伴います。

(h) She looks like her sister.(彼女はお姉さんに(外見が)似ている)

(i) This soup smells of [like] lemon. (この石けんはレモンの香りがする)

Aその他:keep/remain/stay(〜のままである),seem/appear(〜らしく見える),prove/turn out(〜だとわかる)

(j) He kept [remained] silent.(彼は黙っていた)  

*He kept silence. も可能(SVO)。

(k) This quiz seems [appear] (to be) difficult.(このクイズは難しそうだ)

*seemは主観的に「〜らしく思われる」の意味。appearは客観的に(しばしば外見が)「〜に見える[思われる]」の意味。lookは外見が「〜に見える」で,look to be 〜とは言わない。

(l) The rumor proved [turned out] (to be) false.(そのうわさは間違いだとわかった)

 

◆ SVCのCとして使う要素

上の例からもわかるとおり,SVCのCはほとんどが形容詞です。(つまり,Cの無標の品詞は形容詞)

ただし,「〜になる」の意味を表す動詞のうち,become だけは後ろに名詞を置くこともできます。

英語のしくみでも触れましたが,次の文を見てください。

(m) He became [×got]×got] a lawyer. (彼は弁護士になった)

この文から次のことが言えます。

・「〜になる」の意味を表す動詞としては,becomeが無標,その他の動詞(getなど)が有標である。(becomeは名詞を後ろに置けるので使用範囲が広いから)

・getが作る文構造としては,SVOが無標,SVCが有標である。((m)でgotを使うと「彼は弁護士を手に入れた」という意味になるから)

なお,SVCのCの位置に分詞が置かれていることがありますが,それらは分詞ではなく形容詞と考えるべきです。

(n) He looked excited. (彼は興奮しているように見えた)

*この文のexcitedは「興奮している」という意味の形容詞。

一方,次のような形もあります。

(o) The boy came running to me. (その少年は私のところに走ってきた)

この文の running(現在分詞)は,C(補語)ではなく分詞構文です(087 SVCのCとして働く分詞)。したがってこの文はSV(第1文型)です。

なおbe動詞を使った文については,次のような説明もできます。

(p) He is to leave Japan next month. (彼は来月日本を発つ予定だ)

学校英語では,〈be動詞+to do〉が予定を表す(助動詞に準じた働きをしている)と説明します。

しかし,不定詞の原義に沿って言えば「彼は来月日本を発つという方に向いている状態だ」と解釈できるので,

下線部はC(補語)だという説明も成り立ちます(同じ理屈で He was running. や He was killed. の下線部もC)。

そしてCの無標の品詞は形容詞ですから,(p)のto leaveは形容詞的用法の不定詞だということになります。

そしてこの不定詞はbe動詞の後ろにあるので,叙述用法です。形容詞には限定・叙述の2用法がありますが,

学校英語で不定詞の形容詞的用法と言えば something to eat のような限定用法だけを言います。

しかし(p)のto leaveが「不定詞の叙述用法の形容詞的用法」だと考えれば,文法的な整合性が取れます。

いろんな説明のしかたがある,という例の1つです。

 

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