2014/2/9 up

大人の英文法070−不定詞と相・態の組み合わせ  

 

056  準動詞の全体像 で説明したとおり,準動詞(不定詞・動名詞・分詞)はS・O・C・修飾語の働きをします

しかしV(述語動詞)の働きはできません

(a)  I like to sing karaoke. (私はカラオケを歌うのが好きだ)

  S   V          O

この文のVは like であり,to sing はVではありませんね。

一方,Vの形を変える要素には,015  英文法の全体像 で説明したとおり,時制(および)・

(法)助動詞の4つがあります。これらと準動詞との関係を考えてみましょう。

 

◆  時制とは「時を表すVの形」,とは「話し手の気分を表すVの形」ですから,Vになれない準動詞

にはこれらの概念は適用されません。たとえば to sing は,それ自体が「時」や「話し手の気分」を表す

ことはありません。

 

◆  法助動詞の働きは,045  助動詞の全体像 で説明したとおり,V(の中心となる動詞)にさまざまな

意味を加えることです。ただし助動詞の後ろには動詞の原形を置くというルールがあり,この原形は

文法的には(原形)不定詞です。

(b)  I will buy a new smartphone. (私は新しいスマホを買います)

will buy は「買うという行為(buy)を行うだろう(will)」の意味で,buy 自体は時を表しませんが,

will(現在形)があるので「現在の推量」だとわかります。(a)(b)からわかるとおり,準動詞を使った

文には時を表す動詞・助動詞が別に含まれており,それによって発話時(現在・過去)が示されます。

 

◆  次に,(進行相・完了相)についてはどうでしょうか。

 008 時制と相 で示した「相」の定義を再掲しておきます。

   ・相=基準時(時の流れの中の1点)において出来事がどのように進行しているかを表す形

基準時は時制によって表されます。その基準時において出来事が「進行中」であったり「完了」

していたりするとき,準動詞を進行相や完了相で使うことができます

(c)  I happened to be watching TV then. (私はそのときたまたまテレビを見ていた)

この文の下線部は「進行相の不定詞」です。(happen to do=たまたま〜する)

不定詞の基本形は〈to+動詞の原形〉ですが,この「動詞の原形」の位置に be watching という

進行相(be動詞+〜ing)が置かれています。be動詞の原形は be なので,to の後ろには be が

置かれます。

【参考】 I happened to was watching TV then. と言えないのは,「不定詞の to の後ろには原形を置かねばならない

     から」とも説明できますし,「不定詞は時の概念を表さないから過去形は使えない」と考えることもできます。

なお,不定詞と完了相の組み合わせについては次の項で説明します。

 

◆ 最後に,準動詞との関係を考えます。

 030 「態」とは で示した「態」の定義は,次のとおりです。

・能動態 = 主語から見て「〜する」という意味を表すVの形

・受動態 = 主語から見て「〜される」という意味を表すVの形

030では説明の便宜上「Vの形」としましたが,ここで次のように(より一般的な定義に)修正します。

・能動態 = 主語から見て「〜する」という意味を表す動詞の形

・受動態 = 主語から見て「〜される」という意味を表す動詞の形

ここで言う「動詞」とは,V(述語動詞)ではなく品詞としての動詞の意味です。

たとえば choose(〜を選ぶ)の受動態は be chosen(選ばれる)です。

そこで,準動詞と受動態を組み合わせた次のような形ができます。

(d) I happened to be chosen MC. (私はたまたま司会者に選ばれた)

下線部は「受動態の不定詞」ということになります。

【参考】 態は時制や助動詞とも組み合わせることができます(例:was chosen,will be chosen)。

 

ここでは不定詞の例だけを挙げましたが,動名詞や分詞にも同じことが言えます。

シンプルにまとめるなら,次のように覚えておくとよいでしょう。

@ 準動詞を進行相・完了相と組み合わせた形が作れる。

A 準動詞を受動態と組み合わせた形が作れる。

 

 

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