2014/11/22 up

大人の英文法088−SVOCのCとして働く分詞 

 

ここで取り上げるのは「SVOCのCとして働く分詞」ですが,これを理解する前提として,

これまでの話をおさらいしておきます。

@ SVOCとは英語の主要な文構造1つであり,学校英語では「第5文型」と言います。

(→029 文型とは

A 5文型とはSV・SVC・SVO・SVOO・SVOCですが,このうちSVC(第2文型)とSVOC

(第5文型)にはC(補語)が含まれていますね。SVCの構造を持つ文の例は,

I am sick. / I am a student. / She became a singer. / He looks happy. など。

これらの下線部がCです。これらの例からわかるとおり,Cになれる品詞は,

(代)名詞または形容詞です。 (→016 品詞と文の要素の関係)

B 一方,分詞は形容詞としての働きを持っています(→021 分詞とは)。だから,

形容詞に準じてCの位置に置くことができます。

(a) The singer became known to many people.

             S                    V            C

(その歌手は多くの人々に知られるようになった)

この文では,known(過去分詞)がCの働きをしています。


 

◆ SVOCのCの位置に置ける要素

SVOCの構造の文をいくつか挙げてみます。下線部がCです。

(b) We named the dog Shiro. (私たちはその犬をシロと名づけた)

(c) The news made her sad. (その知らせは彼女を悲しませた)

(d) I want you to help me. (君に手伝ってほしい)(→ 075 V+O+to do

(e) The news made her cry. (その知らせは彼女を泣かせた)

上の4つの文では,Cの位置にそれぞれ名詞・形容詞・to不定詞・原形不定詞

置かれています。また,087 SVCのCとして働く分詞で見たとおり,分詞もCとして使う

ことができます。下の2つの例では,それぞれ現在分詞・過去分詞がCの働きをして

います。

(f) I heard someone calling my name. (誰かが私の名前を呼んでいるのが聞こえた)

   S    V            O                 C

(g) I heard my name called. (私は自分の名前が呼ばれているのが聞こえた)

   S     V           O            C

(f)ではOとCの間に「誰かが呼ぶ」という能動の関係があります。この場合はCとして

現在分詞を使います。(g)ではOのCの間に「私の名前が呼ばれる」という受動の関係が

あります。この場合はCとして過去分詞を使います。

ここで,SVOCの形をとる主な動詞が,Cの位置にどんな要素を置けるかをまとめてみましょう。

動詞 C=名詞 C=形容詞 C=to不定詞 C=原形不定詞 C=現在分詞 C=過去分詞
get × × ×
have × × ×
hear × × ×
keep × × ×
leave × × ×
make × ×
name × × × × ×
see × × ×
want × × ×

 

このように後ろに置ける形は動詞によって違っているので,1つ1つ覚えていく必要があります。

上の表で「C=現在分詞」の欄に○のついている動詞(hear以外)について,例を挙げておきます。

(h) I can't get the engine working.(エンジンがかからない) 

     *get+O+〜ing=Oを〜(し始め)させる [←Oが〜している状態を手に入れる](以下同様)

(i) I won't have anyone entering my room.(私の部屋には誰も入ってもらっては困る) 

     *have+O+〜ing=Oに〜させておく

(j) Don't keep your friend waiting so long.(友だちをそんなに長く待たせてはいけない) 

     *keep+O+〜ing=Oを〜のままに保っておく

(k) Don't leave the water running.(水を出しっぱなしにしてはいけない) 

     *leave+O+〜ing=Oを〜のままに放置しておく

(l) We can see many crows flying.(たくさんのカラスが飛んでいるのが見えた) 

     *see+O+〜ing=Oが〜しているのが見える

 

この形で使う動詞は,意味の上からおおむね次の2つのグループに分けることができます。

(A)知覚動詞+O+〜ing = Oが〜しているところを…[知覚]する

see,hear のほか feel,look at,listen to,watch,notice,observe などがこの形をとります。

(B)その他の動詞+O+〜ing = Oが〜している状態を作り出す

上記の get,have,keep,leave はすべてこのタイプ。name the dog Shiro や want you to

help me など,〜ing以外の形のCをとる動詞についてもこの形は当てはまります。つまり

SVOCの形は「SがOをCにする」という意味を表すことが多いということです。

なお,see・hear などの知覚動詞は,Cの位置に原形不定詞を置くこともできます。(→077 原形不定詞

@ We can see many crows flying.

A We can see many crows fly.

この2つの文はどちらも可能ですが,意味はどう違うのでしょうか。

文法参考書などで,次のような説明を読んだことがあるという人もいるかもしれません。

「たとえば see a boy crossing the street は,少年が通りを渡っている最中の一場面を見たということ。

see a boy cross the street は,少年が通りを渡り始めてから渡り終えるまでの一部始終を見た,ということ」

しかし,この説明は上の@とAの意味の違いには適用できません。(Aは「多くのカラスが飛び立ってから

降りるまでの一部始終が見える」という意味ではありません)

より本質的に言えば,@は「カラスが飛んでいる姿が目に入る」という意味であり(これは〜ingの原義から

容易に理解できますね),A)は「カラスが飛ぶ姿[飛ぶという行為]が見える」という意味です。(l')は fly と

いう動作[行為]をいわば抽象的にとらえた言い方であり,比ゆ的に言えば

@はテレビを,Aは絵を見ているような感覚の表現です。


 

◆ SVOCのCとして過去分詞を使う形

上の表からわかるとおり,SVOCの形で使う動詞の多くは,Cの位置に過去分詞を置くことができます。

これらの表現はすべて「OがCされ(てい)る状態を〜する」という意味で解釈できます。

(m) I want this fence painted white. (このへいを白く塗ってほしい) 

     *want+O+過去分詞=Oに〜されてほしい [←Oが〜され(てい)る状態を欲する]

(n) Keep the door closed. (ドアを閉めたままにしておきなさい) 

     *keep+O+過去分詞=Oが〜され(てい)るままに保つ

(o) I had [got] my bicycle stólen.(自転車を盗まれた) 

     *have [get]+O+過去分詞=Oを〜される [←Oが〜される状態を持つ[手に入れる]]

最後の(o)については have も get も使えますが,get の方がくだけた表現です。

なお,次の例も参考にしてください。

(p) I hád [gót] my hair cut at the barber's. (理髪店で髪を切ってもらった)

*「Oを〜させる[してもらう]」という〈使役〉の意味でも使えます。(o)は〈被害〉の意味ですが,

  強勢の違いに注意してください。〈被害〉のときは過去分詞に,〈使役〉のときは have [get]を

  強く読みます。なお,この文は I had [got] a haircut at the barber's. とも表現できます。

(q) I got my fingers cáught in the door. (ドアに指をはさまれた)

*「体の一部を〜される」という意味のときは get を使うのが普通。

(r) Get your work finished by 5. (5時までに仕事を終わらせなさい)

*「Oを〜された状態にする」という意味。I'll have [get] my work finished by 5. とは

   言えますが,命令文では get を使うのが普通です。

 

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